俺のしたいこと
精霊の森にて
「くそっ、どこだよ、五葉」
俺はエアリスを刺した後見事に騙され、先生や生徒に今、追われていた
「まて、この人殺し」「先生の敵討ちを」「私の先生を返して」
悲痛な叫びが森に響く
殺人犯として
【殺した方が、早いと思うけどぉ?】
精霊ヴァニタスの声が聞こえる
「うるせぇ、俺はこれ以上、誰かが死ぬところなんて見たくない」
【あら、そう】
姫様とキングスの力はもう失われている為、超強化による身体能力は使えない
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
息切れがするほど走り、妹を探した
「どこにいるんだよ」
俺は、五葉がもしかしたら、死んでるかもしれないと考えた
【もしかしたら、もう死んだのかもね?】
ヴァニタスも同じ意見らしい
「見つけた!!こっちにいたぞ」
男子生徒に見つかった
「先生の仇!!」
「精霊顕現:シルフィード」
びゅおおおー という風と共に精霊が顕現した
さすが、アベル精霊学園の生徒、上級精霊とは
「先生は、優しくて、いつも生徒思いの先生だったんだよ。
どうして,こんなひどいことを」
どうやら、エアリス・ユグドラシルは信頼が厚いようだ
こいつらにエアリスの事を伝えても、信じてもらえると思えないし、多分だけどショックの方が大きい
それなら、おれは・・・・悪役でいい
「はぁ、さっきから聞いてれば、うるせぇなぁ!!そうだ、俺が殺したんだよ。あの聡明な顔が恐怖で歪む姿はゾクゾクしたぜ、ひひひ」
「ヒッ!!?」
男子生徒の顔は恐怖で満ちていた
「あははは、お前も殺してやるよ」
【いいの?】
ヴァニタスは心配しながら聞いてくる、口元はにやついているが
「あぁ!!アイツと同じところに送ってやるよ!!」
俺は精霊シルフィードに手をかざす
そして一言
「虚無魔法」
灰色の球体が精霊にあたった
精霊は跡形もなく、消えてしまった
「シルフィード!!シルフィード!!」
男子生徒の叫ぶ声が聞こえる
「次は・・・・お前だ」
俺は虚無の魔法を彼に放った
だが、当然当たらなかった
巨大な門に吸い込まれたからだ
「時の門、開門」
中からアルカナ学園学園長のアルカナが出てきた
そして気づいたら、
「ボクが留守にしていた間に何が起きているんだい?」
いつの間にか、横にいて、覗き込むように聞いてきた
「なるほど、それは大変だったね」
目には時計のマークが出ていた
まさか、7つの大罪に巻き込まれているとは
「・・・・えっ!!?」
俺は驚いた
「あ、ごめん、つい癖でね。相手の過去をのぞくの」
ごめん、ごめんと手を合わせて謝ってくる
「君も知っている通り、ボクの精霊は強いからね。紹介しよう。時の精霊、クロノスだよ」
隣にいたのは、イケメンな男性だった、年齢は20歳くらいだろうか
「す、すみません、あ、あまり見ないでください。少し恥ずかしいので」
なんか、手で顔を隠して、もじもじしてる
「え?」
「びっくりするだろう?クロノス、めちゃくちゃ人見知りでさ」
アルカナはどうだーみたいな顔で見てきた
「あと、そんな、怖い顔しないで」
アルカナが俺の頭をなでてきた
「ボクはいつまでもきみの味方だよ」
嬉しかった、気づいたら涙がこぼれてきていた
「あれ、なんで?」
「いいんだよ、泣いて」
アルカナはふと、あぁそうだ、死んだ子たちについては気にしないでいいよ
「ボクの精霊クロノスが時間を戻すから」
アルカナはパチンッと指を鳴らし、時を戻し始めた
大丈夫だよ、ただ、とアルカナの視線が一点を見つめ、表情が強張る
やがて、視線の先の空間にヒビが入った
パキっ、パキっ、パキっ、バキバキ
