15.屋敷-#2
最終的に僕は3日で読み書きを全て覚えた。
どうやら、その言葉の名前はマーナ文字というらしい。
屋敷に来てから4日目。料理を覚えるそうだ。
地獄に行くのに料理などいるのか?
まぁ、いいか。今回はマーが教えてくれるそうだ。
僕はキッチンに呼ばれ、エプロンを着せられた。屋敷に男物のエプロンがないということで、ピンク色のエプロンになってしまった。
「よろしくお願いします。今日は何を作りますか?」
決まってるんじゃないのか。自分で決めろとな。
いつも朝食、昼食、夕食、と三食取っているのだが、あまりいいものがない気がする。
いや、美味しいんだ。だけど、作るのには物足りない感じがする。
「おすすめで。」
そう僕は答えた。マーは冷蔵室の扉を開け、中に入る。
冷蔵室に溜まっていた冷たい風が、かかる。
「寒っ。」
中はどんなに寒いことやら。
少しすると、マーは冷蔵室から出て来た。
鶏一匹を持って。
「は?ええ?」
「『は?』とは失礼ですね。今回はこれを捌きますよ。」
「さ、さばくっていっても…」
「あなたがなんでもいいといったんでしょう。」
確かにそうだ。鶏一匹を捌くなんて料理経験完全0の僕には無理だ。
「そこの棚の包丁とまな板を取ってください。」
僕はまず包丁の引き出しを開けた。
中には先がギザギザの包丁や、電動包丁。先に血がついた包丁までもが入っていた。
「ど、どれですか?」
マーははぁ、とため息をついて包丁の引き出しから血のついた先がギザギザの電動包丁を取り、上の棚を開け、指をさした。
「あのまな板を持って来て。」
指の先には大きな木のまな板があった。
厚さは国語辞典くらい。
あの電動包丁だと、プラスチックのまな板は半分に割ってしまうのだろう。
僕はそのまな板を持った。
「重っ。」
腕が取れるかと思った。
木も相当硬い素材で作られているようだ。
僕はそれを机に置いた。
マーはそこに鶏を置き、包丁で首を落とした。
ここは天国なのか?と疑うような光景だった。




