第四章 公爵の陰謀 5
短刀が喉元に迫ってくるのを見るのは、あまりゾッとしない。
(さて、どうするか)
公爵は一歩下がった位置に立って、こちらを見ていた。抑えようと努力しているのだろうが、口もとがひくついている。
人が殺されようとしているのに不謹慎な。大体こんな薄ら笑いを浮かべた気味の悪い中年親父に看取られるなんて美しくもなければ感動的でもない。ああやだやたと自身も充分不謹慎なことを考えながら、ロードライトは公爵の腰にレイピアが吊り下げられていたことを思い出していた。彼の腕のほどは知らない。だが、これを身につけてロードライトの所に来たということは、デリフェルの王女が仕損じる可能性も考慮に入れているのだろう。
反撃――できるかどうかは分からない。自分には簡単な防護の術もかけられている。多少の間ならしのげるだろう。
時間稼ぎもただの悪あがきにしかならないかもしれないが、やらないよりはマシな筈だ。ここでロードライトが死ねば、現国王が逝去された後、冗談でなく数百万単位の民が路頭に迷う羽目になる。
蝋燭の暖色の光を弾いて、短剣が鈍く光る。これを奪うことが出来れば……レイピアと短剣では勝負にもならないかもしれないが、ないよりはましだろう。
ロードライトの上に馬乗りになって、王女は相変わらず虚ろな瞳をしたまま、ロードライトの顔をのぞきこんでいる。灰色の髪が、さらりとロードライトの頬を撫でる。一国の王女であるはずなのに、彼女はひどく痩せていた。やつれていると言ってもいいくらいだ。
(国情に心を痛めて、と言った感じだな)
身なりもさほど豪華ではない。恐らくは彼女自身の趣味で身につけていたものなのだろう。この体格、顔色、嗜好。彼女は「王女」という地位に安穏と納まり、民の生活に目も暮れずに贅の限りを尽くすような暗愚な人物ではないだろう。そうロードライトは推測した。
ならば。
「私を殺せば、貴女の国の民は望みもしない戦に身を投じなくてはならなくなるでしょう。貴女はそれを望まれるのですか?」
静かに問いかければ、デリフェルの王女の動きがぴたりと止まった。刃が退くことはなかったが、進むのをためらうように、切っ先がわずかに揺れたる。光の失われた灰色の瞳を、ロードライトはまっすぐに見つめた。
「……あ」
か細い声が、小さな唇から紡ぎ出される。
「何をしている?」
いらつきよりは不審さが強い声。気配が揺れたのを感じ取って、ロードライトは思い切り毛布を蹴り上げ、体をはね起こした。悲鳴を上げることもせず、王女は易々とロードライトに組み伏せられる。
毛布越しに彼女の手首を抑え、ロードライトは彼女の手から短剣を奪い取った。
「ま、いくら非力でも一応僕も男だからね。これくらいは……っと!」
銀色の光が闇の中できらめく。公爵の剣が、ロードライトの金色の髪を数本切り払った。
「いくら一人は女性だからと言ってもねえ、短剣しか武器がない相手に二人がかりってな、ちょっと卑怯すぎないか……いっ!」
ガキン、と鉄と鉄が噛み合う嫌な音が響く。短剣で勢いのついた剣を受け止めれば、腕がじんと痺れる。寝台の上で、しかも女性を下敷きにしているという足場の悪さも相まって、ロードライトの体勢はかなり苦しいものになっていた。足場がしっかりしていなければ、力が入るものも入らなくなる。
「短気だねえ。デリフェルの王女に僕を殺させるんじゃなかったのかい。公爵が僕を殺せば、それは単なる内紛で終わってしまうよ」
「何、構いませんよ。あなたが死に、その場にはデリフェルの王女殿下しかいなければ、世間は勝手に誤解されてくれるでしょう。……王女殿下。ロードライト様を抑えなさい」
「!」