『まさか、時間を巻き戻すとは噂通りですか』
「んんんーー」
そこからエアリスと口と手足が縄で縛られた五葉が出てきた
五葉はひたすら暴れていた
「五葉!!」
『私達、7つの大罪はあらゆる精霊から見ても異端な存在、時戻しごときでは戻らないですよ?』
「まじかよー、ボク、昔、7つの大罪に遭ったことがあるから、まさかと思ったけどさ、それもうチートだよね」
アルカナがエアリスと話をしている
この隙に俺は虚無魔法で俺自身の存在を消し、エアリスの背後に周り、五葉を救出にはかる
五葉のロープを虚無魔法で消すことはできた
そして、五葉の救出にも成功した
だが、そこで、ばれた
『まぁ、私から、妹さんを奪い返そうとするのはいい判断です』
『ですが・・・・貴方の能力も把握しているのですよ?この数をあいてにどうするのですか?』
「はっ?」
そこで気づいた
いつの間にか魔物がいるではないか
地上・上空にたくさんの魔獣がうごめいている
王国内にも沢山魔獣が出現している
『逃げてもいいんですよ?』
『アルカナさんは私につききっりで、魔獣には対応できない』
エアリスがわざと問いかける
俺に使わせるつもりだ
アルカナを代償にしてエアリスを倒し、王国を救えと
【アルカナを代償にすればいいよ】 そうだ、そうすれば
【逃げることも悪いことじゃない】 そうだな、逃げよう
ヴァニタスが俺に問いかけてくる
あぁ、俺はまた逃げている、いいんだ逃げて逃げて逃げて、そして五葉と一緒に安全なところに逃げよう
ふと、3人の少女の事を思い出す
勇敢に覚悟を決めてヴァニタスの代償になった少女の事を
彼女は強かった
そして、笑って
己の役目を果たしたのだ
ならば、俺は
俺に対していつまでも君の味方だよって言ってくれた少女の優しさを
あの温かさを
ならば、
いつも、五葉がいたから楽しかった
これだけは失いたくないと思った
俺はあいつのお兄ちゃんだから
かっこいいとこをみせたい
ならば俺は
「姫様がさ、言ってたんだよ。私は守りたいものの為に命を懸けると」
その本当の意味を今わかった気がするよ
そう、貴方の、守りたい者を守って、今度こそ
姫様の声が聞こえた気がした
俺はふっと笑い
「俺には、守りたいやつ、やつらがいる。・・・・だから!!俺は」
この命を懸けられる守りたい者のために
【代償は俺だ】
ヴァニタスがいいのかいと問いかけてくる
あぁ、このいのちで守れるなら
【ヴァニタスやってくれ】
・・・・理解できない、他人の為にそこまで
【何故ってそりゃ、好きだからだろ、この世界が】
俺は笑って答えた
ヴァニタスは唖然としていた
エアリスが気づいたのか、止めに入ろうとしている
『やめろぉぉぉぉ』
だが遅い
俺の体が金色の粒子で包まれる
【世界は残酷かもしれない、だけど!!俺はそれでも、あがき続けることをやめない】
【もう逃げない】
【だからさ、笑おうぜ、来いヴァニタス】
浸食される、おれの寿命がわかる
ごめんな皆。俺は、
【汝、虚無の精霊の約定においてこれは可決した】
【共に力を振るいましょう】
嬉しかった、ヴァニタスと少し心が通じ合えた気がした
【ヴァニタス!!俺が、俺たちがどんだけすごいか見せてやろうぜ】
【まずは地上だ!!精霊といえば羽だよな】
出てきたのはきれいな2翼だった
【ヴァニタス、お前の翼、綺麗だな】
【ばか、今言うことじゃないだろ、このアホ】
ヴァニタスは照れていた。う、かわいい
「楽しそう、お兄ちゃん」
妹が大きな声で叫んでいた
「私も乗せて」
「ズルイ!!ぼくも乗せて」
アルカナまで声をかけてきた
【しゃーねぇ、いくぞ!!ヴァニタス!!】
【虚無龍ヴァニタス】
