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子供達を連れて、近くの街へ向かう ②


 私たちは文官達の働く屋敷の部屋を使わせてもらうことになっている。家族全員で同じ部屋でも問題がなかったけれど、新婚である私とクリティドに気を利かせてか夫婦と子供達とで二部屋分用意してくれていた。



 私とクリティドに子供が出来た方が安心なんじゃないかってそういうことを言う人たちも多い。前妻の息子たちだけだと、立場が不安定だって。それは私のためを思って告げてくれていることは分かるけれど、私は出来ても出来なくてもどちらでもいい。

 だって貴族夫人としての一番の役割は子供を作ること。跡取りが居ない場合は離縁を求められることも少なくはない。もちろん、分家から養子を取ったり、第二夫人を娶ったりすることだってあるけれども……。



 私の場合だと血の繋がらない息子が二人もいるのだから、跡取り問題は何も心配する必要がない。寧ろ私は気が楽だと思っている。

 私は子供が好きだからクリティドとの子供が産まれたら嬉しい。でも子供って授かり物だから幾ら私が望んでも出来るかわからないしね。

 もし子供が産まれたとしても、ティアヒムとクリヒムのことは同じように大切にする。



 私にとって二人とも可愛い息子たちであることには変わらない。

 継母が子供を産まれたからといって、前妻の子供を虐げるなんていうことはこの世界でも当然ある。そう言う話を私は聞いたこともあるし、小説などでもよく見られる。前世でもそう言う話って多かったな。

 ……私は自分が変わらないつもりだけど、無意識に態度を区別してしまったりしたらっどうしよう?



 自覚することなく、そう言う行動をしてティアヒムとクリヒムを傷つけてしまったら嫌だなぁ。それだけは絶対に避けたい。

 そう考えると私が……もっと年を重ねて、そう言う心配が全く無くなるぐらいまでは子供が出来ない方がよかったりするんだろうか。




 前世も含めて子供が出来たことはないから、どうしてもそう言う心配はしてしまう。

 でも私とクリティドに子供が産まれたら、ティアヒムとクリヒムは良いお兄ちゃんになるんだろうな。

 ……そう言う姿も見てみたいなとも思う。





 私、ちょっと前までは自分は死んでもいいって詰んだ状況に諦めていたはずなのに、今はすっかりそういうことに対しても前向きだ。

 前世は保育士になるという夢を叶えるために亡くなった。当時の夢には、結婚して子供を持つことも含まれていた。前世では学生で、結婚もしていなかったのにいつかその夢が叶えば嬉しいってそんな風に思っていた。



 当然のことだけれども、自分が突然死んでしまうなんて考えもしていなくて当たり前のように私は社会人になって生きていくんだって思っていた。

 でも人生っていつ終わるのか、何が起こるか分からないのだと私は知っている。




 だって前世の私の人生は、予想外に早く閉じた。そして今世は、高位貴族のいざこざに巻き込まれて前世の記憶を思い出した時には大変な状況だった。




 今は幸せでも、この先の未来どうなるかなんて誰にも分からない。そう考えるとやっぱり魔法はまた使えるようになっていた方がいいかもしれない。





 クリティドは私のことを全力で守ってくれようとするだろう。ティアヒムやクリヒムの、子供達もそう。

 バルダーシ公爵家の問題が片付いたとはいえ、何らかの拍子にクーリヴェン公爵家が狙われる可能性って十分にあり得たのだ。

 もしそんな危険な状況に陥った時に、私が魔法を上手く使えないせいで家族が傷ついたりしたら嫌だもの。




 私達の間に子供が産まれたとしても私やクリティドはティアヒムを次期当主として定めたままなことには変わりないだろう。それでも私達の意思を無視して、勝手に行動を起こすような人も居なくはないのだ。

 私にとって想像もしないような行動を起こす人が世の中にはいるのだから。





 もし私やクリティドに不測の事態が起きて、その結果、子供達のことを守れなくなってしまったらと考えただけでも恐ろしい。

 そう考えると、子供が出来るとしても私の魔力が回復してからの方が嬉しいかもしれない。私の魔力回路の傷ってもし子供が出来た場合にどういった影響を与えるかも分からないし。

 不安事が全部片付いたタイミングだと、一番嬉しいかも? でもそういうのって結局のところ授かり物だから子供が出来るかどうかも分からないけれども。




「ウェリタ、どうした?」



 私は色んなことを考えながら、窓の外を見ていた。

 短いとはいえ馬車の移動をして、少しだけ疲れてしまったから。




「わざわざ夫婦と子供達の部屋を分けてくれたんだなと思って。それで、私達に子供が出来たらというところまで考えたの。クリティドとの間に子供が出来たら、凄く幸せだろうなって思って。でもそれと同時に、もし産まれた際に私が無意識でティアヒム達と区別してしまったらどうしようって……思ってしまいましたの」



 私は自分の考えていることを、クリティドへと伝えた。

 クリティドは私の言葉を聞いて小さく笑う。



「私もウェリタとの子供なら可愛いだとうと思う。それにティアヒム達のことを心から大切にしている君なら、そのような区別はしないだろう。大丈夫だ」



 そしてはっきりとそう言われた。そしてクリティドは私に近づいて、安心させるように口づけを落とすのだった。


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