気になる視線の正体
誤字脱字怖いです。
働き始めて1週間
今はランチタイムで、店が忙しくなる時間。
『シルフィー、ミツケタ。アイツダ』
「え?どこ?どこにいるの?」
『キョロキョロスルナ。キヅカレル。イリグチノ、スグヨコノテーブルダ』
「あのフード被っててよくわからない人?」
『ソウダ。デテイッタラ、オイカケル』
「よろしく。たぶんあの人にはグラントが見えてないよ。ちょっと目の前に行ってみて」
言われるままグラントがその人の前に飛んでいく。グラントを気にせず、まっすぐ前を見つめてる。
グラントが見える私から見ると、すごく笑える光景なんだけど。堪えなきゃ、今は仕事中。
「すみません。頼んだのまだ来ないんですけど」
「はい。確認してきます」
やっとグラントが戻ってきた。
『ヤハリ、ミエテハイナカッタナ』
「確認したらすぐに帰ってきなよ。手伝ってもらわないと、大変なんだから」
『イヤ、ソレハデキナイヨウダ。ヤツガウゴイタ』
「え、あっ、ちょっと夜には帰ってきてね」
『リョウカイシタ』
そのままグラントは後を追っていった。
「シルフィー、どうしたの?そわそわして。なにかあった?」
「グラントが視線の正体がわかったらしいんだ。夜には帰るっていってたけど、心配でね」
「グラントなら大丈夫だよ。信じてあげなよ。契約者でしょ?」
「そうだけど。でも……」
「でもじゃないでしょ。シルフィーは他にやることがあるんだから、迷惑とかかけないでね」
「わかった。………よし!酔っ払いたちの相手しに行きますか」
「そうそう、シルフィーは元気が1番だよ」
夜の宿にて
『イマモドッタ。ヤツノイバショガワカッタゾ』
「おかえり。随分と長い時間かけたね」
『ヨリミチガオオカッタカラナ』
「で?どんなだった?」
特徴
人間族の男。20代くらい。身長は170くらい。独身。
場所
ローアさんの店から200メートル離れた宿にいる。
「なにかやらかした訳じゃないし、まだ泳がせとこっか」
『ソノウチ、コウドウニウツスゾ。ズット、セラヲミテタカラナ』
「そうなの?セラのストーカー?」
「え?私が狙われてるの?」
「そうみたい。1人で出歩かないでね。できないと思うけど」
「やらないよ。ていうかできないよ。なんか怖くなってきた」
「2人でいれば問題ないよ」
「そうだね。何かあったら助けてね」
「当然だよ。ジーブさんとの約束だもん」
……ハァ…ハァ。どうしよう、まさか今日があの日だったとはね。うぅ〜、我慢できない。
「セラ!」
「は、はい!?なななんでしょうか?」
「食べて、………いい?」
「ん?なにを」
「セラを。もう、…がまん……できない、の」
「なに考えてるの!?私たち、まだ早いよ」
「ふぇ?なにって……血だよ?」
「え?あ、ああ血ね。吸血族だもんね。いいよ。私でよければ」
「じゃあ…えんりょ、なく」カプッ
チューチュー
「ん、ふあぁ…ぁ、んあ……あぁ」
「おいひいぃ。もっとぉ〜」ハミハミ
「いつ、まで……ん、吸うの」
「ひがふむまへ」
「血が、なくなるぅ」
「ありがと。助かったよ」ジュルリ
「そ、そう。よかった」
「吸血族に噛まれるとね、通常より血の生産が多くなるの。血を提供するために」
「じゃあ、私はシルフィー専用血生産人魚になったの?」
「そういうこと。ママが言うには、噛んだ相手とは、ほぼ一生付き合うことになるんだって」
「一生!?なんか嬉しい。シルフィーと結婚したようなものね」
「そうなのかな?うーん、そうしとこう」
色々と確認しないでやっちゃった。でも、本人嬉しそうだからいいよね。
今日は休み
「散歩に行こうよ。まだ行ってない店とかあるから」
「そうね。よろしくね」
いつも通り、肩にセラを乗せて歩く。
「ねえ、前から思ってたんだけど。シルフィーって下着何枚持ってる?」
「2枚だけど。それが?」
「そろそろ新しくしない?旅に出る前から見てる気がするんだけど」
「これも長いこと着てるからね。買おうかな」
「そこの店に入ろうよ。選んであげる」
「これと、これとこれ。あとこれ、試着してみて」
「恥ずかしいな、着るけど」
1枚目、2枚目。なんでサイズピッタリなの?かわいいし、どこまで私を知ってるのセラは。
4枚目を着て
「どう?似合う?セラ………あれ?」
セラがいなくなった。セラは歩けないし、水路は近くにないし、どこ行ったんだろう。わかってはいるんだけどね。謎の人が動いたんだろう。
「すみません、会計お願いします」
「銀貨3枚と銅貨6枚です」
「ちょうどだよ」
「はい。ありがとうございました」
さてと荷物は影の中に入れて。ズズズ
少しセラの血のにおいがする。昨日セラを噛んだ穴から出る微量な血のにおいを、吸血族としての私の鼻が感じ取っている。まだそんなに遠くないね。
こっちかな?
