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720時間の弾丸  作者: 一条一
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男の仕事

砂漠の丘に男がいる。男はその場所に来てすでに一週間が経つ。男の目的は休暇でも無ければ、そこに住み着いたわけでも無い。

男の目的は、「暗殺」である。


男はギリースーツ(カモフラージュを施した物)に身を包み、砂漠の丘に同化している。砂漠といっても砂丘のそれとは違い、そこは中東で瓦礫や枯れ果てた草地である。

一旦ここと決めてプローン(伏せ撃ち姿勢)に入れば、食べるのも排泄もここである。もっとも、極力食べず、極力出さずでわあるが…

男の手には狙撃銃が一時も離されず握られている。その横にもやはり偽装が施されたケースに銃が二丁入っている。

お判りの通り、男の暗殺のスタイルは狙撃であり、ロングレンジ・シューティング(長距離狙撃)だ。しかし、軍や特殊部隊に見られるスポッター(観測員)は居ない。男は常に一人で仕事をする。


受注

一ヶ月前、男は仕事の仲介者に会っていた。仲介者はいつも必要最低限の言葉しか言わない。いや、必要最低限の言葉しか知らない。毎回、仲介者の口からは、暗殺対象者の名前とおおよその場所。そして報酬金額である。無駄口はしない、当然お互いの名前さえ知らない。と言うと、某 有名暗殺漫画みたいに聞こえるが、この二人には、そんなビリピリした空気は無いのである。従って、暗殺の報酬金額もあの漫画の主人公の様な高額報酬ではないようだ。

ここで、この男に仕事を依頼している人間を辿ってみよう。仲介者は少なくとも二人から三人で、ここまではお互いを知らないし知りたくない人間。この先は、軍であったり特殊部隊であったり国の一機関だったりする。基本的に、男は仕事がどこの機関から出ているか知っている。しかし、機関は外部に仕事を出す以上は「何かあった時の為に」石橋を叩くものである。

男の仕事は前記した通り、全て国の機関からであり、民間からの依頼は受けないし、受ける窓口は無い。しかし、どの機関も自前の狙撃手が居るのにも関わらず、男に仕事を依頼してくる以上は、何かしらダークな仕事であるのは間違いないだろう。

男は一ヶ月間かけて暗殺対象者を狙撃する場所を探し、逃走の用意もする。仕事の場所によっては、不法入国し不法出国もする。

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