どうして敵わないと知りながら立ち向かえる
【青年 薄影 暗 視点】
俺たちは、紅蓮とカレンを追うために王国にあるアルカナ学園の精霊の森へと来ていた。
精霊の森に到着した時にはもう紅蓮の胴体に穴が開き、カレンは、赤い龍になっていた。
(よし、次の段階だ)
ぺータ達は泣いている。
だが、それでは、紅蓮たちが勝てない。
「ぺータ、それにみんな、応援しよう、紅蓮たちを」
「紅蓮!! がんばれー」「紅蓮さん負けんな、俺たちがそばにいます」「パパがんばれー」
皆が紅蓮に応援をする。
紅蓮がその応援に答え禁忌を発動する。
(よし、ここまで、未来の出来事通りだな)
そして俺は、一人、誰にも気づかれず精霊の森の中に入っていった。
そこには一人の女性がいた。
「エアリス」
「団長!!」
「計画はどうだ?」
「ごめん、精霊紋が機能しなくて」
「こっちにこい」
俺はエアリスを抱きかかえ、精霊紋を回復させるために精霊スキルを行使する。
「精霊スキル:強奪」
強欲の精霊スキルにより、虚無の精霊の力を奪った。
「お前は役目を果たせ」
「うん、私、役目を果たすよ、暗? 少し聞いてもいい?」
「......なんだ」
「私の事好きだった?」
こいつは幼い頃拾い、ずっと俺にべったりと後をついて来ていた。
俺は嘘をつく。
今も昔も俺の心はあいつの為にしか、機能しない。
「好きだよ」
だが、それでも、仲間として生きていた年月を犠牲にして、アイツを、アイツを生き返らせることができるのならば俺は何でも利用してやる。
「同じだね」
「......」
彼女は分かっている。俺がお前の事を好きではない事くらい。
「もう行くね」
「あぁ」
俺はエアリスに声をかける。
「エアリス」
「!!」
期待に満ちた目でこちらを見つめてくる彼女。
「最後の役目を果たせ」
「......分かった」
彼女がどんな顔をしていたのか分からない。
お互い最後に顔を見ず離れた。
俺は森の影からぺータを見る。
この魂、空も覚醒してる。
ぺータがエアリスの出した、終末の龍カタストロフのブレスで死のうとしている。
(魂が、痛いな)
だせ、俺をここから出せと空の魂が主張している。
「行くのか、死ぬぞ、お前、今度からは代償による禁忌は使わないつもりだろ」
「あぁ」
犬死にだ。
「行くいかないじゃない」
「それにいいのか現実に戻れば、お前の存在が認知される。また、異端精霊の会に狙われるぞ」
「悪いことはいわない、俺と変われ、そうすれば、俺なら勝てる」
空、お前の実力では、エアリスに勝てない。
俺は空の魂に引っ張られ、エアリスの前まで出てくる。
エアリスも気づいた。
俺が薄影 暗の魂の行動ではなく、黒乃 空の魂の行動だと。
魂の中の俺と現実にいるエアリスが彼に問いかける。
「「何で敵わないと知りながら立ち向かえる」」
そして、俺は空の意識によりぺータの元に走って向かう。
彼は一言。
「そりゃぁ、だってこの世界が好きだから」
俺の意識は外へ弾かれた。




