第三章 第七話 空の荷車
翌朝、五人が街道脇の野営地を出た時、東の空にはまだ朝の淡い色が残っていた。昨夜は街道から少し離れた共同井戸のある小さな野営地で休み、夜のあいだに大きな物音や馬車の往来があれば分かるよう、無理のない範囲で交代しながら周囲へ注意を向けていたが、放置された荷車の方角から人が争う声も、車輪が動くような音も聞こえなかった。それだけで荷車が昨夜のまま残っているとは決められないため、朝食を簡単に済ませると、五人は昨日来た道を半刻ほど戻った。
レンは朝から移動椅子を使っていた。昨日は黒銀剣の柄を握ったものの、右上腕にも左手にも目立った悪化は出ていない。それでも、今日は斜面の荷車を詳しく調べる予定がある以上、そこへ着くまでの歩行で余分な疲労を増やす理由はなかった。黒銀剣も厚布に包まれたまま荷台へ固定されている。アイリの両手と右肩にも昨日から大きな変化はなく、ガリックの左脚と脇腹も夜の休息で悪化してはいない。エリリアは朝の空と木々の動きを見て天候を確かめたが、今日も風の魔法には頼らなかった。
「見えた」
街道の先を見ていたアイリが声を上げた。
昨日と同じ場所で、二本の轍が南側の草地へ逸れている。その先、緩い斜面の途中には木製の貨物荷車が傾いたまま残っていた。馬も人もいない。荷台の位置も、ミレナが記録した範囲では昨夕と変わっていないように見える。
「少なくとも、丸ごと持っていかれたわけではないな」
レンが言った。
「そこまで」
ミレナがすぐに止める。
「昨日と同じ荷車に見える、まで。夜の間に誰かが来て中を触った可能性は残る」
「分かってる」
「ならいい」
ガリックは幌の縁から荷車を見つめた。
「まず昨日の記録と比べる。降りる前に、見えるところからだ」
エリリアが馬車を街道の邪魔にならない位置へ寄せ、五人は昨日と同じように斜面を見渡した。荷台の側面へ結ばれた木札は残っている。左側の車輪は昨日と同じ深さまで土へ沈み、車体の前側も低く落ちたままだった。昨日確認した二つの木箱、一つの麻袋、丸めた布も、少なくとも街道から見える位置では移動していない。
「昨日の紙」
ミレナが記録袋から折り畳んだ紙を出した。
アイリが横から覗き込む。
「人影なし。馬なし。見える範囲で木箱二、麻袋一、丸めた布一」
「全部ある?」
「見える分は」
エリリアが答えた。
「貨物札も残っています」
「じゃあ次」
ガリックが轍を指した。
「昨日は幅を測ってない。今日はそこからだ」
彼自身は左脚の状態から斜面へ降りない。代わりにエリリアとミレナが昨日と同じ経路で下り、アイリが街道上から記録を取り、レンとガリックが比較と判断を担当することになった。危険が見つからない限り、触れる物も一度に一つだけ。何かを動かす前には、必ずその位置と状態を先に確認する。誰かが「こうだ」と思っても、その判断と実際に見たものは分けて残す。
「昨日より本格的だね」
アイリが言った。
「触るなら当然だ」
ガリックが答える。
「後で何か分からなくなった時、自分たちが動かしたせいなのか、最初からそうだったのか区別できなくなる」
「六年前も?」
口にしてから、アイリは少し表情を曇らせた。
ガリックは怒らなかった。
「あの時は、区別する暇もなかった」
「ごめん」
「謝るな。だから今はやる」
それだけ答え、彼は斜面へ視線を戻した。
◇
最初に確認したのは、街道から外れた二本の轍だった。ミレナが細い縄を使って左右の跡の間隔を取り、その長さを変えないまま荷車の近くへ運ぶ。エリリアが沈んでいない右側の車輪と反対側の位置を基準に幅を確かめると、ほぼ一致した。
「完全に同じ?」
アイリが上から尋ねる。
「誤差はあります」