たぶん誰にも見つからないように進んだと思う。狭い道や人気のない道しか通ってない。これはちょっと大変なことになるかも。謎の人は実は、奴隷商人かもしれない。そうだったらセラが危ない。早く見つけないと。そうと決まれば影を移動だね。
ズズズズ……ザァァァ。
見つけた。グラントもいる。昨日グラントから聞いた通りの場所だった。セラは、男の担いでる袋の中だろう。宿の中に入られる前になんとかする!
ズズズズ…。
「うわ〜ん。ママぁ〜〜。どこぉ?」
「なんだ?なんだってこんなところにガキがいるんだ?」
「うぅ、ママどこなの?出てきてよぉ〜!」
「うるせえな。どしたんだ?ママとはぐれたのか?」
「ママを知ってるの?」
「知らねえが、ここにはいないだろ。来た道帰んな」
「もう、歩けない。お腹すいたぁ」
「はあ?知らねえよ。自分でなんとかしやがれ」
「一緒に、探して?」
「俺は暇じゃないんだよ」
「ママに会いたいよぉ〜!やだやだやだぁ〜」
「ああ、もう!わかった探してやる。で?特徴言ってみ?」
「ほんと?うんとねぇ、背が高くて、色が白くて…」
「ふむふむ、他には?」
「あとねえ、美人」
「それはわかんねえな。もっと具体的に」
「ええっとぉ、そうだ!ヒレがある」
「ヒレ?母親が人魚族だってのか?嘘つけ、お前の見た目に1つもねえじゃんか」
「うん。そうなんだ。ところでその大っきな袋の中ってなあに?」
「これか?これは大事なものだ。触るなよ?」
この袋の中にセラがいる。間違いないね。だって濡れてるんだもん。さっきから袋を気にしてるみたいだし、セラが起きないか心配してるんだろう。
「ありがと。お兄さん、ママ見つかった」
「あ?どこにもいないだろ」
「いるよ。そこに」
「まさか、お前!こいつの連れか」
「袋の中を見せてもらうよ。その後に返してもらう」
「冗談じゃない!お前もとっ捕まえてやらぁ!」
バチバチバチ
電気の流れるやつを取り出して襲って来た。痛そうだなぁ。当たらないようにしよう。
「もしかして、袋の中を捕まえる時もそれ使ったの?」
「あ?そうだが」ピク
「だったらどうしたよ!」………ブチン
セラに使った?これを、痛そうなこれを?セラが気絶するまであて続けたの?痛かっただろう。苦しかっただろう。許せない許せない許せない許せない!
「そう、そうなんだ。だったら…できてるよね?」
「あ?何がだよ!」
「それの倍の痛みを感じること」
「あるわけねえだろ」
「痛みを知らない半端者が!」ゴキ!
「へ?なに、が起き、う、うわぁぁぁ」
「こんなものじゃないよ。今は右手やった。次はどこがいい?」
「どこも嫌に、決まって、うあぁ」
「じゃあ、ちょっと特殊なのいくよ」
ズズズズ…ドプン。
「な、何する気だ。ぐあぁぁ!指がぁ」
『わたしは影の中、痛みは伝わらない。気を失わないようにね』クスクスクスクス
「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!」
『モウヤメロ!シルフィー!ソヤツ、シヌゾ!』
『こいつはセラを!』
『キモチハワカル。デモコロシテハイナイ!』
『…………わかった。わたしも殺すつもりはない』
『ナラデテキナサイ。セラモ、ソロソロオキルジャロ』
ズズズズ
『イカリニマカセルト、トリカエシノツカヌコトニナル。リセイヲタモテ』
「うん。ごめんなさい」
『ワカレバイイ。セラノトコニ、イッテキナサイ。ワシハ、コヤツノテアテヲシトク』
「お願いします」
「セラ、起きて。私のことわかる?」
「んぅ、う〜ん。わかるよ、シルフィー」
「心配したんだよぉ〜」
「助けてくれたんだね。ありがと」
「ケガもなさそうだし、良かったぁ〜」
「うん。後ろからいきなり来たからビックリしたよ」
「やっぱり、奴隷商人なのかな?」
「そうだろうね。この人がそうなら、部屋に他にも人がいるかも。シルフィー見て来てくれない?」
「わかった。いってみる」
中には森霊族、人魚族、獣族がいた。皆奴隷として捕まった人たち。それぞれ解放して、自由にしてあげた。
宿にて
あの後、男を兵隊に渡して、私たちの身体に異常がないか見てもらって、帰って来た。
「グラント、木の実だよ。今日は色々ありがとね」
『フタリガ、ブジデヨカッタ。キノミ、イツモノ2バイデモ、イインジャナイカ?』
「そうね。はい追加ね」
『オオ〜、ゴウカダ』
「グラントが頑張ってくれなかったら、発見が遅かったのかな?」
「そうかもね。偶然とはいえ、血を吸っといて良かったよ」
「吸血族にそんな能力があったなんて、知らなかったわ」
「私も初めてだったから、うまくできるか怖かったんだよね」
「やっぱり、シルフィーすごいよ」
「そう?それほどでもあるかな?」
「フフフ、疲れたでしょ?今日は一緒に寝る?」
「うん、そうする」
「あったかい。フフ、おやすみ」
「おやすみぃ」
ちょっと表現大丈夫かなと思いました。いつもより字数が多いので誤字脱字があったら報告お願いします。過去話でも構いません。それともう1つは、8月18日〜20日まで、都合により投稿できません。




