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勇者パーティーから追放された異常な【賢者】のイカれた行動と【勇者】の善行  作者: 金銅才狸


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14/21

う3、マフィア1


 飲み会が終わり、嫌がらせめいた復讐を終えた時、夜が明けていた。


 勇者パーティーから追放された俺。

 なのに世の中には何も変わらずに朝が来ている。

 俺にとっての一大事など、世界には何の価値も無かったかのようだ。

 その事に、少しイラつく。


 一体全体、俺はコレから何をすればいい?


 勇者パーティを抜けた事よりも、それによって自分の心が大きく振り回されている。

 その事が嫌だった。


 自分の精神を自分でコントロール出来ていない。

 つまりは俺の心は俺ではなく、勇者に握られていた証拠だった。

 それが余計にイラッとする。



「助けて〜」

「テメェ〜の親が借金返せね〜なら。ウチの系列店で働いてもらうしかね〜な」


 女の悲鳴が聞こえた。

 今すごく機嫌が悪いのでトラブル大歓迎

 ちょっと覗いてみると


「なんだ。借金の取り立てか」

「助けて下さい〜」

「テメェ。騒ぐんじゃね〜」


 う〜む。

 観察してみたが……

 どうやら、女が借金のかたに身売りさせられそうになってるようだ。


 借金取り立て屋は3人。

 レベル1〜15って所か?

 ツマラン。

 駆けつけて損した。


 借金取り3名が、抵抗する女をさらおうとしていた。

 朝だが騒ぎを聞きつけた人がチラホラと


 しかし誰も助けない。

 借金取り達のガラが悪そうと言うのも有るだろう。

 が……

 そもそも、この国では借金返済方法としての人身売買は合法だ。

 奴隷上等のモラルハザード国家。

 

 まぁ、長期間魔族や他国と戦争が続いてる命の軽い国。

 治安も終わってる。

 そんなもんだ。

 だから俺もこの世界でやりたい放題出来た


 俺も通り過ぎようとしたが………

 アレ?

 ………身売りされそうになってる女。

 

 無い事も無いなぁ。

 ………魔法使いが、けしからんかったせいで、なんかムラムラしてるせいか?


 やたらと捕まってる女が魅力的に見えた。

 魅力レベル40くらい軽くありそうだ。

 なので……助ける事にした。

 俺がツカツカと女達の方へ歩いて行くと


「何だテメェ?」

「邪魔する気なら止めときな」

「痛い目見るぜ」


 借金取り達に喧嘩をうられた。

 俺がトラブルに飛び込んだとも言える。


 俺は【元賢者レベル35】

 装備は対魔王用の人類最高クラス伝説級。

 武器等を一時的に『召喚』して戦う戦闘スタイル。


 正直、魔王軍幹部にも食い下がれる。

 相性にもよるが、俺に勝てる奴は、そう多く無い。


 街のゴロツキなど何人いようが……

 でも……一応、穏便に話で解決しよう。


 こう言う時は勇者の名前を使うのだ。

 そうすれば相手は大抵ビビる

 最低でも配慮してもらえる。


「ようガラの悪いお前ら」

「んだぁ。テメェ喧嘩売ってんのか?」

「俺は『勇者パーティー』の者だ」

「あん?」

「あん? じゃね〜よ。女おいて散れ。解散。逆らっても良いが、俺に逆らうのは、勇者に逆らうという事。勇者に逆らうと死ぬぞオマエラ」

「え!?」


 突然割って入った俺に、戸惑っていた男達

 徐々に俺の言葉を理解したのか、顔が青ざめる。

 俺はこの街でも、既に勇者パーティーの名前を使ってやりたい放題暴れてる。


 既に勇者パーティーと俺の悪名は広まってるのだ。

 コイツラにも知られているようだ。

 周囲に集まってきた野次馬も

 『オイ、勇者パーティだってさ』

 『うわ〜。あの娘運が良かったなぁ』

 『あの三人組かわいそう』

 などなど勝手な事を言ってる。


 等の借金取り3人組は……


「だ、騙されね〜ぞ。最近勇者パーティーを名乗る偽物がいるんだ」

「ほう そんな馬鹿がいるのか?」


 知らなかった。

 勇者パーティーは、ほぼ全滅してるのに。

 なのに、そんなバレやすい嘘をつく奴いるなら馬鹿だな?

 勇者パーティーを偽って悪さをするとは、勇気は認める。

 が………

 けしからん。


 俺も、もう勇者パーティーじゃ無いがな。

 俺は自分を棚に上げた。

 でも……『勇者パーティ』のプラチナ看板を今使っても別に構わないだろ?

 さっきまで『勇者パーティ』の一員だったから、完璧な嘘って訳でもないしな。

 人助けだし。


「お前も偽物。そうだろうが!」

「俺は本物だ。見てわからんか?」


 俺の装備は並ではない。

 見ただけである程度只者じゃ無いのはわかるだろう。


「テメェが最後の勇者パーティー様だと?」

「俺は勇者パーティーの【賢者】だ」


 俺は名乗った。

 既に今日パーティーは抜けた。

 だが………最後にもういちどだけ勇者パーティーの名前を使っても良いだろう?


