い2、3、俺がふられるのはコイツのせいだ!
「最後に伝えないといけない事がある。僕が君を呼び出した。しかし君…本……異世…から…た………無…。異……ら……ので、正…には異……なんだ。僕……とって君………………さ。あ、ちょっと待ってよ。聞けって」
去りゆく俺に勇者が後ろからなにかを言ってたが、聞き流した。
てか俺は聞いちゃいなかった。
勇者の話を聞かずに立ち去る。
今更だ。
何を聞いても何も変わらないだろうし。
もう……失って困る物はほとんど失ったのだから……迷惑をかける相手も、かばわなければいけない相手も、守らなければならない相手も、気を使わなければならない相手も失った。
気楽なものだ。
なのだから……遠慮などするものか。
もう大多数の見知らぬ人類の為に、強力な魔王軍と戦わなくても良いのだから……
自分だけを大切にすればいい人生
気楽で肩の荷がおりた人生。
人類だの国だの皇女様だの勇者様だの……俺には荷が重すぎた。
知るか!
せいせいする!
だが……それでもケジメだ!
俺を追い込んだ『青の魔法使い』に仕返しをしてから……俺の新しい人生をはじめるのだ。
新しい人生、その為に……
どういうスタートをきれるか?
それが大切だと思う。
スッキリとハッキリと『青の魔法使い』に仕返しをして気持ちよく、新しく人生ロケットスタートをきめるのだ。
だから……
さぁ
復讐という名の反撃を開始する。
俺の送別会で酔っ払った勇者パーティー様一行は各々宿へ戻って眠るはずだ。
場所は当然知ってる。
それが……
俺の絶好復讐チャンス。
既に発動済みのモノも含めて復讐プランは複数たててる。
今頃奴はもう、いい気分でグッスリ眠っているだろう。
俺を追放して、さぞいい気分だろうよ。
立場が逆ならそう思う。
青の奴、絶対にやってはいけない事をやってしまったのに……
許さん。
こんなに馬鹿にされて、俺が何も復讐しないと思ってるのだろうか?
今日コレから実行する俺の作戦は単純だ。
『青の魔法使い』の身ぐるみはぐ。
奴が酔っ払って潰れてるうちに………
俺から全てを奪った魔法使いの持ち物全てを奪ったる。
【青の魔法使い】
お前も、大切な物を奪われ泣くといい。
『青の魔法使い』の金もレアアイテムも持ち物も対魔王用特殊装備一式も………
全部奪ったる!
金は既に俺は勇者パーティーを抜ける際。
自分の取り分は、もらってる。
ふところは温かい。
数年は余裕で暮らせる。
人類が総力をあげて作った『賢者』用の対魔王用特殊装備の持ち出しも許可されてる。
でも………どうせなら『青の魔法使い』用の対魔王用装備も欲しかったわけで………
魔法職同士、若干ジャンルがかぶるので、使い道も多いから予備装備に欲しいのだ。
そして………ソレヲ失えば『青の魔法使い』は途方に暮れるはずだから………
強力な装備を失い、泣きながら市販装備で魔王に挑めるか試すと良い。
それは例えるなら奴だけが私服で豪華なパーティに出席する様な無謀な行為だ。
想像するだけでせいせいする。
だから……
俺は送別会の途中で席をたった。
落ち込むふりをして、その場で既にベロベロに酔いつぶれる勇者達に別れを告げて、街から旅立った。
「バイバイ」
と………
そういう事になってる。
全てはアリバイを作る為。
実際は1度街から出てコッソリ戻ってきた。
そして………深夜………
勇者達が滞在する宿へ
バレないように忍び込む。
魔法で極力気配を消す。
こんな魔法、普段なら絶対に勇者達にバレて通用しないが、今日彼等は酔いつぶれ寝てる。油断してる。
目標は『青の魔法使い』の部屋だ。
彼女の部屋の鍵を魔法で解除。
カチリ。
しめしめ。
部屋に入ると、酔いつぶれてベッドでグッスリ眠る青の魔法使いが見えた。
『青の魔法使い』は酒グセが悪い。
酒を飲んで眠ると敵襲でも中々おきない。 そんな事が何度もあった。
つまりはチャンスだ。
「しかし………けしからん」
酔いつぶれ半裸でベッドに眠りこける『青の魔法使い』の奴………
なんかエロかった。
いやいやいかん。
煩悩に負けそうになるが、いくらエロかろうが『青の魔法使い』は俺にとっては敵だ。
お前のせいで俺の恋が………
そう思っても………
しかし………けしからんスタイルしてるなコイツ。
ついつい目がいってしまう。
コイツは敵なのに………
コイツのせいで俺の野望が………
コイツのスタイルは………けしからん。
男の本能が憎い。
俺の手は敵と戦う為ではなく、女性の手を握る為についていると思っていた。
だが、もしかしたら性格の悪い美女の胸をを掴む為についているのかも知らない。
そんな邪念がうまれた。
「イカン。コレは罠だ。目的を見失うな」
しかしコイツ。
