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序
50過ぎの男が、スマホを振り回しながら叫んでいた
「こいつはいかん、こいつは!」
「あわわ、どうしました?」
「わしはこんなに太ってないし、だいいち不細工だ」
「東條さん、それ高いんですよ」
もう一人が泣きそうな声を出す。
「えーい。何度見ても腹が立つ」
「お怒りですね。激おこですか」
「プンプンだ。こいつの頭を見てみろ!」
「は○ですね。見事な後退○げだ」
「わしは○○ではない。丸刈りだ!」
「ま、ま、どうぞ。プレモルです。ぷしゅ」
ビールと交換に、男はスマホを返す。
「ごくごく。ぷはーっ。うまい」
「よかった」
「まったく。なんで主役がこんなに不細工なのだ」
「いや、主役は石井中佐ですよ」
「そうか。しかし、準主役だろう」
「で、どうです?」
「だめだな。あかん。アウト」
「そんなにひどいですか?」
「甘粕なら脚本家を撃っておるな」
「けっこう評判は良かったんですよ」
「これがか?どうかしておる」
「はあ」
「もういい。見たくない」
「かちゃ」
「映画はまだしも、テレビはひどいな」
「所詮は娯楽です」
「いや、わしは悪意を感じるぞ」