 俺が勇者パーティーを抜けた事は、まだ……少数しか知らないはずだし。


「ハァ? 『賢者』だぁ? て事は勇者パーティーの最弱『2流賢者』か?」

「ハハハ。傑作だ。勇者パーティーを騙るにしても、よりにもよって賢者とはな」


 アレ?

 名乗ったら簡単に信じたけども………馬鹿にされた。

 何故だ?

 借金取りのゴロツキ共。

 ゲラゲラ笑いだした。

 『アレがあの『2流賢者』?」

 野次馬も微妙な反応。


「ナニがおかしい? なぜ笑う?」

「だってさ。有名だぜ。勇者パーティーの賢者は臆病者。最弱クソザコナメクジだって」

「な、なにぃ〜?」


 俺は今まで、たまに馬鹿にされる事は確かにあった。

 しかし直接、面と向かって、そんな事を言われたことは、今日がはじめてだった。

 

「傑作だぜ。勇者パーティーの『青の魔法使い』様が、そう言ってたから間違いない」

「な、ん、だ、と? アイツ………」


 またあいつか!

 あのクソ魔法使い。

 街のゴロツキにまで知られるほどに、情報操作で俺の評判を下げてやがったか。


 俺を追い出す為に………印象操作。

 俺の悪い噂をバラまいてたのか?

 不覚にも俺はこの街でも既に暴れてるのに気が付かなかった。


 アイツ……

 そこまでやるか?

 そこまでしてたのか?


 俺の評判を下げて勇者に告げ口してたな

 そうまでして俺を追放したかったか?

 ゆるせん。

 やっぱり、もんどきゃよかった。


「よりによって最弱賢者を名乗るとは………馬鹿だねぇ」

「最弱言うな。俺がその賢者じゃボケが!」


 街のゴロツキ程度に何故俺が罵られなきゃならん?


「最弱クソザコナメクジ賢者が、調子にのってんじゃね〜ぞ」

「!!!」

「俺らはマフィアだ! どけ」


 マフィア?

 マフィアに馬鹿にされる?

 魔王軍と最前線で殺し合いしてた俺が?

 

 この世界のおおまかな目安として

 非戦闘員はレベル1ケタ

 普通戦闘員が レベル10〜

 精鋭戦闘員が レベル20〜

 将軍クラスで レベル30〜

 魔王討伐に必要レベル60〜240

 

 俺、レベル35。

 魔王退治の役にはたてなくても………


 町でぬくぬく平民をイジメて、前線にすら出て来ないマフィアなんぞレベル20以下は確実だ。

 下手すりゃレベル10以下もあり得る。

 そんなのにからまれる?

 馬鹿にされる?

 ん?

 ガチで戦争してた俺が?


 前線帰りの戦闘員にとってはマフィアなど、恐怖の対象になどなるものか。


「その、クソザコナメクジ様が、どの程度のもんかみせてやるよ」

「ハァ? ヤル気? 俺らとヤル気?」

「馬鹿だねぇ」

「俺ら建前は商会の護衛だが、その実マフィアだぜ。楯突くの? マフィア怖いよ〜?」


 チンピラ3人組は調子にのってる。

 街のチンピラマフィア。

 要するに非戦闘員だ。

 それに絡まれる元勇者パーティーの一員ってなんだ?


 殺し合い上等の戦争最前線から帰ってきたら街のチンピラ? 

 商人の警備? 

 マフィア?

 に脅されました……みたいな。


 ハァ?

 対魔王軍最精鋭戦闘員が非戦闘員に絡まれて、例え三対一でも負けるわけ無いじゃん。


 だから

「ああ。マフィアに楯突く。てか潰す」

「もう一度言う。ウチは表は商会だが、それはフロント企業。裏はマフィアだぞ」

「謝れば、許してやるよ最弱賢者」

「よりによって、最弱の賢者を騙った。情弱嘘つきさん」


『オイオイ大丈夫か、あの人』

 野次馬も心配そうになってる。


 ん?

 『賢者』の本物だと思われて無い?

 いや本物でも偽物でも、どっちでも構わないと思われてるのか?

 マフィアに?


 完全に舐められてるな。

 舐められるのは嫌いじゃない。

 能ある鷹は爪を隠すとも言う………

 それに………

 なめて油断しきってる相手をボコすのは簡単だし、楽しい。


 相手はマフィア?

 魔王軍相手に殺し合いするのに比べれば、なんぼかマシだ。


 何よりも勇者パーティーを追放されてムシャムシャしてた。

 八つ当たりだぁ〜〜〜!


「よし。決めた。その最弱賢者が、オマエラ頭がハッピィーの商会ごとぶっ潰してやる」

「あ? あんだと?」

「昨日、勇者パーティーを抜けた八つ当たりだぁ〜! 覚悟しろテメェ〜ら」


 俺は対魔王用の装備をフル起動させた。

 『スタングレネ〜ド』を『召喚』する。



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