8話 イベント
また変わり映えの無い1日が訪れる
龍斗と以前のように話せる関係となったのは嬉しい事だ
でも、そのせいもあってか……
やはり風当たりは厳しい
昨日、桜子に連れ出される際に教科書をキチンと仕舞ったのだってウチが片付け上手だからでは無い
ちゃんと片付け無いと……
やはり教科書は姿を消す
つまらない虐めに屈伏する気は無い
だから自分でやれることは自分でするべきなのだ
自分自身が後悔しないように……
本日の授業が全て終わる
不意に聞こえる足音
バタバタと廊下を走る音だ
ソレが教室入り口まで近付いたと思った瞬間
ガラガラーーー!!
ソノ戸が勢い良く開いた
「なぁ! 龍斗! 桜子! 泉!」
怒号にも似た大声が教室に轟く
現れたのは修だった
そして中を見渡すと彼は目を丸くした
「あれ? 龍斗と桜子は?」
ウチは、ふぅ、と溜息を吐いて彼に向き直る
「さっき藤田先生に呼ばれて職員室行ったんよ…… んーーーー…… 委員会がどーとかって?」
少しガッカリと肩を下ろした修は
「そかぁ……」
と、呟いた
「どしたん?」
「実はさ…… 今晩、肝試ししねぇ?」
「はぁ!? 何で!?」
「まぁ、肝試しってか探索…… 的な?」
「……どこを?」
そう聞いたウチに、腰に手を置きえばった様な格好で修は言う
「学校♪」
「何でよ!? めんどいやん!」
「そー言ーなよ! 実はさ、さっき小耳に挟んだんだけど、最近学校で不可解な事が起こるんだってよ?」
「不可解? アノ件やろ?」
「いや、アノ件じゃなく、人が居ないはずの廊下から足音聞こえる、とかさ」
「嫌や! そーゆーんキライやもん!」
「なぁ」
そうゆう修はトーンを下げ小声で話し始めた
(アノ件、加藤が被害者かも知れないだろ…… 解決しよーぜ、俺達でさ!)
(せやかて、もう2週間前位やん? 警察もやっきになって探してて見つかりもせんのよ?)
(だから、だろ? 謎を謎のままにしておけねーよ!)
(まぁ……)
いや、なぜ私は、まぁ、と呼応したかはわからない
だが修の威圧感なのか変な納得をさせられてしまった
ガラガラーーー!!
再び同じ音色で戸が開く
「あれ?」
「あれ?」
2人が同じ声をあげた
龍斗と桜子である
それを見た修は笑顔に変えた
「ちょーど良かった! 泉も行くことになったんだけどさ……」
と切り返し、説明をし始める修
え?
てか、決定なん!?
無言で唖然としているウチの隣で2人は顔を見合わせ頷いた
そして……
「僕も泉が行くなら行くケドさぁ」
と言いやがった龍斗
「私も修が行くなら行くケドさぁ」
と言いやがった桜子
似た者同士だ、コイツら……
そして
「良し! 決定!」
結んだ右手を高らかと上げる修……
ホントウチは逃げられないのね……