押さえつけていたはずの王女が強引に身を起こし、ロードライトを後ろから羽交い絞めにする。
「……っ、王女殿下、目を覚ましてください!!」
女性のものとは思えないほど強い力だ。暗示の効果が強くなっているのだろうか。
「ご安心下さい殿下。心臓を一突きにして楽にして差し上げますのでね。何、ご心配には及びませぬ。殿下にかけられた防護の術は、この剣には一切効かないのですよ。何せ、東照の術者が直々に呪詛をかけてあるのですから」
勝利を確信したのか、公爵の舌は軽やかに回っている。ロードライトはやけになって、勢いよく肩を揺らした。
「東照? へえ、僕を呼び寄せたのもその術者様とやらなのかな? だとしたら東照というのはたいした国なんだろうね。カレン達でさえ城の結界が破られたことにしばらく気がつかなかったようだから」
「そのようですね。『神に最も近い国なのだ』と、術者は申しておりました。……さて、謎も解けたことですし、思い残すことなくあの世に行っていただけますね」
(東照、か)
舞踏会の夜、城にしつらえられた神殿での逢瀬を、ロードライトは思い出していた。森が生んだ宝石のような少女の姿、不可思議な出来事。少女はそれに驚いた様子を見せずに、ロードライトに名前より大事なものだと言って、あの小枝を渡したのだ。
――持っておけ。それはお前を護るだろう。
本当に護ってくれるのだろうか。剣が空気を切り裂く音を耳にしながら、ロードライトは祈るような気持ちで目を閉じた。
「……茉莉」
結局会うことは叶わなかったな、と思いながら呟く。そういえば名前を聞いたのに、一度も自分で口にしたことはなかった。
東照の人間はおいそれと自分の本当の名前を人に教えることはないのだという。命さえ左右するというその名前を最後に口にするのは、自分の最期にふさわしいもののように思えた。
どごっという鈍い音が聞こえたのは、その時だった。
「呼んだか?」
「……へっ?」
この場で聞こえるはずのない、少しだけ低くて落ち着いた女性の声に、ロードライトは思わず目を開いた。
まず目に入ったのは、見覚えのない食べ物だった。パンに似ているがそれにしては平べったく白っぽいし薄すぎる。食べかけなのだろう。野菜と肉の炒め物らしきものが巻かれたそれを、華奢な手が持ち主の口に運んでいる。
手の動きを追って顔を上げて、ロードライトはそこで固まった。
先ほどまでは確かに、狂気を瞳に宿した中年のややハンサムといえないこともないかもしれないけれども微妙な感じの公爵がそこにいたはずだった、のに。
なぜか今は、見慣れない服を身につけた小柄な少女が、もぐもぐと口を動かしていた。服も食べ物も見慣れないものだが、その顔にははっきり見覚えがある。
「まつ…り?」
信じられない気持ちでロードライトがつぶやくと、東照国の少女は口をもぐもぐ動かし、ごくんと食べ物を飲み込んでから、思い切り眉根を寄せた。あ、機嫌が悪くなったのだと、ロードライトは新鮮な気持ちになった。
「呼ぶのは構わないが、もう少し時間を考えてくれ。茶をあちらに置いてきてしまったぞ。これは少し味付けが濃いから、飲みものなしで食べきるのは辛いんだ」
「ご、ごめん」
何に謝ればいいのか良く分からなくなりながら、ロードライトはとりあえず謝罪の言葉を口にのぼらせた。
「それにしても」
そこで言葉を切って、異国の少女は辺りをきょろきょろ見回し、ついで自身が踏みつけている男性に気づいてその上から降りた。どこを踏みつけられたのかは分からないが、公爵は声もなく丸まっている。気を失ってはいないようだが、しばらくは動くこともままならないのではないだろうか。ロードライトは、ザマミロと心の中でこっそり悪態をついた。
