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海に還る ある商人の出来事  作者: キンポーさん
バティの船出
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1705年 ???10

俺達はいそいそと出航の準備と整えている。

約8か月、この島の入り江に着岸しっぱなしの船は少しも傷んではいなかった。

それなりにこまめに手入れはしていたからな。


ユウキとマグナも乗船の準備を整え港にやってきた。

2人ともいつものいでたちとは違いそれなりの身分の人間に見える。


「そろそろ準備ができる。もうちょっと待ってくれ」


「そうか。ここを正午には出ておきたい。少し急いでくれよ」

マグナは港のベンチに腰掛け俺達の準備を待っている。

ユウキも同様にベンチに腰掛け何か書物を見始めた。


正午前。


出航の準備も整った。

マスト、舵の点検も済んでおりいつでも出航できる。


面白い話だがこの時誰もあの二人を乗せずに行こうという頭が無かった。

ここに連れてこられてから今までの間に何かしらの感情が芽生えたのだ。

恨みやつらみから始まり挫折や苦悩を乗り越え今では尊敬になっている。


「お2人さん準備できたよ。乗ってくれ」


俺は船上から2人に声をかけた。

船に乗るやマグナとユウキを含め今回のスケジュールの確認をする。


「それじゃ、今回の航海ルートだがマグナが故郷に帰るって言ってたがアラビアの方なのか?」


「いいや。俺の故郷はモロッコだ。ジェノヴァに行く途中でサレに寄港してくれれば後は何とでもなる」


「サレというとセビリアの南の街だな。…いや、曲刀使いだからてっきりオスマントルコやアラビアの出かと思ってたよ」


「アフリカ大陸でもイスラム文化のところは結構あるぞ。ちゃんと勉強しておけ」


「はいはい分かりましたよ。んでそのあとにジェノヴァに行くってことだけど寄り道しちゃいかんかね?」


俺はユウキの方を向いた。


「ダメ。大方リスボンにでも行きたいんだろうけどダメよ。そもそもあなた達はリスボンからは尻尾を切られたのだから港に入ることすらできないわよ」


「やっぱそうだなよな。…うん分かった。その辺のことはジェノヴァについてから追々進めていくよ」


「当分の間はどこへの行けないと思うけどね…」

ユウキは浅い溜息を一つはいた。


俺達のキャラック船は錨を上げた。

8か月ぶりの航行に少しの緊張感がある。

岩の割れ目を過ぎると煌々と太陽の光があたりを照らしている。

イラつくほどの眩しさに少し戸惑いもある。


進路を南東に向けるようマグナから指示が出る。


俺達は一路モロッコのサレを目指した。

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