エリリアが答えた。
「土が崩れているので、指一本分くらいは正確に取れません。でも、この荷車の幅と大きく違うとは思えません」
「じゃあ、この轍はこの荷車?」
「可能性は高い」
ミレナが言う。
「でも『確定』とは書かないで」
「分かってる」
アイリは紙へ書き込んだ。
「車輪幅と轍幅、おおむね一致。路面の崩れがあるため完全一致は未確認」
「それでいい」
ガリックが頷く。
次は街道を外れた位置だった。轍は突然草地へ向かっているが、その直前に車輪が大きく蛇行したような跡はない。片方の轍だけが一度深くなり、そこから南側へ斜めに逸れている。
「石を踏んだ?」
レンが街道上から聞く。
ミレナが土の近くへしゃがみ込む。
「大きな石は見えない」
「昨日のうちにどけられた可能性は?」
「ある。小さい石なら車輪に弾かれたかもしれないし、路面そのものが崩れた可能性もある」
「馬が急に曲がったとか」
アイリが言う。
「それもある」
ガリックはしばらく轍を見た。
「荷車だけ見ても分からんな。馬がいない以上、御者がどう手綱を切ったかも分からん」
「暴れた馬が荷車を引っ張って、そのあと逃げた?」
「あり得る。ただし、馬具を見てからだ」
荷車の前方へ回ったエリリアが、地面に落ちている革紐を見つけた。
「馬具の一部があります」
「触る前に見て」
アイリが呼びかける。
「はい」
エリリアはしゃがまず、立った位置から状態を確認した。荷車の前部から伸びる牽引用の革帯の片方が地面へ落ちている。端は泥で汚れているが、裂けてはいない。
「切れてる?」
「見た限りでは切れていません。金具から外れているように見えます」
「金具は壊れてる?」
ガリックが聞く。
「少し待ってください」
エリリアが角度を変え、ミレナも隣から覗く。
「金具そのものは残ってる」
ミレナが言った。
「折れてはいないように見える」
「なら馬が暴れて自然に抜けた?」
レンが尋ねる。
「そこまでは言えない」
ガリックが即座に返した。
「金具が正常でも、固定が甘ければ外れる。誰かが外した可能性もある。馬が引いた拍子に抜けた可能性もある」
「つまり、馬が逃げたのか、外されたのかも分からない」
「そうだ」
記録へは、牽引革帯の片側が金具から外れ地面へ落ちていること、革自体に大きな断裂は見えないことだけが書かれた。
荷車の損傷も、明るい朝なら昨日よりよく見えた。左車輪は泥へ沈んでいるが、車輪そのものが割れているわけではない。問題は前側だった。車軸を支える木製の受け部分が斜めにずれ、その周囲に新しい擦れがある。
「折れた?」
アイリが尋ねる。
「完全には折れてない」
ミレナが答える。
ガリックは街道上から見える角度を変えようと上体を傾けたが、左脚を動かそうとしてすぐに止めた。
「無理するなよ」
レンが言う。
「してない」
「今しようとした」
「見えないだけだ」
「それを無理って言うんだろ」
「お前に言われたくない」
「今日は剣抜いてない」
「昨日からそれで威張るな」
アイリが二人を見る。
「二人とも動かない」
「分かってる」
二人の返事が重なった。
斜面の下では、エリリアがずれた木部を目で追っていた。
「木が削れています。でも、切断したような平らな面ではありません」
「衝撃でずれた可能性は?」
ガリックが尋ねる。
「あると思います」
「思う、までだな」
「はい」