「……よければ彼から剣を奪っていてくれるとありがたいんだけど」
「ん? ああ、これか」
床に投げ出された細身の剣を手にとって、茉莉はそれをすっと蝋燭の光にかざした。
「術がかけられているのか」
一目で見抜いたらしい。剣をつくづくと眺めてから、彼女はそれを無造作に宙に放った。くるくると弧を描きながら宙を舞った剣は、丁度放物線の頂点あたりに来た途端に、銀色の光の粉になって霧散した。
「!」
「術だけ解いても良かったんだが。悪いがお前とこの男、どちらの味方をすべきか私には判断がつかんのでな。……それで」
食べ物らしきものを片手に持ったまま、茉莉は首をかしげる。
「私はひょっとして邪魔をしたのか?」
純粋に尋ねるだけの声音だった。特にうろたえたような素振りも見せていない。何に対して邪魔だと尋ねられているのか、一瞬本気で分からずぽかんと茉莉を見つめると、彼女の視線がロードライトの後方に向けられた。
「……あー」
そういえば、まだデリフェルの王女がロードライトを羽交い絞めにしていたのだ。
夜中の寝台の上。さらに自分は先ほど暴れたせいで着衣が乱れている。なるほど「そういう場面」だったと勘違いされてもおかしくはないだろう。……自分の右手には、まだ短剣が握られてはいるのだが。
「違う。今まさに串刺しにされようとしてた所」
「そうか」
「彼女にも術がかけられているらしいんだけど。君、東照の人間だよね? これ、何とかできる? 東照の術式だって、そこの公爵が言ってたんだけど。東照ってのは、こうやって人を操るのに術を使ったりもするのかい」
何気なく尋ねたつもりだったのだが、茉莉は気を悪くしたのか、むっと顔をしかめた。
間近で彼女の表情の変化を見るのは初めてだ。顔の造りは蒼麗人に似ているが、やはり彼らともまるで違う。くっきりと通った鼻梁、アーモンドのような瞳、癖のない真っ直ぐな髪。象牙色の肌は化粧をしているわけでもないだろうに、闇に浮かび上がるような白さがある。
「東照でも傀儡の術は外法として忌み嫌われている。大体、意志のあるものを操るような術は不完全で、ちょっとしたきっかけでもすぐに崩壊する。……操られているのか、その娘は」
「そのようだね」
白魚のような華奢な造りの手が、ロードライトの頬を掠めて後ろの王女に伸ばされる。ひやりと冷たい腕の感触に、ロードライトは目を細めた。かぐわしい水の匂いがする。
茉莉の髪がさらさらと体にかかる。寝台に片足を乗せ、ロードライトを挟んで茉莉と王女が向かい合う形になる。茉莉が何かを小さく口の中でつぶやくと、ロードライトを拘束していた二本の腕からくたりと力が抜けた。とさりと頼りない音を立てて、王女が後ろに倒れたのを感じ取り、ロードライトはようやく体から力を抜くことが出来た。
「助かったよ、ありがとう」
茉莉は鷹揚に頷くと、パンのような食べ物を再び口に運び始めた。それを見て、ロードライトはそういえば自分も空腹を覚えていたことをやっと思い出した。思い出したとたんにグルルル、と腹が音を立てる。
「食べかけな上にこれしか持っていないんだが。食べるか?」
「……いただきます」
差し出された食べ物を、赤面しながらロードライトは受け取った。
甘辛く味付けされていたその食べ物は、初めて口にするものだったがなかなかの味だった。好きなのと尋ねれば、たまたま屋台で目に付いたから私も初めて買ってみたんだと答えが返ってきた。腹が減っていたのは確かだったので、茉莉の許可をもらってからそれをがつがつと平らげる。
およそ王子らしくない振る舞いだったが、自分以外に唯一意識を保っている女性は、そういうことを気にする性質ではないらしい。ロードライトが腹ごしらえをしている間も、興味深げにきょろきょろと辺りを見回していた。
