第78話 WILDに 我儘に(2)
紛らわしいンじゃ!( 'ω ` ;)
春先。
早朝の肌寒い中を騎士、使用人達が忙しなく駆け回る。
昨日夕方。急遽、王女殿下が女王都の南に在る狩場に出掛けると言いだした為だ。
「南に良い狩場が在ってな。兎や雉、鹿狩りなどどうだ? 二人きりで居たいのだが久し振りにアーシスも誘って野外での宿泊になるがどうだろう。できるなら今回は四日間程滞在して欲しい。」
蛮地に獣狩りに行くと言いださなかった事に安堵しマレが即了承を伝えれば愛人の普段より長い滞在に少女は誰が見ても分かる程に上機嫌になるのだった。
「アルウル?狩りに行くんだよな?」( ° д ゜)
「そうだぞ?不便か?従者を増やそうか?」
「ン、いや、十分すぎるかと、うん、俺の今迄の狩猟を思い返してたら、うん、何でもないんだ、うん。」
( 'ω ` ;)
生きる為、食べていく為に森で獲物を探し回った二年前。
共に狩りに出掛けた友の一人が欠けた。
男の胸に寂しさが去来する。
王女と愛人の眼前。
近衛隊数十人と従者が五十人程に貴人用馬車一台に荷馬車が四台。
王族行列の先頭では騎乗した近衛がレキ国旗を掲げる。
マレの重籐弓と矢、矢筒は従者が抱え愛馬DANGANの手綱は馬丁がひく。
手持ち無沙汰となった黒衣の男は貴人専用馬車に乗り込み王女殿下に手を差し伸べた。
「殿下どうぞ」
王族、王女殿下の愛人としての役を粛々とこなす男に少女は満足気な笑みを浮かべ男の手をとった。
「王族専用の狩場だ。時折貴族縁者を招いて楽しんでいる。」
陽が高く昇った頃、王族行列は狩場へと到着した。
森の外周には公爵子女のレキス・アーシスが狩衣であろうか紺の上着に白のパンツ姿にて二十名程の供廻りを従えて王女を出迎える。
挨拶を交わし合う王女と公女。
さあ狩りを始めるのかと思いきや近衛、従者が慌ただしく動きだす。
王女、公女一行の為の机と椅子の用意。
休憩、宿泊用の天幕の設置。
石積みの窯と焚火で湯を沸かす従者。
茶の用意を始めるメイド達。
昼食の用意をする宮廷料理人。
そして、呆気にとられるマレ。
あ ほ な の か ( °д° |||)
大仰すぎる狩りに呆れかえるのだった。
陽光の下、我関せずとばかりに愛馬DANGANは春の若草を食む。
呆れると同時に誰にも見られぬ様にチラと時計を確認する。
五時間かけて大凡十km強移動した程度か?
