誰にもきづかれなくても ACT1
平日のお昼過ぎ、雲もない真っ青な空…
少女は公園のベンチで一人
地面を見ながら泣いていた…
小さな手を握りしめて、
ニャーオ〜少女は涙を拭きながら
小さい猫を見つめた…
「キミはどこから来たの?」
スリスリってワタシの腕にまとわりつきながら
またニャーオ〜って小さく鳴いた
ベンチから降りた猫がこっちを振り向きながら
一歩、二歩、また振り返ってコチラを見た、
「ついて来いって事…?」
この街に来てからまだまもなくて、あまり道はわからない…
「こんな道、来た事ない…大丈夫かな…」
猫はついてきてるか、確認するように鳴きながら
先を歩いてる
不安になりながらもただただ歩いた
静かな住宅街から、繁華街…
だんだん道が細くなって小さい路地を曲がった先に
淡い紫色の看板、洋風な建物が見えた
「月影ノ紫水晶?」あきらかに少し暗くて
怪しい場所…
ニャーオ〜猫は鳴きながら建物に入っていった…
「えっ…どうしよう…怖い」
建物の前で戸惑っていた…
すると、急に後ろから声がした。
「どうしたんですか?ウチに何かご用ですか」
薄い緑色の服装、眼鏡をかけて優しく微笑しながら語りかけてきた
「いや、あの、……」言葉に詰まった時
ニャーオ〜猫が鳴きながら建物から出てきて
「るぅさんについてきたんですね」
眼鏡をかけた女性が微笑みながら言った
「お客様ですね~コチラにどうぞ」
うながされるように扉を開け
建物の中に通された
「ようこそ月影ノ紫水晶へ」
中には小さいテーブルがあり、壁際に小さいステージ、ピアノ、絵を描くスタンドがおかれてた
「今誰もいなくて、ワタシだけなんです」
「わたしは山原詩樹と言います、ここのバイトです」
「ちなみに連れてきたくれた猫さんは」
「るぅって言うんですよ〜」
席に案内されてなぜか座らされた…
「ワタシお金ない…」
そう伝えようとした時に…
「るぅさんのお客様ですから、何も心配いりませんよ」
奥の部屋に消えていって、少しすると甘い香りがしてきた…
木製のおぼんを持って山原詩樹が出てきた。
暖かいココアが出てきて、その横には小さいお皿にクッキーが数枚
「ゆっくりしててね〜熱いから気をつけて」
「ワタシはお片付けしないと〜」
何かの歌を口ずさみながら奥の部屋に
それを何気に見届けていたら、
ドン!?急に猫がテーブルの上に乗ってきて
毛づくろいをはじめた
「キミはるぅってお名前なんだね」
「ニャ〜」
小さく鳴きながら返事をしたように思えた
カップを手に取りながら周りを見渡した
不思議な場所、なんか暖かくて安らぐ
るぅを見つめながらなでてると
「あれ!?お客様?」
部屋の奥の扉から声が聞こえた
背はワタシぐらいで、ピンクの服装で淡い紫色のアクセサリーを全身に身につけてる
「あっ…あの…」
「ごめんごめん、驚かせたかな〜」
ワタシを見て、るぅを見つめながら
「なるほどね〜るぅのお客様なのね」
「ニャ〜……」小さくるぅが鳴いた
「私は星空虹羽
ココで絵を描いてるのよ」
「私の事わ、虹羽って呼んでね」
少し特徴がある声で、詩樹さんと同じ
優しい笑顔で…少し安心した。
「ゆっくりして行ってね〜」
また部屋の奥に戻って行った
「るぅちゃんなんでココに連れてきたの?」
「…泣いてたから?」
るぅは立ち上がり少女の前に座った
「自己紹介がまだだったね」
「私の名前は西宮まどかです
よろしくねっ、るぅちゃん」
「ニャーオ〜」
まるで笑ってるかの様な表情をして返事を返してくれた
やっと気持ちが落ち着いて
あたりをゆっくり見渡してみた
天井には小さいロウソク型の照明
いたる所に置いてあるランタン?の様な物?