故意に壊された形跡は、少なくとも今見える範囲では確認できない。しかし、自然な事故だったと断定できる材料もない。車輪が道を外れたから受け木が損傷したのか、先にどこかが壊れたから道を外れたのか、その順序さえ決められなかった。レンはその説明を聞きながら、少しだけ安心している自分に気づいた。昨日、放置された荷車を見つけた瞬間には、また王都で追っていた何かへ繋がるのではないかという考えが頭を過ったが、細かく調べれば調べるほど、目の前には答えよりも分からないことが増えていく。以前ならそれを焦れったいと思ったかもしれないが、今はむしろ、その方が正しい気がした。
◇
外側の確認を終えてから、ようやく荷台を調べることになった。
最初にミレナが貨物札を確認する。薄い木札へ書かれた内容は昨日と同じだった。
『乾燥麦 二十四袋』
『荷主 東部穀物組合第三倉』
『行先 ベルナ継駅倉庫』
木札の紐は荷台の側板へ通されており、目立った断裂はない。札の裏側にも別の文字はなく、上から削り直したような跡も肉眼では見つからなかった。
「本物っぽい?」
アイリが尋ねる。
「見た目だけなら普通」
ミレナが答えた。
「でも、本物の札かどうかは発行元の記録と照合しないと分からない。書き方を真似しただけでも作れる」
「昨日と同じで、真正性は未確認」
「そう」
「紐を一度外して付け直した跡は?」
ガリックが聞く。
「分からない。結び目は普通に見える」
「なら、それ以上は書くな」
荷台の後部へ回ると、昨日は側面からしか見えなかった内部を初めて正面から確認できた。二つの木箱は右前方へ寄せられ、一つの麻袋は左側の壁際に倒れている。丸められた布は荷台中央のやや後ろにあり、それ以外には大きな荷物はなかった。
「本当に、これだけ」
ミレナが言う。
荷台は空ではないが、二十四袋の麦を運ぶ貨物車として見れば、ほとんど何も積まれていないに等しかった。
「床を見て」
ガリックが言った。
「何かある?」
ミレナが荷台へ足を掛ける前に、エリリアが少し離れた位置から内部を見た。
「細かなものが散っています」
「麦?」
アイリが尋ねる。
「分かりません。黄色っぽい粒と、乾いた殻のようなものがあります」
「取るなら一粒だけ。位置を記録してから」
ミレナが床へ上がらず、後部から手の届く場所に落ちていた粒を一つだけ布へ取る。潰れないよう包んで街道上へ戻し、アイリが確認した。
「麦だと思う」
「思う?」
「少なくとも、私が知ってる乾燥麦にかなり似てる。でも種類までは分からない」
「ならそう書く」
ミレナが記録する。
「荷台床面に麦に似た穀粒と乾燥した殻。種類、積荷との同一性は未確認」
「二十四袋を積んでた証拠になる?」
レンが尋ねる。
「麦が一粒落ちてるだけではならない」
ガリックが答える。
「一袋だったかもしれんし、前の荷が麦だったかもしれん」
「床の跡は?」
荷台の木板には、細長い擦れと、何か重いものを長く置いたような色の違いが複数残っていた。埃が薄く積もっている場所と、木目が露出している場所がまだらになっている。
ミレナが目を細める。
「袋みたいなものが置かれてた跡には見える」
「数えられる?」
「無理。重なってたら形も変わるし、荷台が揺れて動いてる」
「二十四って数字へ合わせるなよ」
ガリックが念を押す。
「分かってる」
ミレナは少し笑った。
「昔の私なら、二十四個見つけようとしてたかも」
「今は?」
「二十四個あるかどうか分からないって書く」
「それでいい」
二つの木箱は、外側に積荷を示す文字がなかった。一つは蓋が僅かにずれており、中を覗くと何も入っていない。もう一つは閉じていたが、錠は掛かっていなかった。
「開ける?」
アイリが尋ねる。
ミレナはガリックを見る。
「どう思う?」
「持ち主が分からない物だ。勝手に開ける理由は弱い」
「でも、誰かが中に助けを求める物を入れてる可能性は?」
レンが言う。
「人が入れる大きさじゃない」
「薬とか、名前とか」
「可能性を言い始めたら何でも開けられる」
