騎士団長の過去①
なんだこれは。
目の前には盗賊たちが村人を襲っている様子。
男性は殺され、女性は犯され、奴隷にされ、
人々の悲鳴、それが村中に響き渡る。
男は幼い妹を抱きかかえ泣く。
「渡したくないです」「助けてください」
目のまえの二人組の盗賊に必死に血で濡れた手を服に擦り付け懇願する。
だが、二人組の盗賊は。
「どけ!!」
「お兄ちゃん!! 助けて」
幼い妹を連れ去ろうとする。
男は手元にあった剣で無我夢中に二人組のうち一人に斬りかかった。
「妹を置いていけ!!この野郎!!」
男は深い傷を負っていた為、不意打ちだったとしても、相手を殺すほどの斬撃を与えることは叶わなかった。
男はそのまま、意識を失った。
それから、男は騎士団に入隊する。
周りに仲間はいない。
この前の事件で皆、男以外死んだ。
だが、騎士団で大切な人は出来た。
楽しかった、赤いバラのような日々、だが、それは唐突に終わりを告げる。
男はある日、奴隷になった妹と再会した。
きっかけは信頼していた騎士団長が実は奴隷を所有していたという事実があり、帝国騎士団全員で抜き打ちの家宅捜索が行われたためだ。
「騎士団長、帝国法に基づき、貴方の身柄を確保し、家宅捜索を行います」
「はぁ、ばれたか、ちっ、いいよ、だが、お前、絶望するぞ、いいか?」
騎士団長が男に意味深な問いをかける。
男はそのまま家宅捜索を騎士団と行った。
だが、そこで見た。
数多くの奴隷の遺体の山、そして、その中に腹が膨れている妹の姿があったことを。
「あれ? 死んでるじゃねーか、そいつだろ、《《お前の妹》》」
「え?」
男は唖然とした。
よくよく見れば、村の住人も何人か含まれている。
妹は死んでいた。
「はぁ、皆、いい声で鳴いたぜ、助けて、死にたくない、だが、傑作だったのはお前の妹だ、いつもなんて言ってたか分かるか?」
騎士団長がなんて言ってるのか分からない。
脳が活動を無理やり停止させる。
【お兄ちゃん、お兄ちゃん、助けて......だ】
「腹を抱えていつも笑ったよ、面白くてな」
「なんで、だって、団長、捜索依頼を出したときに全員死んでるって」
「ばーか、それが嘘なんだよ、あの時、実は見つけてたんだよ」
「どうして」
「そんなの《《お前の絶望の表情を見たかった》》」
「そして、お前は俺の思い描くような結末を辿ってくれた、だが、お前らに悪いお知らせがある、それは」
がちゃり、バキーン
「俺がいつでも戦えるということだ」