一日かけても三十km進めばいいほうか。
王族行列を行軍に見立て試算する黒衣の男。
愛人を偽装した色仕掛けの諜報活動。
目に映る全てに重要な情報が含まれる事を男は知っていた。
ナニガンつけとんじゃ
( # °д°)
いてまうどごるあぁ
緑に囲まれ二組の男女が喫茶と談笑に興じる。
赤の上着と紺の上着の女二人。
互いの連れ合いは対照的な男。
公女レキス・アーシスの横に座るのは狩場に相応しく無い純白の礼服に身を包む線は細く色白で小柄な十代後半と思しき男。
全身黒尽くめのマレは椅子の背もたれ背中を預けティーカップ片手に天幕準備をする近衛や料理人、従者達の行動を眺めていた。
「ヨシツネどうした?つまらないのか?」
「逆かな。余りにも珍しい光景に興味が尽きなくて眺めてたんだ。」
「ふっ、此れだから田舎者は。無粋ですね。」
対面に座る純白礼服の男もとい少年は手にしたティーカップを机に置きマレを煽る様に挑発するかの様に侮蔑の言葉を口にする。
しかし、それは余りにも軽挙と公女アーシスがたしなめる。
「テオキン 失礼です。殿下に対しても不敬です。ヨシツネさんごめんなさいね。」
アーシスの愛人テオキンは露骨に不満そうな表情を浮かべアルウルが対応に困るもマレは笑って流す。
「実際、田舎からでてきた物知らずですので気にもしてませんよ。」
言葉に微笑を添え茶に口付ける。
場の最年長者としての余裕をみせればテオキンは対抗心剥き出しの視線を向けるがマレはどこ吹く風とばかりに高級茶の香りを楽しみ喉を潤した。
「ヨシツネさん、今日の装いはWILDさに洗練が加わって良いはね。」
最近定番となった服装一式、ロレ国仕立屋製の注文品。
黒一色のベレー帽と外套とデニムジーンズ。
肌着代わりに素肌の上に着るのは黄ばみが抜けない白の綿製ワイシャツ。
靴もまたロレ国の皮革職人に特注デザインで作らせたミドル丈のブーツを履く。
「ありがとうございます。友人にはよくナルシストだとイジられてますけどね。自分もそうだなと感じてますし。アーシス様も初めてお会いした時の淑女然としたドレスも良いですが今日の様な外着姿も健康美があり大変よろしいかと。」
男の返答にアーシスもまた微笑し、お上手ねと返し独り不満気なテオキンを置き去りに茶会は進む。
「ヨシツネは狩りに、あの大弓を使うのか?」
王女アルウルに問われ何を今更と困惑を僅かに顔にだし。
「え〜と、、、皆さんは違うのですか?」
其処からは本命の狩りをアルウルとアーシスが説明も交え茶会の話題に語るのだった。
彼女達にとって弓とは弩。
弩の最大の利点、誰でも扱え高威力、高射程である事だった。
欠点は連射性に欠くこと、此れは遊戯の狩り故にボルトを従者に複数装填させ彼女達は只射つのみに専念する。
弩のもう一つの欠点、其れは馬上での取扱いに不向きであること。
「近衛の中には馬術、槍術に長けたものは馬上槍にて獲物を仕留める者もいるがな。―――」
今回の狩りは貴人は所定の位置にて待機し従者が鳴り物を打ち鳴らし獲物を追立てるとの事。
一通りの説明を受けて成る程なと納得と共にレキ国の実状をより識れた事にマレは大変満足した。
大凡の説明を終え唐突に今更に王女は尋ねる。
「アーシス、そちらが今日の愛人か。」
「テオキンは今通ってる御店の一番人気ね。舞踏会に連れ歩くには悪くないのだけど此の場には不釣り合いかしら。ヨシツネさんなら狩場に良し上等な服を着せれば舞踏会にも良し。殿下如何です私の愛人三人と交換いたしません事。」
アーシスの言葉にマレは褒め過ぎですとやんわりと更に自分は酒場男では無いのでと拒否を告げつつも心の中では。
あン!?(#゜Д゜)やんのかゴラッ ヤサオ
「アーシス残念だ、幾人の愛人と交換を持ちかけられても無理な話。妾でさえ、、、数ヶ月に一度の逢瀬、そう数ヶ月振り。」
ズーン(|||−_−) Σ(( 'Д`;))ヒィィィ
ヤバイヤバイ( °ω° ;)ヤバイ 変なスイッチ
押すなよ押すなよ
回避回避( °Д° ;)全力回避ぃぃぃ
「アルウル 俺が会いに行く女は お前だけだ」
週五日替で家に来る鬼娘は居るけどな!('A`)
不敬にも一国の王女を呼び捨てた事にテオキンはギョッとした表情になり、アーシスは碧い瞳を大きく見開き心の中で其処までの関係が築かれていることに驚きを隠せなかった。
「ば、馬鹿者。人前では敬称を付けよ。妾にも立場というものが在るのだ。」
頬を染め顔を逸らす少女を確認し男は心は安堵する。そう此れは大事な仕事なのだと。
なんや白男(#`ω´)コッチミンナ
眉間重籐弓で射ち抜くぞゴラッ
その後、遅めの昼食と歓談。
時折マレに絡む夜店No1をスルーしつつ会話の中で度々教養を披露し時に公女の悪巫山戯に王女が嫉妬するも上手く回避とフォローを挟み軟着地を決める黒衣の男。
二人の仲睦まじい様を微笑みと共に見守るレキス・アーシス。
一日の大半を喫茶と食事、そして女二人のお喋りで終えるのだった。
うぜえええええええ(#゜Д゜)
白男の✳に重籐弓の矢ぶち込みてええええ
あっーー言わせたろか (´・ω・)、 ペッ!
