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ポンコツ公爵令嬢は変人たちから愛されている  作者: 大鳳葵生
第2章 公爵令嬢でもできること
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21話 どうして私は公爵令嬢なの 

 昨夜の火事から丸一日馬車を走らせましたわ。昨晩もろくに休憩を取っていない私たちは、特に私とエレナはなのですが、かなり疲弊してしまいました。体力バカ達集まりすぎなのよ…………騎士か! ……騎士ね。


「お嬢様大丈夫ですか?」


「ありがとうマリア」


 マリアの肩を借りて私は馬車の中で少しだけ眠らせていただくことにしました。はぁ、マリアの肩ってあまり騎士らしくないぷにぷに加減ね。本来であればダンマーク男爵領の宿についていたころなのでしょうね。


 しばらくすると馬車が完全に止まったようです。つまり、今日はここで野営となるのでしょう。私は馬車の中で待機し、外でエレナとヨハンネスが料理を始めました。


 マリアは周囲の警戒をし、マルッティは一日中働いていた為、私と一緒で馬車の中に待機しています。


「お疲れ様です、夕食まで休んでおいてください」


「すまねえな、嬢ちゃん」


 やはり使用人が少し足りなかったかしら? 私個人の理由でそんなに引き連れていけなかったとしても、マルッティだけがずっと働いてしまう環境はよくありませんね。短時間で宜しいので、ヨハンネスにもそろそろ変わって貰いましょう。


 しばらくそのまま休んでいますと、エレナに呼ばれ、私とエレナとマリアから食事を取ることになり、ヨハンネスが周囲の警戒を交代。マリアはすぐに食事を終え、ヨハンネスと交代し、ヨハンネスもすぐに食事を切り上げ、マルッティが食事を始めます。私とエレナはまだ食事を終えていませんのに、やはり少人数過ぎましたか。


 王都に戻る際は、ベッケンシュタイン領からもう少しだけ人を連れて行きましょう。


「お嬢様、襲われるならおそらく寝静まった頃が一番危険だと思います」


「護衛は交代で見張りをしていますのでお嬢様方はゆっくり休まれてください」


「あら? このような固い馬車で眠れと仰いますのね?」


「泥まみれのごみの中、三日間耐えたご令嬢もいるそうですよ」


「……よくできました。ええ、素敵な環境よ。ありがとうおやすみなさい」


 イサアークから身を隠した時と比べれば数億倍マシな環境なことくらい私にだってわかっています。この私がワガママを言っても、冗談だとわかってくれるのですね。ヨハンネス……あなたはどうして性別を隠すの?


 そして私とエレナが眠りに入り、護衛では最初にマリアから眠り始めるそうです。


 夢の中でとあるものを見ました。ヨハンネスが本当は男性だった夢です。そこではグレイ様とヨハンネスとメルヒオール様が私を取り合っていたのです。それと知らない男性もいますね。顔も髪の陰に隠れていて何者かわかりません。イサアークでなければ良いのですが。


 私はくるくると首を回し、差し出された手から誰を取るべきか迷っていました。何故エミリアさんは来ていないのでしょうか。夢の中の私が困っていますよ!


 そして四人は争い始めてしまいました。何故このようなことになっているのでしょうか。私のせいですか?


 私がグレイ様からの結婚生活に、愛がないと勝手に思い込んだからですか? ですがそれは、グレイ様の今までの態度が悪いのであって! 今更引っ込みがつく訳……?


 まるで、本当はグレイ様が私を愛しているかのような……ですが、イサアークから身を隠していた時も、私を見つけてくださったのはグレイ様です。


 いえ、仲の良い幼馴染であれば、同姓であろうと必死になって探すべきです。それは、他の時に助けてくださったときも同じですよね?


 公爵令嬢が、決められた結婚に従わなかった結果ですか?


 ヨハンネスだって私を護るために四六時中働いてくれているだけです。彼がもし男性でもそれは騎士の仕事を全うしているだけですし、まれに私のことを美しいと仰ってくださりますのは、それは外見のことを素直に感想として述べられているだけですわ。


 メルヒオール様からは愛を感じています。あの方は私を愛してくださると思います。問題はどちらに旅立たれたかと、私の半年の期限が彼の耳に届くのがいつになるのか出すけど。


 公爵令嬢をやめてしまえば、私は誰かと愛し合って結婚をすることができるのでしょうか?


