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特別話②『星降る宿屋の夏祭りの後』
祭りが終わった夜。
星降る宿屋には静かな時間が流れていた。
「終わりましたねぇ……」
リアはカウンターへ突っ伏した。
「終わりましたね」
ミリアも苦笑する。
祭り期間中は本当に忙しかった。
客も多かった。
宿も満室続きだった。
だが。
嫌な疲れではない。
「でも楽しかったです」
ミアが小さく笑う。
祭り。
浴衣。
花火。
全部初めてだった。
「また来年もやりたいですね!」
リアが笑顔になる。
すると暖炉前から声が飛ぶ。
「その頃にはもっと有名宿だな」
「絶対客増える」
「……暖炉席足りない」
「増やしません!」
リアが即答した。
店内に笑い声が広がる。
その時。
カラン、と扉が鳴る。
全員が振り向く。
だが客ではない。
夜風だった。
暖炉の火が静かに揺れる。
「なんか不思議ですね」
リアがぽつりと呟く。
皆の視線が集まる。
「少し前まで、祭りが終わるの怖かったんです」
客が減る。
宿が静かになる。
不安だった。
でも今は違う。
「また皆が帰ってきてくれるって思えるから」
暖炉の火が優しく揺れる。
ガルドたちが笑う。
「当たり前だろ」
「帰る場所だし」
「……おかえり」
リアは少し照れながら笑った。
レインはそんな光景を静かに見つめる。
暖炉。
笑い声。
帰ってくる人たち。
そして。
守りたいと思える場所。
星降る宿屋。
それは今日も変わらず、
誰かの「ただいま」を待っている場所だった。