古い感じのカウンターにはお花と大小様々な本が置いてあり、
その中でも私の目がいったのは、
少し大きなランタンがカウンターテーブルの真ん中に置かれてて紫色の灯りを灯していた
見た事がない紫色の灯り…
その光に吸い込まれるように椅子から立ち上がり
近づこうとした時
「カランコロンカランコロン」
「ただいま〜」
その音にビックリしてしまい
尻もちをついてしまった。
「あっごめん…大丈夫?」
手を差し伸べ私を引っ張りあげてくれた
「お客様?かな?」
私よりも背が高くて、お父さんぐらいかな、
「あっ…えっと…」
青年が私を見て、ランタンを交互に見ながら
「ん?ちょっとこのランタンの近くに来てみて」
言われるまま近づいて行った
「えっ!?」
そのランタンの光が紫色に…
椅子から見てる時より明らかに大きく輝いた
「そっか〜お客様だね」
「ようこそ月影ノ紫水晶へ」
「ニャーニャー」
「るぅ?あっそうか、るぅが連れて来たお客様だったんだね」
「僕は紫水らいと…とりあえず店長かな?」
少し照れながら、さっきの2人と同じ優しい笑顔で
私を見つめてくれた
「ビックリさせたよね?ケガしてない?大丈夫?」
「大丈夫です!ケガはしてないです」
「私は西宮まどかです。お邪魔してます」
小さく会釈をした
「礼儀正しいね〜まどかさんでいいかな?」
先ほどまで座ってたテーブル席にうながされ
座った
「ココア冷めちゃったね、新しいのいれるね」
「あっ…」
返答を聞く前に奥の部屋に消えていった
「ニャーニャーニャー」
ん?るぅちゃんとは違う鳴き声?
後ろを振り返った
黒くて背中の模様が少し茶色が混じってる
「キミは?」
るぅがテーブルから身軽に降りて
その猫に近づいていった
「ニャニャ、ニャーオ」
猫同士の話し合い?
それを見て可愛くて、少し笑ってしまった
「おまたせ〜、」
らいとさんがいれたてのココアを持ってきてくれた
「れたす?おかえり〜」
「この子は、れたすって名前だよ~月影ノ紫水晶のメンバーのひとり?一匹?」
優しく微笑みながら私に話してくれた
「よろしくねっ。れたすちゃん」
「西宮まどかです」
「ニャ〜ニャ〜」
れたすがまるで会釈をするように頭を下げながら
鳴いた
「ボォ~ンボォ〜ン」
ふいに何かの鐘の音が聴こえてきた
「いま何時ですか?」
「今6時かな?」
「あっそんな時間、もう帰らないと」
まどかは慌てながら、らいとに言った
「大丈夫?帰れる?」
「あっ、えっと…」
その時るぅが鳴きながら、まどかにすりよった
「るぅが送ってくれるみたいだよ」
「あっちょっと待ってね」
らいとが足早に奥の部屋に行き
「これ、ウチの名物のクッキーだからおみあげに」
茶色に可愛いラッピングで真ん中に、月影ノ紫水晶のシールが貼ってある小さい袋を手渡された
「あっ…ありがとうございます。」
私はさっきみたいに小さい会釈をした
「うん!気をつけてね」
らいとは優しい笑顔で答えた
「あの…また…るぅちゃんとれたすちゃんに会いにきて良いですか?」
らいとの顔を真っ直ぐ見ながら
「良いよ〜この場所月影ノ紫水晶はいつでも開いてるから、いつでもおいで〜」
「ありがとうございます。」
「気をつけて帰るんだよ~」
「はい」
私はるぅちゃんについてドアを開けた
「カランコロンカランコロン」
るぅは来た時みたいに私の事を振り返りながら
「ニャーオ」急かすように鳴いた
私は少し振り返り、三日月の紋章が淡く紫色に光る月影ノ紫水晶の看板を見た
また来よう〜こんな場所見つけたの嬉しい
この街に来て良かった。
まどかは初めてこの街に来てワクワクした
「あの子は?帰ったの?」
虹羽が奥の部屋から画材を手に持ち、らいとに聞いた
「うん、ちょうど今だよ」
「遅いのに大丈夫?」
「大丈夫、るぅが一緒だし〜れたすもついて行ったから」
らいとはテーブルの上を片付けながら
カウンターテーブルのランタンを見つめた…
「らいと、あの子…」
「うん…お客様だよ…」
らいとはランタンを見つめながら…
淋しく微笑んだ……