ガリックは少し考えた。
「外から危険物の兆候もない。今日は開けない」
「じゃあ未確認」
「そうしろ」
倒れた麻袋には、手のひらほどの裂け目が一つあった。そこから見える中身は乾燥麦だった。
「これは確実?」
アイリが聞く。
「見える範囲では麦」
エリリアが答える。
「袋の印は?」
「ある」
ミレナが側面を見る。
黒い染料で押された簡素な倉印があり、その下に小さな数字が二つ並んでいた。
「東部穀物組合第三倉と同じ?」
レンが尋ねる。
「名前そのものはない。でも、札の荷主の印と似てるかもしれない」
「似てる?」
「私は第三倉の正式な倉印を知らないから」
「じゃあ照合が必要」
「そう」
丸められた布も広げなかった。外から見える部分には血や大きな汚れはなく、荷を覆うための厚布に見える。これも用途は未確認として残した。
そして最後に、御者台を確認した。そこには小さな革袋と、薄い帳面が一冊残されていた。
「昨日見えてたやつ」
ミレナが言う。
「触る?」
アイリが尋ねる。
今度はガリックがすぐには答えなかった。
「帳面は、荷車の所有や御者を確かめる手掛かりになるかもしれん」
「木箱と違って調べる理由がある?」
「人が消えてる可能性があるからな」
「人が消えたとは決まってない」
レンが言う。
「そうだ。だから、御者が誰だったのか、今どこへ行ったのか確認するための手掛かり、と言い直す」
「五つ目」
ミレナが言った。
「いちいち言うな」
「でも今のは良かった」
「褒められても嬉しくない」
薄い帳面は、エリリアが先に位置を確認し、ミレナが乾いた布越しに持ち上げた。表紙には名前がなく、使い込まれた革の端が擦れている。中は貨物の正式な台帳というより、御者が自分用に書いたと思われる簡単な覚え書きだった。
最初の数頁には日付らしい数字、宿代、馬の餌、水、車輪油などの短い記録が並んでいる。
「名前は?」
レンが尋ねる。
「今のところない」
「今日の記録は?」
「待って」
ミレナが頁を一枚ずつ確認する。
最後に文字がある頁で手が止まった。
「昨日の日付らしいものがある」
「何て?」
「『西宿場、水三、飼料一。ベルナまで二日』」
「西宿場?」
アイリが振り返る。
「私たちが泊まった宿場?」
「宿の名前じゃないから断定できない」
ミレナが答えた。
「御者が単に西側の宿場って呼んでた可能性もある」
「でもベルナまで二日」
ガリックが地図を見る。
「この辺りからなら、荷の重い車なら不自然ではない」
「その下は?」
「空白」
「名前も、積荷も書いてない?」
「ない」
「二十四袋も?」
「書いてない」
帳面には、それ以上の答えはなかった。
革袋の方には、少額の硬貨と火打ち石、予備の靴紐、それに小さな木片が入っていた。金が残っているから強盗ではない、と言うことはできない。盗る価値がないと判断された可能性も、持ち主が自分で置いていった可能性もある。ただ、御者が急いで自分から荷車を離れたのだとすれば、金の入った袋まで置いていったことには少し違和感があった。
「違和感は書いていい?」
アイリが聞いた。
「事実と分ければ」
ミレナが答える。
「事実は、少額の硬貨を含む革袋が御者台に残っていること。推測は、本人が自分から離れたなら持っていく可能性もあった、くらい」
「強盗の証拠ではない」
「もちろん」
五人は同じ紙へ、事実と推測を別々に書いた。
◇
調査を終えた時には、朝の冷たさが消え、街道を通る荷車の数も増えていた。途中、何人かの旅人が五人の様子を見て速度を落としたが、誰も斜面の荷車について声を掛けてはこなかった。