「その服は蒼麗のものだね。初めて会ったときに着ていたあの服は?」
「蒼麗では悪目立ちするのでな。荷物の中に入れてはいたのだが、置いてきてしまった」
「蒼麗にいたの?」
「西に向かっていた。言っただろう、当てのある旅をしていた訳ではないと」
およそ色気のない、簡潔なやり返事だ。聞きたいことは山ほどあるが、今はそれどころではない。とりあえず、ここから出なくては。それも出来れば、デリフェルの王女を連れて。
「それで」
「ん?」
「神樹の枝を介して私を呼びつけたくらいだ。切羽詰った事情があるのだろう。……お前はどうしたいんだ」
「さし当たっては、ここで倒れているデリフェルの王女殿下と一緒にここを脱出したい、かな」
「その女はお前の妻か何かか?」
「いや、全く。初対面だし僕が彼女を妻に迎えることはまずないだろうね。戦争が起きる。彼女をここで見捨てても起きるだろうけど。無事に国まで送り届けないと」
「戦か」
「ああ。力を貸してもらえるなら貸して欲しい。僕は武芸はからきし駄目なもんでね」
「私も武術は得手ではないが……まあ、乗りかかった船だ。協力しよう」
「感謝するよ。ところで君は東照ではそれなりの地位にいたのかな?」
茉莉は感情の読めない顔で、ロードライトを見上げた。池越しに見た時はとてつもなく偉大な女神のようにさえ思えたのに、こうしてみればミランダよりもずっと小さい小柄な女性だ。雰囲気は確かに神秘的ではあるけれども、普通に食事はするし、言動もなんだか少しずれている。
「それを聞いてどうする」
「いや、僕これでも一応クラルテの第一王位継承者なので」
「?」
「君が東照のお姫様だったりすれば、遠慮なく妃に迎えられるかなあなんて思ったりするんだよ……ねっ!」
口説いたつもりだったのだが、茉莉はその言葉を額面通りにだけ受け取ったらしい。残念ながらと言いながら、軽く首を左右に振った。
「私は単なる一介の術者だ。姫君でもなければ王族でもない。大体、姫君や王族が、供も連れずに一人で屋台で買い食いをしているはずがないだろう。……縛り方が緩いぞ。それでは暴れられたらすぐに緩んでしまう」
「ん? そうかなあ」
「貸せ」
細く裂かれたシーツを手にして、茉莉は手馴れた様子で公爵の腕を縛り付けていく。公爵を縛り上げるのは彼女に任せ、ロードライトは脱がせた公爵の上着のポケットを探った。
「あったあった」
カチリという金属音に、指先に触れる冷たい感触。鍵束だ。
「出られそうか」
「なんとかね。問題はここがどこかってことなんだけど、まぁ、なんとかなるだろう。西部には間諜を多めに放ってるはずだから、そのうちの一人とでも連絡をつけられれば」
良く分からないのだろう。ふぅんと生返事をしながら、茉莉は足を使って結び目をさらにきついものにする。ぐっと猿ぐつわをかまされている公爵が悲鳴を上げたが、茉莉はそれを少しも気に留めず、残った紐で公爵をベッドの柱に縛り付けにかかった。
「終わったぞ」
ぱんぱんと両手をはたきながら、茉莉が腰を上げる。
「お疲れ様。で、王女様なんだけど、起きないんだよね。負ぶっていくしかないのかな」
疲れが取れていない状態でさすがにそれは遠慮したい。だがここに残していけば、公爵と内通している誰かによって、王女が殺されてしまう危険がある。出来れば彼女の身の安全も確保したいところなのだ。かといって茉莉が負ぶっていくのはまず無理だ。デリフェルの王女は痩せてはいるものの比較的長身で、茉莉よりはかなり大きい。
仕方ないかなとロードライトが腹をくくって腕まくりをする。その横で、茉莉が「ふむ」とうなった。
「式を使うか」
「え?」