 そこの黒い影のお方は、私のことを愛してくださる方なのですか? 貴方について行けば、私は貴族をやめられるのですか?


 やめられるものなら、今すぐ公爵令嬢などやめて一人の女性として……私お世話してもらわないと生活できない。エレナは持参……できませんね。彼女も貴族令嬢でしたわ。


 どなたの手を取れば、私が求めているものが手に入るのでしょうか?


 それとも、どなたも私が求めているものをくださる方なのでしょうか?


 そしていつまでも選ばない私の前から四人は次々と消えていきましたわ。そして最後にはグレイ様まで私の前からどこかに立ち去ってしまいましたわ。


 そして私は突然地面に穴が開き、落下していきましたわ。燃える業火を通り抜けますと、洞穴、山岳地帯、戦場、密林、雪原、大海原と周囲の景色だけは変わってゆきましたが、私が落下することだけは変わりませんでした。


 助けてくださいだなんておこがましいですよね。そう思っていますと、今度は体が強く揺れるような感覚。お次は何を見せられるのでしょうか。


「お嬢様。お嬢様」


 ヨハンネスの声でしょうか? 戻ってきてくださりましたのね?


「戻るも何もずっと一緒に」


 ずっと一緒に……いてくださるのですね。


「起きてください」


 あら?


 私は瞼を開きますと、私を揺さぶって起こそうとしていたヨハンネスの姿が目に移りましたわ。いつ結婚したのかしら。夢? どちらが? 今までが?


 私は体を起こしますと、すぐそばにあったヨハンネスの頬に口づけをしました。すると、ヨハンネスのお顔がみるみる真っ赤になっていきます。そして視界の端にいるエレナ。


 あ、今目が覚めましたわ。今は馬車の中でしたね。新婚がベッドで目を覚ました気分でしたわ。


「朝? ではないですよね。何かありましたか?」


「……頬に…………あ、そうでした。どうやら囲まれています」


 なるほど、野盗でしょうか? それとも刺客? マリアとマルッティは馬車の外でしょうか? この馬車って床に隠し収納とかありませんよね? ありませんね。


「何故床を?」


「いえ、なんとなく収納スペースでもあればと」


 以前のことも生かして、新しく馬車を新調する際は、隠し収納スペースでも作っておきましょう。今度はグレイ様にばれないようにしないといけませんね。一国の王子が人様の馬車を勝手にカスタマイズする方が問題なのですけど、それのおかげで助かったのですから不問としましょう。


 それよりもこの囲まれた状況が、三人の力でなんとかなるかどうかですね。


「今は硬直状態なのかしら?」


「そうですね、まだ向こうは襲ってくる様子はありません。このまま何もないということはないでしょう。お二人は必ずお守りします」


「いえ、ルクレシア様だけをお願いします」


「何を仰いますの?」


 そんなことさせる訳には行きませんわ。エレナは私の大事なメイドです。しっかり護衛して頂きます。私がヨハンネスの顔をじっとみますと、ヨハンネスは頷いてくれましたわ。ヨハンネスももとよりそのつもりのようですね。安心しました。


 馬車の外が騒がしくなってきましたわ。金属と金属のぶつかり合う音も聞こえます。


「お嬢様、行ってきます!」


「あ、待って!」


 先ほどの夢。四人が立ち去って行く中で、最初にいなくなったのはヨハンネスでした。まさかヨハンネスがこんな簡単に死ぬとは思えませんでしたが、とても怖く感じました。


「……必ずあなたを護ります」


「…………お願い」


 ヨハンネスが馬車から飛び出し、更に周囲の音が激しく感じました。私はエレナに抱き着きながら、なるべく耳を塞ぎましたわ。早く終わって! 早く戻ってきて! 何よ! 私が何かしたの? どうして? どうして私は公爵令嬢なの!?


夢で見た光景がルクレシアを襲う。


彼女はそもそもこの騒動が大きなワガママだったのではないかと感じ始めたのであった。


そして馬車が何者かに襲われ始めた。


それもこれも他の人を巻き込んだのは、自分が愛されることを求めたせいなのではと思うようになるルクレシア。


今回もありがとうございました。

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