前譚 ”居合い抜きの開祖、林崎甚助”
侍ウィンブルドン、始まります。
名前の通り、侍がテニスをする内容。
どうなることやら。
では、楽しんでください。
※ちょっとまだ書き始めたばかりなので、かなり不定期になるかも。。。
すんませんが、その点だけご了承くださいませ。
1561年。時は正に戦国時代。
京に建つ一戸の屋敷があった。
屋敷には広い庭があり、その庭の中央で二人の男が対峙していた。
大粒の雨が二人に容赦なく降り注いでいる。
それでも二人は微動だにしない。
一人は歳にして30代後半。鞘から抜いた刀を両手で縦に持ち、その打ち下ろしの一太刀に全神経を集中している様子であった。
もう一人はまだ20歳になるかどうかというほど若い。刀が鞘に入ったまま、低い姿勢となり、居合い抜き抜刀の構えであった。
居合い抜きの男が言う。
「坂一雲斎よ。父の仇として今日この場でお主を討つ。」
坂一雲斎と呼ばれた男がそれに答える。
「林崎浅野数馬のせがれよ。
剣豪と謳われた父、そしてその子二人をこの手で斬れるとはわれも運が良いわ。
せめてもの情け、後世伝えるため名を訊いておこうぞ。」
居合い抜きの男が睨みを利かせる。
「何を言うか。
お主は父を闇討ちしたと聞いた。
お主はその時にすでに負けておるのじゃ。
まあよい。冥土の土産として拙者の名を教えておいてやる。
拙者は林崎甚助。
剣術の世界の者なら聞いたことがあるじゃろう。夢想神伝流という名を。
拙者がその開祖じゃ。」
「なっ、お前があの噂の夢想神伝流だと。そんなばかな。こんな若造が。。。」
「御託はもうよい。さあ、いくぞ。」
林崎甚助がとる居合い抜きの構えはより低い姿勢となり、さらに身体を捻った。
恐れおののいた顔をした坂一雲斎だったが、気を引き締め、より高く刀を掲げた。
わずかの間、雨の降る音だけが屋敷の庭に木霊した。
そして、光る稲光。
その光を合図に動く二つの影。
一つは刀を振り下ろし、一つは刀が抜かれ振り上げられた。
一瞬の間に二つの影が互いを過ぎ去った。
そして、鳴る雷鳴。
雷鳴が鳴りやんだ時、刀を振り下ろした影が崩れ去った。
林崎甚助は抜刀から振り抜いた格好を解き、崩れた男を横目で見た。
呆気なく終わった父の仇。
林崎甚助は父の形見の刀を天に高く振り上げた。
刀に付いた血が雨で流されていく。
仇に燃えていた心、憎しみも流されていくようであった。
林崎甚助が刀の先に広がる天を見つめた。
「父上。終わりました。安らかに。。。」
次の瞬間、天が真っ白になった。
その掲げた刀目掛けて、稲妻が走った。
林崎甚助はまるで山ほどの巨大な岩がぶつかってきたかのような衝撃を受けた。
林崎甚助が叫ぶ。
「いってんにいいちーーーーー!!!!」
カミナリに打たれた居合い抜き開祖、林崎甚助。
どうなってしまうのか?
引き続き、第一話もお楽しみください。(最初だけ第一話も同時掲載。)