「……最初から呼べばよかったな。すっかり忘れていた……いかんな、勘が鈍っている」
「茉莉?」
ロードライトが呼びかけると、茉莉は片手で近づいてこようとする青年を押し留めた。
「下がっていろ、働き手を喚ぶから」
言葉と同時に、茉莉の髪がふわりと浮き上がってさっとばらける。漆黒の髪が波打ちながらその場に広がった。「何かが始まる」気配を察したロードライトは、王女を担いで慌てて部屋の隅に避難する。
茉莉の両手が複雑な形で組まれ、足元に見たこともない形の円陣が浮かび上がる。緑とも紫ともつかない色に光る円陣と共に、森の中にいるようなすがすがしい気が辺りに満ちた。
術を使う時の鉱術師に似ている、とロードライトは感じた。だが、彼女の姿はそれとはまた違った、神々しささえ感じさせる威厳に満ちている――。
意味の分からない言葉が、謡うような旋律を伴って茉莉の口から漏れる。遠くで鈴が鳴る音が聞こえた。
「――恵方」
エホウ。不可思議な響きが辺りに満ちる。
赤い光が、茉莉の胸の上あたりにぽかりと浮かんだ。それを抱き込むように茉莉が体勢を変える。恍惚とした風に茉莉が瞳を伏せ、唇を薄く開いた。
赤い光を彼女が自分の中に抱え込んだと同時に、蛹から蝶が羽を震わせながら広げていく時のように、光の霞が広がった。それはやがてはっきりと形を結び始め、気がついたときには、茉莉の目の前に赤くうごめく炎の髪を持った女性が現れていた。肌は薄赤く、見たこともないような衣装を纏っている。
「水廉」
茉莉の指がそのまま水平に弧を描く。指先から蒼い光が漏れ、次の瞬間には恵方の横に、青く光る水の髪を持った男性が佇んでいた。見慣れない服装をしているのはこちらも同じだったが、腰に佩かれた剣などから、この男は恐らく武装しているのであろうとロードライトは判断した。
二人がさっと茉莉の頬に触れると、茉莉の服装までもが一瞬のうちに変化する。厚い上着を腰の上の帯できゅっと結ぶ蒼麗の服が、ゆったりとしたガウンのような袖の上着、紺色の巻きスカートのような代物に変わった。それは、初めて遭った時のあの格好にとても近い。違うのは、その上からさらに、かわせみの羽のような薄い透ける上着をまとっていることだ。
やがて円陣が消えると、そこには二人のこの世の生き物でないことが明らかな人物と、先ほどとは様子ががらりと変わった女性が立っていた。ベッドの柱に縛り付けられた公爵でさえ、呆然とした様子で茉莉と見つめている。
「水廉、そちらの姫君をお連れしろ。恵方は先に立って灯りを」
二人は声を発することなく深く礼をする。男の方がロードライトに近づき、彼の手からデリフェルの王女を受け取ると、軽々と抱え上げた。
ロードライトのほうに手を伸ばしながら、茉莉がふと戸惑った様子で口を開いた。
「ロードライト、と呼んでもいいのか? それとも王子殿下の方がいいか。私は知らないうちに随分不敬を働いていたような気がするな。すまない、クラルテの敬語はそれほど巧くないんだ」
「いや。そのままで構わないよ。……その服は?」
「法衣のことか? これは術を使う時の正装なんでな。服装が整ってなくても術は使えるが、不慮の事態に備えるならこちらの方がいい。なんだ、初めて見たのか? 式を使う術者はさほど珍しい存在でもないのだが」
「クラルテには、そもそもそういう概念がないからね。彼らは、人間じゃないの? ……と。それどころじゃないか、今は」
脅威よりも好奇心の方が先に立ち、質問したいことがぽんぽんと飛び出してきそうになるのを、ロードライトはぐっとこらえた。とりあえず、今は脱出が先だ。鍵束をじゃらりと鳴らしながら、ロードライトは扉に向かって歩き出した。




