第十七章 植物感知入門
莉涅が根の庭に案内してくれた時、足取りはまだ少し細かかったが、さっきよりは落ち着いていた。
「ここが根の庭です」
声は大きくない。
「学院の中心です。地面は世界樹の根系で、縁の発光苔は夕方になると光ります」
中央の浅い水面を指した。
「あれが鏡池です。あの前で瞑想すると、植物の状態をより鮮明に感じ取れると言われています」
ここまで話した時、彼女の話す速度がわずかに上がった。語調も変わっている。詰まらなくなった。知り尽くしていることを話す人の声になっていた。
「鏡池の水は世界樹の根系の深層から湧いていて、一年中温度が変わらないんです。それと――」
「植物の話になると、まるで別人ね」
ナナが言った。
莉涅の口が止まった。耳の先端が赤くなり、さっきの緊張状態に戻った。
「わ、私はそんな……」
ナナは笑って、それ以上は追わなかった。
宇安がしゃがみ、手のひらを根の庭の地面に当てた。根系の表面は滑らかで、わずかな温度がある。掌の下に、とても遅い脈動を感じた。深いところで何かが呼吸しているような。
掌がそこに留まった時間は、触感を確かめるのに普通必要な長さより少し長かった。
「この脈動はどこでも感じられるわけではないんです」
莉涅は言った。
「根の庭は主根に一番近いから、特に強い」
宇安は頷いたが、すぐには立ち上がらなかった。掌の下のあの鼓動が、駄猫の宇宙のことを思い出させていた。管理人と宇宙の間にある繋がり。あれも同じだった。どこにでもあるのに、特定の場所でだけ、はっきり感じ取れるもの。立ち上がる時、視線が地面にもう一秒留まってから外れた。
莉涅が先を歩き、しばらくして立ち止まった。
「あちらに――」
左側の枝館を指す。
「今ちょうど基礎科のクラスが植物感知入門の授業中です。旁聴もできます」
彼女は一拍置いた。
「高学年の生徒が復習に来たり、その……再試験を受けに来たりすることもあるので、見慣れない顔が教室にいても不自然ではありません。静かに入って座れば大丈夫です」
宇安はナナを見た。
ナナの耳はもう立っていた。
「聴きに行きましょ」
◆
教室は枝館の二階にあった。木の階段を上る。一段ごとに形が少しずつ違う。自然に伸びたもので、切り出したものではない。
拱形の入口に藤蔓の簾が垂れていて、今は引き絞られている。授業中の印。莉涅が端に軽く触れると、体を横にして通れるくらいの隙間ができた。三人は後ろから静かに入り、最後列に座った。
教室の壁は薄い緑色を帯びている。空気にほのかな木の匂い。生徒たちは形も大きさも違う矮い腰掛けに座っていた。二十人ほど。全員エルフ族で、年若い。
講台に一人のエルフ教師が立っていた。
年老いている。エルフの「年老い」は他の種族とは違う。皺や白髪ではない。沈殿のようなもの。長い時間を立ち続けた木のような。髪は深い緑色で、若いエルフよりずっと濃い。後ろで束ねてある。指が長く、関節がわずかに曲がっていた。
講机の上に、一株の盆栽が置いてある。特別な植物ではない。ごく普通の、健康そうな小さな草。
「――植物の基本的な欲求については、前回の授業で学びました」
教師の声は安定していて、速くも遅くもない。
「水、光、養分。エルフ族は感知によって、一株の植物が何を必要としているかを判断できます。これは私たちの天賦です。しかし天賦は能力とイコールではありません。訓練によって初めて、正確に運用できるようになる」
宇安は壁に背を預けて聴いていた。視線があの盆栽と講台の教師の間を二度往復し、口角がわずかに動いた――騎士学院の基礎剣術の授業と似ている。どちらも「本能をどうやって制御可能な技術に変えるか」を教えている。彼は心の中で目立たない比較をしてから、聴き続けた。
「では、少し練習をしましょう」
教師の目が教室を一巡し、一つの方向で止まった。
ナナの座っている角。
「そちらの方」
彼は言った。
「エルフの感知以外に、植物の健やかな成長を助ける方法にはどんなものがありますか。前回の延長です」
ナナが一瞬きょとんとした。
横の莉涅を見た。
莉涅が口を開きかけた――
「他の方の解答に影響を与えないでください」
教師が言った。穏やかだが真剣な口調。
「分からなければ、分からないと言ってください。自分に足りない部分を認めることが、成長の第一歩です」
ナナの尻尾がわずかに逆立った。
「誰が知らないなんて言ったのよ」
彼女は立ち上がった。
「私が知ってる方法は、あなたが教えてるものよりずっと多い」
教室が一秒静まった。
教師がしばらく沈黙した。口角がわずかに引き攣る。
「では、一つだけ。できれば壇上で実演をお願いします」
ナナは席を離れ、講台に向かって歩き始めた。
莉涅の頭の中にアイレアの声が閃いた。「猫耳の方には特に注意を」――顔色が変わった。すがるように宇安を見た。目が「どうしたらいいの」と訴えている。