「ホントにけしからん身体だ。けしからん」
勇者が落ちるのも無理はなかった。
オッパイオッパイ
オッパイは男女共に皆好きだしな
眠りこける魔法使いは凄く………
けしからん。
17禁くらいはけしからんスタイルだ。
しかし………ここに長居をしてると、
俺の理性が、けしからん魔法使いにまけて………
俺も勇者同様けしからん事に
なりかねんので………
『青の魔法使い』の背中に『賢者専用』とか、一生消えない魔法のインクで落書き書きたかったけども。
勇者にバレたら怖いのでやめた。
犯人が犯行現場に証拠を残す訳にはイカンのだ。
「ナムマヌヤフラムワユナム」
だが………最低限、全力で呪っといた。
コイツと勇者の間に子供は出来ない。
そんな呪いをかけた。
本来そんな心配いらない。
でもでもだけども、コイツと勇者は何をしでかしても不思議じゃない。
用心はしとくべきだから。
勇者とコイツの子供なんぞ悲劇以外の何者でもない。
全力で、コイツと勇者の間に子供は作らせ無い。
そんな呪いをかけた。
呪いは解呪されるかもだけども………
そうなったら、それは仕方ない。
そんな呪をついでにかけた。
「さて、ソレは、そうと当初の目標は何処かな〜?」
俺は魔法使いの私物全てが入ってるであろうマジックアイテム、『魔法の箱』を探す。
コイツは約レベル250の大魔法使いだ。
いろんなマジックアイテムを持っている。
その持ち物の中でも俺がうらやむ白眉は
『青の魔法使い』が、どんなに大量の物資でも収納出来ると豪語する小さな『魔法の小箱』。
めちゃくちゃ便利な代物だ。
それさえあれば大荷物を手軽に運ぶ事ができる。
俺も前々から欲しかった代物だ。
『青の魔法使い』は魔法で『魔法の小箱』を常に隠し持っている。
何処にあるのか他人にはわからず、無くしても持ち主が呼べば現れる。
しかも鍵もかけられる
天下無敵の便利な『魔法の小箱』。
俺の狙いはそれだ。
その中に『青の魔法使い』の私物全てが詰まってるはずだから………
ソイツを盗めばコイツの所有物全部、俺に取られて泣くといい。
俺はコイツに復讐する為に『魔法の小箱』の情報を死にものぐるいで集めまくった。
隠された箱の見つけ方。
その魔法の箱の鍵も
呼んでも来なくなる封印方法も
何よりも所有権を俺に移す方法も
既に事前に調べてある。
長い調べものだった。
俺達は仲がとても悪かったから、常に弱みを探り合ってた。
『青の魔法使い』の俺に対する嫌がらせの切り札が、俺『賢者』を勇者パーティーから追放する事ならば………
俺が『青の魔法使い』へする嫌がらせの切り札が、この『魔法の小箱』を奪う事だった。
とても長い道のりだった。
情報収集が終わる前に、俺が追放されると決まってからの俺は焦った。
それからここまで数カ月。
俺が勇者に頼み込んで、パーティーを抜ける日を全力で遅らせた。
それは、この為だ。
魔法使いの魔法の箱について最後の調べを済ます為だ。
同じパーティーで、『青の魔法使い』と寝起きを共にする事もあるから調査もしやすかった。
それでも調べるのに苦労はした。
だが、不可能ではなかった。
調査を終えて、ようやく苦労が実る。
復讐ができる。
そもそもベッドで眠る女『青の魔法使い』が俺の悪口を吹き込んだから、勇者が俺を追放したに違い無い訳で。
俺は大切な名誉も野心も恋人を失う。
だが………お前も大切な物が全て入った『魔法の小箱』を失ってもらうぞ。
けしからん身体をした邪悪魔法使いめ。
「あった!」
俺はベッドの下にあった『魔法の箱』を見つけた。
これには『青の魔法使い』の私物全てが詰まってるに違いないんだ。
寝る時はいつもベッドの下に隠してる。
ベッドが無いときは、いつも敷毛布の下に隠してる。
長い観察の結果気がついた彼女の習性だ。
それにしても………
なんてベタな隠し場所だ。
エロ本の隠し場所と同じじゃないか。
シメシメと笑い、小さなそれを奪う。
ソレを懐に入れる。
ここでは中を見ない。
ここで余計な事をして時間を取られるリスクは避けたい。
後からいくらでも調べる事が出来る。
もう………反射的に『魔法の箱』は俺に所有権を移し終えたのだから………
有名な図書館に立ち寄ったおりに、魔王の弱点記録を調べると偽り、『魔法の小箱』について調べつくしたおかげだ。
おかげで所有権をアッサリと奪えた。
ここで、するべき事は終わった。
ようは済んだ。
そのまま、グッスリ眠りこける魔法使いを放置して、部屋をでる。
格上の敵の寝所に忍び込み、私物を盗む。
しかも本人に気が付かれずに………
スリル満点だ。
夜の町を歩いてる時。
しまった。
魔法使いの乳くらいは、ついでにもんどけば良かったかな?
