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半角カナって出来ないんね
風がやんで、波が穏やかになって、
……凪。
いいわー。凪いでるわー。
あ、夕日綺麗だ。
夕日が綺麗だと明日晴れるんだっけ? 雨降んだっけ?
海は静かになって、また少し寒くなって、太陽は燃えて、
真っ赤な水平線を、上の方から闇が呑み込んでゆく。
ああ、今日が終わる。
日付が変わるのは夜中だけど、俺はこの、日が沈むときに1日の終わりを感じる。
「…………。」
……よし。ちょっと落ち着いた。うん。
……いや。でもやっぱり理解不能。
ソイツはただ、俺の目の前にいる。
見つめ合ってる。
ソイツの鎖骨の辺りにホクロを発見した。
……俺もある。
左右が逆じゃない。鏡の中の住人とかではないみたいだ。
俺と同じ体格。
俺と同じ髪。
俺と同じ目。
俺と同じ顔。
違うのは、服装だけ。
俺は当然、学校の制服だが、ソイツはジーパンに、Tシャツという、シンプルな格好だ。寒そうだ。
俺がガッツリとソイツを観察している間も、ソイツはただ無言で立っていた。
だが、いつの間にか口元が薄く笑っていた。
俺がそれに気付くと同時に、
「やあ、……はじめまして?」
シャベッタアアアアアアアァッ‼︎ コイツ シャベッタアアアアアアアァッッ‼︎
「……俺が、怖いか? 突然現れた自分と瓜二つの俺が、怖いか?」
「………」
「知りたいか? 知りたいだろ。俺が、何なのか。」
「……………」
「……俺は、お前の、……分身だ。影だ。………いわゆる、
ドッペルゲンガー
ってヤツだ。」
「……………」
……だとさ。
へぇ、そーなんだー……。
なんなんだよ……どういうことだよ?
なんで急に、ドッペルゲンガーなんだよ?
意味わかんねーよ。答え出たけど結局意味わかんねーよ。
「意味わかんねーってカオしてんな。ま、今日はこんくらいでいいか。……また会おうぜ。」
「……………」
……なんなんだよ、くそっ……
声も、口調も、………
今日は海も風も夕日も綺麗で、すごい日な筈なのに、
どうしてこんな嫌な日なんだ。