宇安はため息をついた。怒りではない。「また始まった」という種類のため息。手のひらが机の表面を軽く押さえた。自分に気合を入れるように。
先に立ち上がり、教師の傍まで歩いて、軽く頭を下げた。
「すみません、私たちは今日見学に来た外部の者です。学生ではありません。ご迷惑をおかけしました」
教師は彼を見て、それから講台に向かっているナナを見て、了解した。
「そうでしたか、他の種族の聴講生かと思いまして」
ナナの方を向いた。少し丁寧な口調に変わった。
「失礼しました。実演は不要ですので、お席にお戻りいただいて――」
ナナはもう講台の前にいた。
盆栽を見ている。尻尾が揺れた。
「見てなさい」
指を伸ばし、盆栽の葉に軽く触れた。
啓霊。
淡い光が指先から植物に流れ込んだ。
盆栽が微かに動いた。
教室が静まり返った。全員が見ている。教師も手を止めて、その盆栽を凝視していた。
宇安も席でわずかに前傾した――ナナの能力は何度も見てきたが、啓霊というものは彼にとってもまだ完全に馴染んだものではない。彼はあの盆栽を数秒じっと見ていた。視線は動かなかった。
ナナは植物と意思の疎通を試みた。
だがこの盆栽は、ただの授業用の草だった。歴史もなければ、語るべき記憶もない。意識は芽生えたが、言葉にならない。葉をわずかに揺らしているだけで、目を覚ましたばかりで自分がどこにいるか分からない存在のようだった。
ナナの口角がわずかに強張った。
素早く切り替えた。
傍から水の入った瓶を手に取り、盆栽の前に掲げた。
「水が欲しかったら、葉を一回揺らして」
盆栽が葉を一回揺らした。
教室の後ろで、誰かが小さく笑った。
ナナが水を注いだ。
盆栽の葉がわずかに伸びた。確かに水を欲していたようだ。
ナナは得意げに教師を見た。
三秒。
盆栽の葉が下を向き始めた。
意識を得た後の反応は、普通の植物より遥かに素直だった。萎れているのではない。満腹の倦怠。葉がだらりと垂れている。もし喋れたなら「もういい、もう注がないで」と言っているような。
教室の笑い声が大きくなった。
莉涅は最後列で顔を覆っていた。
ナナは講台の上に立っていた。萎れた盆栽を見つめている。尻尾が中途半端な位置で固まっている。得意げな表情がまだ顔に貼り付いているが、もう持たなくなっていた。
宇安が立ち上がり、講台に歩み寄った。
表情は変わらなかったが、足取りが普段より一拍速い――「そろそろ引き上げる時だ」というテンポだった。片手でナナの後ろ襟の布をそっとつまんだ。強くはない。「行くぞ」という力加減。ナナは引かれるまま歩き出した。足が少しぎこちない。尻尾がゆっくり下がっていく。
「すみません」
宇安はもう一度教師に言った。
「ご迷惑をおかけしました」
このセリフを言う時、まだ萎れている盆栽を一瞥した。その眼差しにはかすかな呆れが混じっていた。
教師は彼を見て、連れ去られるナナを見て、まだ萎れている盆栽を見た。講台まで歩き、手のひらを盆栽の上にそっと置いた。掌からかすかな緑の光。葉がゆっくりと起き上がっていく。
彼は体を起こし、ナナが消えた入口の方を見つめた。しばらく間があった。
「あれは……最も役立たずな超能力大会の、啓霊術か?」
独り言のように呟いた。
「あんな使い方もできるのか……」
◆
廊下は教室の中より少し静かだった。
莉涅が後ろを歩きながら、小さな声で言った。
「女王陛下に、あの方に実験設備を触らせないようにと言われたのですが……」
「確かに設備には触っていないな」
宇安は言った。わずかな間。
「……もしかすると、女王陛下は『あらゆる人と物に触れさせるな』と言うべきだったのかもしれない」
莉涅は笑うべきか泣くべきか分からなかった。
ナナは前を歩いている。尻尾はもう元通りに揺れていて、何事もなかったような顔をしている。
莉涅はナナの背中を見て、宇安を見て、深く息を吸い、勇気を出して訊いた。
「あの……次は温域を見学しますか?」
宇安はナナを見た。
少し間があった。
「……行こう」
彼はナナの反対側に回り込んで、並んで歩いた。横から彼女を見ている。眼差しには咎める色はなく、「見ているぞ」という意味だけがあった。口角にわずかな笑みが乗っていた。
ナナはその視線を感じて、耳を動かし、振り向いた。
堂々と言った。
「大丈夫よ。気をつけるから」
宇安は答えなかった。見ている。口角の笑みが少し深くなった。
「本当に」
ナナは言った。尻尾が揺れている。
「絶対にもう問題は起こさないわ」
宇安はまだ見ている。笑みは消えていない。
「……たぶん」
声が少し小さくなった。
莉涅は後ろを黙って歩きながら、心の中で思った。女王陛下が「絶対に、絶対に、絶対に事を起こすな」と三度繰り返したのには、やはり理由があったのだ、と。
三人は藤蔓橋を渡り、温域の方へ向かった。