とか思った。
それくらい上機嫌で余裕がある。
いい気分。
いい気分だから、まぁいいか。
予備を含めて装備全てを失ったレベル250の魔法使いめ。
人類最高クラスの装備を失い、お前も戦力外だと、勇者に追放されろ。
俺と同じ目に会えばいい。
何せ伝説級の装備を全て失ったレベル250の魔法使いなど………
魔王討伐には………
アレ?
はたと気がついた。
もしかして………
レベルが250もアレば、装備無くても、例えば全裸でも………魔王に勝てるんでね?
………………考えてみると
俺の復讐。
いみなくね〜か?
復讐に夢中で、俺と奴とのレベル差の事が頭から抜け落ちてた。
気が付かなかった。
レベル35の俺にとって、人類最高品質の対魔王用装備を失う事は死活問題だ。
しかし………レベル250もあれば………
そもそも装備とか必要か???
素手でも魔王に勝てるんでね?
………
………………
俺は時間を無駄にしたかもな。
無駄な努力で『魔法の小箱』を盗みだしたのかも知れない。
これを無くしても『青の魔法使い』は困らないかも知れない。
「クソ〜〜〜」
俺は自分の失敗に気がついた!
こんな事なら………やっぱり乳でも、もんどくんだった。
そっちのほうが、なんぼか有意義だったかもしれんし、スッキリしたかもしれん。
「ああああぁ。やっちまったぁ〜」
しかし………最低限呪っといた。
奴と勇者の間に子供は出来ない。
間違いない。
それだけが救いだった。
もしも奴と勇者の間に子供なんて出来ようもんなら、オレの心は完全敗北してしまう。
だから………それで満足しよう。
正直。
復讐を抜きにすれば、魔法使いの私物には、そこまで興味ね〜。
女物の装備にも下着にも興味ね〜し。
武器は多少なりとも欲しかったけども、それも予備どまり程度だった。
おれ………
異世界まで来てルンルン気分で女性の部屋に侵入して、スリルを楽しみながら女性の装備盗むとか………
それじゃまるで下着ドロじゃないか?
一瞬、前世界の記憶が………警察に捕まった下着ドロのコレクションが………
体育館いっぱいに並べられる下着ドロのコレクションが脳裏に浮かぶ。
最悪だ。
元の世界で稀にテレビにそんな光景が映るたびに、なんとも言えない気分になったものだ。
下着ドロなんてバナナの中身に興味をしめさず、バナナの皮に興味しんしんな変態じゃね〜か?
それと大差ない行為をウキウキとやってのけた俺も変態じゃね〜か?
俺は………いったい何やってんだろ?
いや待て負けるな俺。
全てを失ってしまったが、全てを失った今日を耐える事が出来れば、きっと明日から徐々に幸せな日々が来るだろう。
何故ならば今日こそが人生最悪の日なのだから、あとは良くなるだけさ。
そんなふうに考えろ。
最悪な今日を耐える為に。
手に今日の戦利品『魔法の小箱』をのせて、小箱の中から何気なく適当に1つ、つかみ取り出した。
すると……【魔王のブラジャー】が中から飛び出した。
ん?
………………………ハァ?
なんだコレ?
黒い女性物下着?
しかも魔王の?
何故だ?
変な物が『魔法の小箱』から出てきた。
意味がわからない。
コレが何かも、なぜこんなものが【青の魔法使い】の持ってた『魔法の小箱』から出てくるのか?
『青の魔法使い』アイツ魔王だったの?
そんな馬鹿な。
それはあり得ない。
俺はともかく勇者の目をあざむくのは不可能だ。
と、言う事は……
駄目だ。
考えても何もかもさっぱりわからない。
だが……
嘘から出た誠。
自分がマジのマジで下着ドロボーになってしまった事だけは理解できた。