レンは移動椅子のまま、まとめられた記録を読んだ。轍幅は荷車の車輪幅とおおむね一致する。牽引革帯の一方が金具から外れているが、断裂は見つからない。前部の木製受けに擦れとずれがあるものの、損傷が事故の原因なのか結果なのかは分からない。荷台には二つの木箱、一つの麦袋、丸めた布。貨物札には乾燥麦二十四袋と書かれている。荷台には麦に似た穀粒と、過去に荷が置かれていたようにも見える擦れや埃の差があるが、二十四袋が実際に積まれていたとは証明できない。御者台には金を含む革袋と個人的な帳面が残り、帳面にはベルナまで二日という記載があるものの、御者の名前も積荷の内容もない。調べる前より情報は増えたが、そのぶん、何が起きたのかについて分からないことも増えていた。
「結局、空なの?」
アイリが荷車を見る。
「空ではない」
ミレナが答えた。
「でも、札どおりなら足りなさすぎる」
「二十三袋足りない?」
「そう言わない」
「何で?」
「一袋だけが最初からこの荷だったって確定してない。今ある袋が札に書かれた二十四袋のうちの一つなのかも分からないから」
「そっか」
アイリは少し考えた。
「じゃあ、何がなくなったかも分からない?」
「そういうこと」
ガリックが答えた。
「今分かるのは、札に書かれた内容と、今見える荷が合ってない。それだけだ」
「御者もいない」
レンが付け加える。
「馬も」
エリリアが続けた。
「でも死体も血も見つからない」
アイリ。
「争った明確な跡もなし」
ミレナ。
ガリックはゆっくり頷いた。
「なら次は、人に聞く」
「誰に?」
「この道を昨日通った奴。近くの農村の人間。宿場から東へ向かった商人」
「目撃者」
レンが言った。
「いるかどうかは分からんがな」
「農村は近い?」
エリリアが地図を開く。
「昨日確認した村なら、東へ歩いてそれほど遠くありません。街道から少し北へ入る道があります」
「俺たちは荷馬車で行ける?」
「道幅を見る必要があります」
「私が先に確認する?」
ミレナが聞いた。
「今日は一人で消えない」
アイリが言う。
「消えないわよ」
「戻る時刻は?」
「まだ行くって決めてない」
「じゃあ決めてから」
「分かった」
ミレナは呆れながらも笑った。
その時、東から一台の農作物を積んだ荷車が近づいてきた。御者をしている老人は斜面の貨物車を一度見て、それから五人を見る。速度を少しだけ落としたものの、声を掛けずに通り過ぎようとした。
ガリックがその背中を目で追う。
「見たな」
「荷車を?」
レンが尋ねる。
「たぶんな」
「昨日も見た人かもしれない?」
「それは聞かないと分からん」
ミレナが立ち上がった。
「呼び止める?」
ガリックは少し考えた。
「聞くなら、誘導するな。『この荷車を昨日見たか』じゃない」
「じゃあ?」
「昨日この道を通ったか。何を見たか。順番に聞く」
ミレナの口元に僅かな笑みが浮かんだ。
「元街道警備」
「何だ」
「だいぶ戻ってきたね」
ガリックは自分の左脚を見た。
「身体はまだだ」
「そっちじゃなくて」
彼は数秒黙り、それから肩をすくめた。
「仕事じゃない。ただ、分からないままにしたくないだけだ」
「十分でしょう」
レンが言う。
エリリアが農村へ続く道を確かめ、アイリは記録を畳んだ。ミレナは通り過ぎていく老人の荷車を見ながら、今聞くべき質問だけを頭の中で分けている。斜面には相変わらず貨物車が残っており、その荷台は空ではない。それでも、本来そこに何があり、何がなくなったのかは、まだ誰にも分からなかった。
五人が次に探すことにしたのは、荷車の中ではなく、それを見た人間の記憶だった。
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