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No.37 サイド 林道 昌  混乱と暗躍

 俺の名前は林道昌《りんどうあきら》。


 林道家財閥の長男である。下に妹が2人いるが、一緒に暮らしたことはない。

 俺は才能がなかった。運も悪かった。

 妹達は海外で生まれ、そのまま海外で暮らしている。今も海外にある林道家の親戚の家にいる。

 そのせいで俺が小さい頃、両親は赤ちゃんだった妹達を育てるために海外で暮らしていた。俺には教育係のミエのばばあを押し付け、時折父親が日本の様子を見に帰ってくる。誰にも言っていないが両親との仲は最悪だ。今はこれで良かった思っているが、勝手に許嫁を決めてくるわ、通う学校が勝手に決められるわと、俺の意思は無視された。


 庶民の小学校に通うことになったとき、当時の俺は嫌だと暴れに暴れまくった。誕生日として本家の裏山を貰って落ち着いたが、今思えばすげーわがままなチビッ子だったな。知っている通り、庶民の学校での出会いは俺に人生を変えた。


 1人目の親友は、南条蓮華《なんじょうれんげ》。

 コイツはずっとクラスでボッチだったんだ。俺もボッチだった。レンゲは、クラスメイトからドブ匂いがするって嫌われていた。俺は金持ちボンボンだ。単純に近寄り難かったみたいだ。

 ボッチ同士、だから俺はレンゲに話しかけたんだ。そしたら、レンゲは俺とは真逆の生き方をしたいた。レンゲの家は貧乏らしい。それに母親しか家族がいないみたいだった。

 正反対の俺とレンゲ、仲良くなれるのかと思ったが、この出会いが俺の価値観を変えることになった。そして、付き合っていくうちにレンゲが本物の天才なんだと知ることになる。


 2人目の親友は、錦戸翔《にしきどかける》だ。

 コイツとは、小学2年生のときに同じクラスメイトになった。カケルはやばかった。あいつも一種の天才なんだろう。カケルは運が良すぎるのだ。それの所為でいろいろなことに巻き込まれていたた。様々な惨事に巻き込まれるなんて運が悪い、だけど必ず成功(生きて帰ってくる)させるのだ。

 まるで、この世界の主人公のようだった。

 車に引かれそうな猫を助ける。スキーの授業で遭難したのにふらりと自力で帰ってくる。ついでに1人の女の子を救っている。今までで一番驚いたのは、コンビニ強盗でカケルが犯人の人質になったときだ。俺とレンゲもその場にいたがカケルが人質になって連れされれた。その後、カケルが何かしたのか分からないが犯人が自首してこの事件は終わった。

 カケルは運命に愛されている。こいつも俺にはない物を持っていた。


 親友たちは、何の才能もない俺と居ても何も言わなかった。金持ち友達になりたいと群がるゴミどもと違い、こいつらは自分の世界を持っていた。すごく羨ましかった。でも、嫉妬はしなかった。逆にこの2人と親友になれたことを誇りに思っている。



 林道昌《りんどうあきら》は気づいていないが、2人と親友になれたのも、これからの人脈形成といった行動力、恐れず踏み出し進むことができる、その力こそが彼の才能であったりする。



 ☆☆☆☆☆☆☆


 場面が変わり現在、俺とカケルは昔作った秘密基地に来ている。

 俺の野望の為に犠牲になる秘密基地。1人で勝手に壊すことはできなった。


 久しぶりに会ったカケルは、会社を辞めて冒険者になっていた。まだまだ新米らしいが、覚醒者として冒険をしていた。やはり、カケルはもっているらしい。


 そして、今回の秘密基地の最後の見学会でも、カケルはもっていた。

 カケルに秘密基地のドアを開けるの権利を譲り、カケルがドアを押し開けて消えた。

 始めは混乱した。いきなり目の前から消えるから焦った。状況を落ち着いて確認すると、秘密基地がダンジョンになっていることが分かった。

 林道家はダンジョンを保有している。俺はダンジョンには入ったことはないが、ダンジョンの入り口は見たことがある。虹色の膜。これがダンジョンであることの証拠である。


 俺は知っている。ダンジョンに間違って入ってしまっても、すぐに出てこれる。カケルも同様にすぐに出てくると思い安心していた。

 しかし、カケルは帰ってこなかった。30分待ったがダンジョンから出てくる気配はなかった。だんだんと不安になってくる。もし親友が帰ってこなかったらと....


