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ドッペルゲンガー
・自分の分身
・もしくはそれが現れる現象
・同時に別々の場所で同一人物が現れる現象
・基本的に本人に関係のある場所に現れる
・自分のドッペルゲンガーを見た者は近いうちに死ぬ
・ドッペルゲンガーに殺されるとする説も
・自分のドッペルゲンガーに遭遇したら、どんな言葉でも罵倒すれば助かるとする説も
………だそうです。
「……俺、死ぬん?」
朝、俺は昨日のことを思い出してドッペルゲンガーについて調べてみた。
……罵倒って(笑)
昨日あの後、アイツは何も言わずに帰っていった。どっかに。
俺はといえば、……実はあまり記憶がない。
放心状態でなんとか帰ったんだと思う。
今朝は一段とだるい。
「今日は休もうかな。」
さすがにコレは休んでもいいと思うの。
だってあんなことあったんだよ?
あれ? でも昨日のことって人に説明できるか?
アホだと思われるよな?
俺もアホだと思う。
うん。まあ、あれだ。
オナカイタイナー。ガッコウイケナイナー。
みたいな。
実際かなり精神的にまいってる訳で、あながち仮病って訳じゃあないし。
ーーー
そして今日は、特に何もせずにずっとゴロゴロしていた。
いつもなら、こういう鬱なときにこそ海に行くのだが、今回はその海でこの鬱の原因に遭遇してしまったからな。
暇なので調べたのだが、夕日が綺麗だと翌日は晴れるらしい。
これは日本では基本的に西から天気が移り変わっていくから、夕日が綺麗だということは、西の空が晴れているということだから、翌日晴れるということらしい。
ちなみに今、雨です。
激しくも弱くもない、雨。
昼間なのに部屋の電気をつけないといけないぐらい暗い。
電気つけてないけど。
俺の心象でも表してんのかね。
あ、俺元々暗いわ。ごめ。
ばたんっ!
ん? 玄関のドアの音だな。
誰だ?
うちの親は仕事でまだ帰るには早いし。
ももも、もしかして、……強盗?
いやいや、そんな堂々と音たてるか?
しかもこの時間は普段なら、そろそろ俺が帰ってきてもいい頃だし。
強盗だとしたら下調べ足りないんじゃない?
……っていうのを2秒くらいで考える俺。
そしたら、
「ぬぅわぁああああぁぎいいいいいいいいいいいいいいぃぃっっ!!!!!」
「みみみっ、みやびさんんんっ⁉︎」
「てめぇええっ、貴様アアアァッ‼︎ 何故朝来なかったああああっ⁉︎ しかも何休んでんだよおおおっ⁉︎」
あ、おもっきし忘れてたわ。
いや、自分で起きろや。
そう。この時間は俺が帰ってきてもいい頃。
つまり、雅が帰ってきてもいい頃。
失念してた。
「うるさいって。病欠の人の部屋で騒ぐな。」
「はあ? 凪のせいでボク寝坊したんだけど? 遅刻したんだけど?」
「俺のせいじゃない。断じて俺のせいじゃない。」
「1限はもういいや。ってコンビニで立ち読みしてたら、2限も遅れたんだけど!」
「しるかあほ。」
「しかもっ、雨っ! 濡れたんだけど!」
「傘させばいいじゃん……」
確かに雅はがっつり濡れていた。
なんだかんだ優しい俺様はタオル渡してやる。
そのタオルを何も言わずにひったくりながら、雅はさらにつづける。
「てゆーか病欠って、さっき外にいたじゃん! 声掛けようとしたら逃げたよね? 絶対ボクのこと気付いてたよね⁉︎」
「は? 俺はずっと家にいたぞ?」
「トボケるのか? ボクは見たぞ!」
何を、言っているんだ? こいつは……
「服まで着替えてトボケる気満々だなっ!」
「は? おい、まじで何言って……」
いや、………待てよ、
『同時に別々の場所で同一人物が現れる現象』
これはさっき俺が調べた内容。
『違うのは、服装だけ。』
昨日のアイツ。
「…………まじか……?」
「このズル休みーーっ‼︎ ずーるーずーるー」
「いや、ちょっ、うるさい。今シリアス……」
「くそばかー。」
「ごめんまじで、ちょっと今日は帰ってくれ。頼む!」
「えー? なんだよー。正直に言えよー。ズル休みなんだろー? ぶーぶーぶーぶー」
こいつ、まじでうるせぇ……
ーーー
「はぁ、やっと帰った……」
疲れた。
いや、そんなことより、そんなことよりだ。
雅が俺を見間違えたっていう可能性は考えなくていいだろう。
おそらく、昨日のアイツだ。あの自称ドッペルゲンガーだ。
さっきドッペルゲンガーについて調べた内容によると、ドッペルゲンガーと言っても、いろんなケースがあるらしい。
本人にしか見えなかったり、
逆に、第三者にしか見えなかったり。
どっちにも見えるケースもある。
おそらく雅は、アイツを見た。
昨日、アイツはあの後、何処に行ったか知らないが、この近くにまた現れた。
………なら、
まだこの近くにいるかもしれない。
俺は本日初めて、外に出た。




