17話 絶叫
修が逃げろと言った場所
一階体育館トイレ
ソコに向かう為に踵を返し、さっき駆け上がってきた階段に戻ろうとする
その瞬間、私達は転んだ
気が付かなかった
ギヤァャヤャァァャャァ!!!!!!
桜子の絶叫
転んだ体
起き上がろうとする私達の手
ベチョリと手に絡む【ナニ】か……
さっきとはまるで違う風景
そう
今までは
気が付かなかった
今は
爆発により昼の様だ
だから、解った
足元に……
いつもの廊下とは違う
血の海がある事に……
今だから、解る
血の臭いも……
女生徒達が噂していた【ソレ】
ソノ血の海に浮く
肉片も、だ……
もう、解っている
コレは現実
居るか、居無いか
そんな事は解らないけど
多分、コレは噂話の
ルビーアイ
コレが
コレが結末か……
私達もここで終わるの?
にしても、これほどまでに冷静で居られる自分が怖い
こんな数時間で慣れるものなのかな……?
数時間前はすぐ逃げてたのに……
隣では桜子が両手で頭を抱え、絶叫している
その眼は見開き、今にも心が壊れそうに見える
そうだろう……
私も冷静な自分が怖いのだから……
だって……
桜子……
貴女の目の前にある
その
落ちている【眼鏡】を見て、コレが誰の血の海なのか、解ってしまっているのに……
私は彼女に叫んだ
「桜子! 離れよ!!! 一階体育館や! 早よぅ!!」
桜子は声にならない声で叫ぶ
目は虚ろだ
無理だ!
引き摺るしかない!
桜子の両脇に手を入れソウする
ハズだった
動転して硬直したのか、叫び散らす桜子の両脇に手を入れる事が出来ない
私は前に回り、桜子を見た
そして
スパアァァァーーン!!!
頬を叩いた
力一杯
手加減無しで……
泣き声が止まった桜子は私の眼を見た
「泉……」
と、呟く
「うん、行こ…… 一階体育館のトイレや!」
「うん……」
「下、見んといてな!」
「うん……」
私達は修の言っていた、一階体育館女子トイレに向かった




