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ルビーアイ  作者: アゲハ
10/23

9話 異変

夜も更けた23時ジャスト





校門前にウチは着いた





空は闇に埋め尽くされ、今はまだ雲に隠れて月も見えない





こんな時間に学校へ来る事など普通は無いだろう





近くの道を通る車の音が、かすかに聞こえる





「待ち合わせ、間違って無いやんね……」





まだ誰も来ない





不安しかない





大きくなんて無い町





家の灯りも乏しい





春とはいえ、夜はまだ肌寒い





サァーーーーー……





風が吹く





夜風も涼しい





いや、そんな風も寒さを感じる





それはこの夜の校舎前にポツンと立つ雰囲気によるものだろうか……





サァーーーーー……





また風の音が聞こえた時だった





重なって足音が聞こえた





暗くて見えないが足取りは軽く、数人がランニングでもしているように聞こえる





いや、違う





声を掛けられた





「お待たせ!」


聞き覚えのある声、龍斗だ


それに続いて修と桜子


「待たせたな♪」


「ごめんね! 今そこで合流したとこなの!」


ウチは顔を振る


「大丈夫や♪」


寒くはあったが別段、待ちぼうけって程に待っても居ない





龍斗が皆を見回し、手をパン! と鳴らす


「さて! 行きますか!」


と口火を切った



「行こーゼ!」

「あいさ…… 」

「いーよー!」



ウチ達も続いて呼応した





校舎昇降口に向かう4人


こんな夜中だ


ウチや桜子は足取り軽く行けるわけも無い


前を進む男2人が頼もしく見える





が、





チラチラとこちらを見るその顔は、イヤらしさを感じないにしても、笑顔というよりは、ニヤニヤしているように見える





この高校は途中合併して無駄に大きく、意外とクラスも多い





校門から校舎まではそれなりに歩く距離がある





校舎は【ロ】の字で構成され


南に昇降口


北に体育館ホール


東に教室が一階から三階までズラリ


西は音楽室や理科室、視聴覚室や職員室などがある


無駄に広いせいでDIY用の部屋まである位だ


誰が木材や釘まで持ってくるのだろう……


ホント無駄すぎる……





なんて考えているうちに昇降口に着いた


よく考えてみると玄関が開いてるわけは無い


今は夜中だ


そう思った瞬間、桜子が首を傾(かし)げて代弁した



「てか夜中よ? 開いて無くない?」



龍斗と修は顔を見合わせ笑顔を見せた



「大丈夫、開けてあるから♪ 準備万端さ!」



何が万端なのかは知らないが、ウチはハァと溜息をつくことしか出来なかった





ゆっくり昇降口の戸に手を掛ける





ギギィィィィ……





こんな静かな空間に、これほどまで大きく聞こえるのはマズいのでは……


そう考えたが、聴覚が鋭敏になって居るだけだろうと思い、深くは考えないようにした





戸が閉まり……





ガチャ……





鍵を閉める





ウチも下駄箱からクツを取り出して履いた





皆がクツを履き、準備は整ったようだ





「で、コースは?」



ウチがそう男性陣に聞くと修がなぜかニヤニヤしながら東側、教室棟を指差した





コースも決まっているとは……





ヤレヤレ……





と、一歩踏み出した時、腕を掴(つか)まれた!



「!?」



驚きで腕を見る!!


そこには心配なのか、恐怖なのか……


そんな表情の桜子が腕を組んで居た





ホッとしたのも束の間だった





桜子の視線は前を見ている





ただ、前を、見ている





彼女から視線を戻し、前を見る





正面には上の階に登る階段





そしてその手前から一階の教室に向かう南北に伸びる廊下の曲がり角が見える








だけのハズだった








それはいつも昼に見ているはずの光景








違う……








何かが違う……








何かが縦(・)に(・)伸(・)び(・)て(・)い(・)る(・)?








近付く








歩けない








すり足で少しずつ、前に……








天井から何か、伸びている








あれは、ロープ……








少し、近付く








黒い塊








その上、ロープとの間……








あれは……








髪?








ロングヘアの……?








あれは首吊り……








理解した瞬間、言葉が出ない


右手で口を抑える


ココはマズイ!


頭がそう判断するよりも体が早く、左手につかまっている桜子の手を引き昇降口に走った


言葉なんて要らない


ただ……








ただ、逃げなければ!

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