【あいよー】
精霊ヴァニタスが大型の龍に変形した
【ドラゴンハウル】
ヴァニタスは咆哮を放ち、王国全土の魔獣たちの動きをひるませた
そして、アルカナと五葉を乗せて一緒に魔獣討伐を行った
誰かと、守りたい者のために戦うことがこんなに誇らしいことだとは
俺は知らなかった
【あぁ、姫様の見ていた景色はこんな景色だったのかもな】
王国全土の魔獣を討伐した
【あとはお前だけだ。エアリス・ユグドラシル】
『やれやれ、まさか、自分を代償にするとは・・・・この愚者が』
【誰かを守れるなら俺は愚者でいい】
『私たちの計画が・・・・くそが』
エアリスは余程、余裕がないように見える
『もういい、この子ですべてを破壊する』
『魔物化:終末の龍 カタストロフ』
今、世界神話の中で有名な一体のドラゴンが空から舞い降りた
終末龍の有名な話はその咆哮ですべてを消したという
〈終末乃咆哮〉《エンドオブハウル》
「JDWFIEJFOIENWNOKNWOFWONFNFNFNEOFKWNNONFOW」
言葉に表せない咆哮を放った
建物や人々の消滅が始まる
『次で決めなさい。終末龍』
「HOIGEORGJPRPKGRNGOIJWGPWJOWBKJWNOKNG;LWNPNI」
咆哮を上げる終末龍
『禁忌乃業CATASTROPHE』
エアリスがそう唱えた瞬間
世界が、全ての生命が、悲鳴をあげた
【アイツを止めないと、ヴァニタス!!】
【あぁ】
俺は終末龍に立ち向かう
『やめなさい、貴方が死ぬことは決定しているのですよ?死んだ後の世界の事なんていいではないですか?』
【それでも、いくよ】
『何故、他人の為にそこまでできるのですか?誰だって自分が可愛いはずだ』
【そうかもな、でもな、おれはこの世界が好きなんだよ】
俺は知っている
誰かのために生きることの素晴らしさを
その覚悟の代償を
【ヴァニタス、行くぞ!!最後の戦いだ】
【だけど、何をしても、勝てないと思うぞ】
可能性ならある。
《《あの夢が本当なら、同じヴァニタスなら》》
【おれさ、ヴァニタス、使うよ、禁忌の技】
【・・・・・・いいのか、】
【俺は愚者だからな、最後に世界を守って死にたい】
【それに・・・・・こんなにも】
「「「「「「生きたい、今日を明日を生きたい」」」」」」
聞こえる、みんなの生きたいという意思が
【誰かの生きたいという意思、それがおれに世界を救う覚悟をさせてくれる】
【行くぜ!!ヴァニタス】
【禁忌乃業VANITAS】
俺がそう唱えた瞬間、世界は色を失った
灰色の世界、だが同時に、終末龍も消え、世界のすべてが元に戻った
《《これは世界の終末そのものを消した》》
『まさかこれほどとは』
【終末龍、相手が悪かったな。これが俺たち人類のいや、世界の力だ】
俺はみんなとともに終末龍を倒した
『ふふふ、まさか、禁忌の技を使うとは、ここは逃げましょう』
【逃げれねぇよ、VANITASでお前の能力を無効化した】
【お前ら異端精霊の会の目的を教えてくれないか】
俺はエアリスに問いかけた
『私たちの目的は、最強の精霊を復活させること』
【だとよ、アルカナ、五葉、ごめん、あとは任せた】
「いやだよ、お兄ちゃん」
「行かないで、空」
五葉とアルカナが泣きながら抱き着いてくる
【よかった、こんな俺でも誰かを救い、世界を守れた】
俺は黄金の粒子でそのまま消えるのだった
***
ドンッ
家の玄関の扉に何かが倒れる音がした
ガチャッ
「あら?この子は・・・・」
そこにいたのは一人の少年が寝ていた
***
【ギリギリだったけどあなたをまだ殺させるわけにはいかない】
ヴァニタスはそう言いながら、目を細めるのだった




