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65誠実

『山猫の誓い』の説明は続く。


「丁度その時間帯が、組合員が込み合う頃ってのもあって、爺さん達が帰ったあと組合内がざわついてな?

良く見たらメリダの首に『奴隷紋』があるって組合員の誰かが騒ぎだしたんだ。

あの騒いでいた様子だと、『組合』全体の話だってのは誰だって気づく。

で、メリダから詳しく皆話を聞いた。

『鍛冶師ヨシア』に冒険者がした件も、皆その時知った。

実は、あんた達が来る前からここにいる組合員全員で話合ったんだ。

職人の『誇りと矜持』を汚した事、

卑劣な行為に及んだ事、本当に済まなかった。

これは『組合員全員の総意』だ。」


そう言ってアッシュと同じパーティーだろうか?その横にいる数人の組合員が頭を下げた。

それに釣られたのか周りを囲ってる連中も軽く頭を下げている。


………やっと『誠意のある謝罪』をもらった。

そう思った。


メリダの謝罪はどちらかというと、『商人組合への謝罪』の色が強く、誠意を感じる事はなかった。


そう。無理やり取り繕った感が凄かった。


それに比べてアッシュはどうだ?

これだけいる組合員が話の最中も口を挟んでくる気配もない。


金ランクという『実力』と、おそらく誠実な人柄から来る『信頼』。

少し話しただけでもメリダとの格の違いがよく分かる。


ぶっちゃけメリダよりアッシュのほうが組合長として相応しいんじゃね?


そう思った。

が、とにかくこの『誠実な謝罪』にぞんざいな態度をとるのは礼儀に反する。


「わかった。あんた達の『謝罪』を受け取った。それで?」


「ああ、職人に『誇りと矜持』があるように、俺達にも『冒険者』としての『誇りと矜持』がある。

要は、あの爺さん達が見事に汚してくれた事についてだ。」


ああ、なるほど。


「それについては俺としても『済まない』と言うしかない。」


「いや。『鍛冶師ヨシア』は今回は只々被害者だ。

謝罪されてもこちらが困る。

今回の一番の問題点は『誇りや矜持』を『汚された』から『汚し返す』というまるで『意趣返し』と言える解決を『商人』『冒険者』両組合が行ったのが問題だと思う。

それについてはイシスさん、どう思う?」


「いやこれは商人組合としても、申し訳ないとしか………。

形式だけそうしておけば、武器防具職人達も納得して貰えるだろう。という案だったのですが…。

ちなみに全武器防具職人達が、造った武器防具をこの街で販売するのを拒否している件は聞いてますか?」


「おい、メリダ、どういう事だ?」

アッシュがムッとした顔でメリダを睨む。


「あっ、い、いゃその……。」

あからさまに慌てるメリダ。


しっかり目が泳いでやがる。


コイツ自分の都合の良いように説明してないか?

「イシスさん。

メリダは『正確な情報』を伝えてない可能性があります。

一度最初から説明し直した方が良さそうですよ?」


俺はイシスに状況説明を頼んだ。


イシスは

俺の被害の話。

商人組合の対応。

全武器防具職人達の署名の件。

今回の売り手の商人の被害。

冒険者組合長メリダの対応の不備や失態。

ヨシアに賠償金を支払わせた件。

(奴隷を強制的に売却しようとした等)


を、しっかり細かく、理路整然と説明して行った。


アッシュや他の冒険者もそれをじっくり聞きながら、時折メリダを睨み付けている所を見ると、自分に都合の良い説明しかしてなかった様だ。


「~という事でメリダさんはヨシアさんの奴隷になってもらいました。

何かご質問があれば伺います。」


アッシュは疲れたのか、目頭を指で摘まみながら俯いている。


「……イシスさん、済まない。

まさかそこまで大事になってたとは知らなかった。

ってか、銅ランクのルーキーに白金貨で賠償金ってなんだ!?」


「おい、奴隷を強制的に売却って組合の権限越えてねぇか?」


「こりゃ組合長が迂闊過ぎるわ。」


組合員達がざわついている。


アッシュは

「メリダ、いくらなんでもこれじゃ庇えないぞ!」

「え!?ち、ちょっと待ってよ!冗談でしょ?」

メリダも必死だ。


「せめて3ヶ月間の武器防具ポーションの値上げを止めてもらう事は出来ないか?」

とアッシュ。

もう、メリダの件は諦めた様だ。


「アッシュー!!!」


泣き叫ぶメリダ。ザマァ。


「そうですね。こちらも冒険者組合員方を不快にさせたのですから、値上げは撤廃します。

今件の話は以上で宜しいですか?」


「ああ。それで頼む。

おい!何か意見のあるやついるか!!?

……………。

よしそれじゃこれで決定だ!!!

んじゃメリダ頑張れよ?(ポンポン)」


アッシュは組合員達を見回し、全員が同意した事を確認決定した後に、メリダの背中を叩いて励ましていた。

他の組合員達も『要件は済んだ』とばかりに、ゾロゾロと組合を出て帰って行く。


「………。」

メリダはそれを見ながら呆然としている。



クックック



こいつを家に連れ帰ったら、俺は何もせずにエマに『躾』をさせよう。

エマ喜ぶぞ~?


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