~序章~
序章
「ねぇ、リーダー」
「なんだよ、アリス」
「次のイベントの大会なんて言いましたっけ?」
「エンシェント・メモリーだろ。そのくらい覚えとけよ」
「・・・誰の思い出?」
「太古の記憶だ。思い出じゃねぇ」
「でもメモリーって思い出とも読めます!」
「イベントでは記憶だろーがっ!」
「コラコラ、何を騒いでいるんだい?」
「ヒューズさん、ギルさん!」
「すまん、アリスの屁理屈でつい・・・」
「私のせいなんですかぁー!?」
「お前が原因だろーが!」
「アリス君がこのパーティーに入って随分と賑やかになったよな?ギル君」
「・・・・」
「にしても不思議だよな。こんなバカ広い荒野で銃持ちながらケンカなんてさ。
現実じゃあり得ない光景だよ」
広い荒野の岩陰を後ろに四人のプレイヤーが他愛の無い会話をしている。
辺りはどこまでも広がっていそうで岩と枯れた木々しかない。
だが、遠くにうっすらと見えるのは廃墟になっている高層ビルの群れ。
まっすぐ立っているのもあれば斜めに少し傾いている建物もある。
まるで、"世紀末″なんて言葉が似合いそうな場所の3m程の大きな岩陰で四人は円を作るように座り、
「ところで・・・何を話していたんだい?」
「次のイベントについて聞いていたんですよ、リーダーに」
「そっからなぜ喧嘩になるんだい?」
「アリスのカルシウム不足が原因だ」
「そんな事ありません!これでも150じゅt・・・!」
「そーかー、アリスのリアルは150cmのチビか」
「ああぁーーっ!しまったぁーーー!!」
と、まぁ友達と出掛けている時のように談笑していた。
「ほう、アリス君のリアルは身長が低いのか」
「ヒューズさんまでっ!?」
「まてまて、でも女の子にとって身長が低いのは1つのステータスだと思うぞ?」
「アリスがチビでもステータスにならないって」
「それはどーゆーことですかぁー?」
二人からアリスと呼ばれているのは165cmくらいの身長の少女。
黒のタンクトップに緑色の迷彩柄のズボン、その緑は思った以上には明るくなく濁った感じのもの。
そして着ているタンクトップは彼女の体格の良さを引き立て、少々色気を出している。
髪は明るめの赤髪に癖っ毛の多いショートカット。
「言った通りの意味だ」
「ヒューズさん、戦闘許可を・・・」
「落ち着きたまえ、アリス君。これは彼なりのスキンシップなのだよ」
「これがですか!?いいえ違いますっ!これは列記としたいじめというものです!!」
「うるせぇぞごちゃごちゃと!」
そんなアリスの喧嘩相手、リーダーと呼ばれているのはヤマトと言う名前の男性プレイヤー。
灰色のTシャツに緑が濃いズボン。なんとまぁ軍人といえばこんな格好とイメージの塊のような、この世界ではシンプルな姿。
身長は170cmはあるだろう。そんな背があるのに少し童顔に見えるのが意外とパーティーの裏からの評判である。
「と、ところでだなぁ」
「何ですか?ヒューズさん」
「なぜアリス君はそんな質問をしたんだい?」
「単純に忘れてしまったからです」
「そ、そうか」
「単純に馬鹿なだけだろ?」
「なんか言いましたか?」
「何も言ってませんよ。バカチビ」
「もう一回言ってみましょうか?さんはい」
「まぁまぁ、もうそのくらいにしといたらどうだ?なぁギル君」
「・・・・」
先程からヤマトことリーダーとアリスの仲裁に入っているのが、ヒューズと呼ばれている見た目では男女の区別がつきにくい女である。
薄い白シャツに迷彩柄のズボンと誰かさんと同じようなシンプルな格好。
それなのに男女の区別がつかないとは・・・まぁご察しください。
さらにそしてヒューズの横で無言に首を動かして応答するのはギルと呼ばれるプレイヤー。
頭の先から靴のつま先まで黒、黒、黒。
黒のライダーヘルメットに黒のライダースーツ、どこからどう見ても現実で歩いていれば不審者として捕まりそうだ。
そんな彼女ら四人が笑って楽しみ過ごすこのVRゲーム、当初は重い病人のリハビリやイメージトレーニングのため開発されたVRシステム。
それらは次第に色々な用途で使用されるようになり、ついには待ちに待ったゲーム化。
そしてここはその世界のうちの一つ、ガンズ・アサルト・オンライン。
略してGAO。
2057年 5月 25日 開戦。