(´=ω=`) ン〜〜
此の天幕一つに士官、下士官五人と仮定するだろ?
徴兵農民が野宿で〜
貴族の供廻りも野宿はね〜よな?
非戦闘員が行軍に幾らか混じるだろ?
その夜、豪華な天幕をそっと抜け出し狩猟野営地を徘徊するマレ。
戦地では無い為、夜間の歩哨も極わずか。
歩哨に立つ近衛に会えば御苦労様ですと一声かけ堂々と野営地内を歩き廻り情報を収集していくマレ。
歩き廻り幾分か情報も得た頃合いであった。
月夜の下で忙しなく周囲を見廻す少女が独り。
「どうした?眠れなかったか?」
不意に掛けられた声にびくりと身を震わすも想い人の声音であった事に次には胸を撫で下ろす。
月夜に照らされる少し幼さ残る少女の顔は不安で今にも泣きだしそうな程に。
「何処に行っていたのだ、心配させるな」
「あ〜小用な。そのままふらり月見をしていた。すまんな、寝ていたアルウルを起こすわけにもいかんだろ?」
「“駄目だッ”常に私の隣で用を済ませろッ」
('A`)オイ ウンコモデキンダロ
不安を内包した少女の過剰な束縛に男は行動に移す。
少女に白く柔らかな手を引き密集する木立の中へ
「ヨシツネ、天幕の――」
少女の言葉を唇で塞ぎ服の中へと手を差入れる。
何時もの如く。
面倒事は御免こうむる。
肌と肌を重ね少女を黙らせる。
( °Δ°)....
愛人との物足りぬ情事を終えた公女が夜風を求め独り月夜の下に居た。
王女で従姉妹、少女と恵体な男の秘事を覗き観る。
「殿下、大事なお話しがあります。」
朝食後の席。
やっと狩りが始まる前の喫茶の時間。
互いの愛人が席を外したタイミングを見計らい公女は真剣な眼差しで王女に話しを持ちかけた。
「ん、ああ、どうしたアーシス」
「殿下、私の愛人を全員あげます。一晩、一晩だけで良いのですッ!ヨシツネさんを貸してくださいッ!!」
「へ?」
(`ω´) ( 'ω ` ;)ヘ?
「殿下!殿下は全くく理解っておられません!」
「えーと、何が?」
「ナ・二 の事で御座いますッ! 男女の睦言の事以外にありえません!」
「いや、そのー、、、え!?昨晩の、、、見た?」
コクコクと首を縦に二度振るアーシスを前にしアルウルは顔を羞恥で朱に染めて俯くしか無かった。
「殿下ああ!理解っておいでですか?女が満足するまで抱いてくれる男など、まず居ないのですよ!あの様に男から求めてくれるなど、まさに絵物語の如く、全ての女の夢!」
「え、、、そう、なの、か?」
キィィヽ(`Д´)/ ( ° д ゜)??
「一晩! 一晩だけ!」
「む、無理を申すなッ」
世は女性社会。
女性中心に世界は回る。
黒衣の男は言った。
男に生まれりゃ人生Easyモード
故に世の男は女性社会の中を只流される様に日々を生きて行く者が大半であった。




