第4章:騎士と狼
第4章
「な…な…なんじゃ…」と王様は驚きを隠せない様だった。
兵士達も、唖然としていた。それもそのハズ、今まで王子と思っていた者が立っていた場所に金色の狼人間が立っていたからである。
狼人間はゆっくりと手を前に出し、開くと兵士達が撃った弾がパラパラと落ちてきたのである。
兵士はひっ!と声を出した。
ランドは話しだした。
「俺は、別に喧嘩を売りに来た訳では無い。ただ、俺達の憩いの場を潰すのは辞めてくれと言いに来たのだ…。だから、そんな物騒な物は閉まってくれ。」と兵士達の方を見た。王様の脇に立っていた騎士が、剣を振りかざし襲いかかってきた。
ランドの前まで来ると、急に止まり剣を下から振り上げる感じに切りつけて来た。
ランドは後方へと飛ぶがその一瞬の隙を見て、騎士が一歩踏み出し今度は、振り上げた剣を振り下ろしてくる。
ランドは一瞬のうちに考えた。
後ろに飛べば兵士に取り押さえられるだろう…
しかし、左に飛べば次の攻撃を避けられない…
右に飛べば騎士は持ち手を変えて横になぎ払うだろう…なぎ払えば避ける手段はジャンプをするしかない…しかし空中は身動きが取れない…
と言うことは…
ランドは捨て身の攻撃に出た。
騎士が振り下ろす剣を横目に前へ出る。耳の横を風が切る音が聞こえたが、それを無視し騎士の前まで行くとそこから、騎士の頭を踏み台にしてジャンプをし、騎士の後ろへと逃げる。
その数秒後に、いつの間にか攻撃をしたのだろうか、騎士の鎧にジャキジャキジャキーンと無数の傷が入ったが、騎士はもろともせずに振り返った。
ランドはチッと舌打ちをしてすかさず戦闘体制に入った。
なるべく身を低くし、左腕を前に、右腕を自分の胸の前辺りに持ってきた。しばらく2人は、睨み合い動かなかった。
先に動いたら殺られる。
その緊張からか、部屋に一時の静寂が訪れた。
「な…何よ!今の音は!越権の間から聞こえたわ!」プリムが長い廊下を走っていた。
廊下の壁には、『廊下は走る為にあるんじゃないっ!』と書かれた貼り紙があるが、敢えて無視をして走り続けた。
しばらくして、越権の間のドアが見えてきた。
プリムはその扉に、おもいっきり蹴りを入れて開く。
中に入ると、ランドが変身した状態で騎士団長と睨みあっていた。プリムは思わず叫んでしまった。
もう会えないと思っていた彼に、また会えた。そんな気持ちで一杯になり彼女は彼の名前を叫ぶ。
「ランドっ!!」
ランドは聞き覚えのある声を聞いて、一瞬気が緩んでしまった。
騎士団長は見逃さなかった。そして、ランドに近付き剣を振り下ろす。ランドは左肩から右の脇腹にかけて1本の切り筋が入る。思わず、後ろに1歩よろけると騎士団長は更に剣を真横に向けランドの腹に剣を突き刺した。ゆっくりと時間が流れている様だった。
そして、彼の名前を叫んでしまった事を後悔する。
騎士団長はゆっくりと剣を引き抜く…ランドは流れて血の水溜まりが出来た所に両膝を着いた。
変身が解けた。
血を吐きだすランド…切られた傷の所に手を当てたが、血は止まらなかった。
ランドは上を見ると、騎士団長が剣を振りかざしていた。
「嫌!嫌!嫌!!辞めて!ランドを殺さないで!」
プリムの叫ぶ声が聞こえるが、もう耳に届かなかった。彼は目を閉じて、意識を失った。