 ダンジョンでは普通に死ぬ。あまり、冒険者が死亡したというニュースや報道は流れないが裏事情を知っている俺は、年間何人ダンジョンで死亡しているか把握している。


 俺は初めてダンジョンの潜ろうと決意する。友を助けるために。状況を顧みれば、誰かに助けを求めるのが正解だろう。それでも、大切な親友を亡くしたくなかった。


 ダンジョンの入り口、虹色の膜に触れる。

 手は緊張しており震えている。全身は汗まみれだろう。無謀なことだと分かっているが俺は止まれなかった。



『ダンジョン『秘密:百戦錬磨の仮面』の入場可能人数は1です。

 現在の入場数は1です。

 個体:林道昌《りんどうあきら》の入場は拒否されました。』



 はぁ?

 入れないだと?

 なんていうダンジョンなんだよ。普通のダンジョンに入場制限なんてないだろ。


 アキラはシステム音に文句を言い、そして一つの答えに辿り着く。


 Sランクダンジョン。

 ダンジョン側がルールを決定して、冒険者たちを苦しませる。他のダンジョンとは全く違う、難易度不明で階層数も不明。

 そして世界で攻略されたSランクダンジョン数は7つだけ。その7つは冒険者に有利のルールが設定されていた。それのおかげで、世界のAランク冒険者が攻略できていた。

 入場制限されているダンジョンなんて聞いたことがない。ダンジョン名に『秘密』というやばような単語があるようなダンジョンも聞いたことがない。

 見るからにヤバそうなダンジョンだ。カケルは無事なのか?


 俺は俺自身を落ち着かせる。

 焦っても仕方がない。

 カケルは無事なんだ。俺がダンジョンに入れないということは、カケルがまだ生きているという証拠だ。


 俺は何をすればいい。


 答えは直ぐに出た。カケルにすべてを賭けることにしよう。きっとカケルはこのダンジョンを攻略してくる。あいつは必ず生きて帰ってくる。Sランクダンジョンを攻略するのだ。たった1人で、8つ目のSランクダンジョンの攻略者になるのだ。

 帰ってきたカケルのために準備をしておこう。あぁ、レンゲにも相談しよう。頭を使うのは俺よりレンゲの方が良い。俺は俺のできることをやろう。


 Sランクダンジョンの発見。親父《おやじ》にバレたら押収される。それだけは許さない。ここは俺の庭だ。俺の所有物だ。思い出の場所だ。

 絶対に誰にもやらない。


 カケルが帰ってくればダンジョンの中のことが分かる。攻略されたSランクダンジョンだ。Aランク冒険者が事前情報ありで高難度のダンジョンに潜れる。情報は武器だ。

 うまくやろう。

 うまくいけば、林道家を乗っ取れる。Aランク冒険者の支持を得れればうまくいく。まったく期待できない跡継ぎだと言われていた俺が林道家を手に入れる、両親はさぞ悔しがるだろう。


 今回の試験は金稼ぎ。本来の意味は、僕に試験を失敗させて跡継ぎから俺をはずす試験。どんな会社を作っても、父は潰しに来るだろう。

 妹達の方が優秀だからな。唯一男の跡継ぎの俺を追い出したいらしい。

 許嫁も俺には全く会いに来なかった。あちらも俺を林道家が追い出そうとしている事実を知っていると思う。そんな俺の元に嫁ぐわけない。


 俺は人生の分岐点はここだ。

 親友任せにしてしまうのは俺らしいが、これでいい。


 カケル頼んだぞ。


 〇Sランクダンジョンについて


Sランクダンジョン数は、今までに7つ攻略されています。


この7つのSランクダンジョンは、Sランクダンジョンの中でも簡単な分類のダンジョンです。大体、Bランクダンジョン以下ぐらいの難易度です。(一部を除いて)


〇おまけ


 Sランクダンジョンの特徴


 ・階層不明 

  ↳ 1階層だけのダンジョンも存在する。

  ↳ あり得ないほど階層があるダンジョンも存在する。(50階層以上のダンジョンはSランクに分類されている)


 ・ギミック不明

  ↳ 『ダンジョンルール』のことを指している。

  ↳ 『ダンジョンルール』があればSランクダンジョン。



 Sランクダンジョンの中には、レベル1の冒険者が攻略できるダンジョンも存在するかも....しれない。

 まぁ、A~Fランクに分類できないダンジョンのことを指しています。

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