表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/205

65話 変態疑惑

「あぁ、まぐれなんじゃないですかね……。ほら、刺したところがちょうど急所だったとか……」


 褒めてもらえるのはうれしいが、あまりこちらから威張ってヘイトがたまってもよくないので自分からは謙虚になっておく。


「ロック鳥と戦うのは初めてだったけど、コツがつかめればどうってことはなさそうね。とくにご主人様の一撃は見事だったわ」


 いや、ミーシャ、俺の謙虚作戦を理解してくれよ……。


 そんなミーシャと目が合った。


「だって、ご主人様が立派だったのは本当なんだもの。いろんな人に認めてもらいたいわ」


 くすっと笑うミーシャ。


 ああ、俺を立てようとしてくれてるんだな。


「さあ、まだ一匹、ロック鳥を倒しただけですし、気を引き締めていきましょう」


 周囲に言ったというより、自分自身に言った。

 これで終わったわけでもなんでもないのだ。ここで油断するとあとで痛い目に遭うかもしれない。


「いえ、気は抜いちゃダメですが、こちらの仕事を優先したほうがよさそうですよ」


 リチャードがロック鳥の卵を指差しながら言った。


「母親を倒した手前、罪の意識はありますが、これを売ればひと財産になりますから」


「ああ、ロック鳥の卵ってすごい値段がつくんでしたね」


 冒険者は様々な依頼や冒険で金を稼いで暮らしている。さすがにその卵は見過ごせないらしい。


「そうですね。親がいなくなったとはいえ、この雛が成長する可能性を奪うのはおかしいし、キャンプに持っていきましょう」 


 ロック鳥とはいえ、育ててくれる親鳥がいなかったら、そのまま死んでしまうおそれが高。それならまだ人間が育てたほうがいい。


 一度、森からキャンプに戻ると台車を持ってきて、卵を持ち帰った。


 その日はさらに森深くへと入っていって、別のロック鳥とも戦った。


 ただ、こちらはミーシャが、「ニャーッ! 噛みつくわよ!」と少し攻撃を加えたあとに威嚇すると、びびって山のほうへ逃げていった。


 やはり大型の鳥とはいえ、猫的なものは苦手であるらしい。


「賢い生き物だから、ここに来たら危ないってわかるんじゃないかしら。これで人の立ち寄らない山で暮らしてくれればいいんだけど」


 どうやらミーシャはわざと仕留めずに逃がしてやったらしい。


 そのあともそこそこ大物のモンスターを退治したりして、かなり森のモンスターは減らすことができた。


 戦闘で活躍したのは、ミーシャがいるおかげもあって、大半がこちらのパーティーだった。今日は俺もかなり活躍できたので気分もいい。


 本来の依頼は王家の墓がある森全体の掃討作戦だが、参道周辺が片付けば基本的な安全は保証されるだろう。

 もちろん、一般人が武器も持たずに土ドラゴンに遭遇したりしたら大変なことにはなるが、街でもなんでもない森で丸腰で来るなんてことは一般的にはないはずだ。


「君たちのパーティーは本当に理想的だな」


 相手パーティーのリーダーにそう言われた。


「個々の実力も素晴らしいが、ちゃんとお互いに仲間の考えがわかっているようで、連携もとれている」


「多分、一緒に暮らしてるからじゃないですかね」


 王都のはずれの屋敷にみんなで住んでいることを告げた。


「ああ、あの有名な屋敷か!」


 えっ? 有名になってるなんて知らないけど……。


「ものすごく強い冒険者たちが共同生活をしていると有名だよ」


 俺が知らないうちにそんな話になっていたのか……。


「そして、男の冒険者一人以外は全部女で、その男は愛欲に満ちた生活を送っているとか」


「言いがかりだ!」


 そりゃミーシャとはそういう仲かもしれないけど、それはいわゆる夫婦だからであって、とがめられるようなことは何もしてない。


「なんでも、獣人の女ばかりを集めている変わった性癖の男だということだが、そうか、君だったか」


「ケモ耳率は高いですが、別に性癖は関係ないですから!」


「ああ、その話は知ってる」

「ギルドでよく話題になる」

「思ったより、変態っぽくない顔をしてますね」


 そのパーティーに好き勝手言われた。

 どんだけ、蔓延してるんだよ、その話題!


 帰路はずっと弁解に時間を割くことになった。


「あの、この話ってそんなに有名なんですか? それとも、ここだけの話なんですか……?」

「ギルドで知らん奴はいないんじゃないか? 最近、狐耳のメイドが増えたとか、みんなでプールに行ったとか聞いたが」


 情報も確実にアップデートされている!


 これ、思った以上に広まってるぞ……。


「まったく、ひどい話よね」

 ミーシャが慰めてくれた。


「ご主人様はネコ耳にしか興味ないのに」

「いや、ネコ飼ってたのとネコ耳推しなのとはまた別だから!」


 とはいえ、ミーシャの言葉が冗談なのはわかるので――

 そのネコ耳がついてる頭を撫でてやった。


「やっぱり、ご主人様に撫でられると落ち着くわ」


 こういうことしてるから、噂が広まるのかな……。


2日前から更新をはじめた「最高のおもてなしで行う異世界の宿屋革命 ~老舗旅館「森さと」が異世界に来た~」が日間6位まで上がりました! 本当にありがとうございます! 猫ともども頑張ります!  http://ncode.syosetu.com/n7958dh/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