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虚無の精霊使い~愚者と呼ばれた異端者は世界を支配する   作者: 誤インキャ様
1章帝国編

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これが俺の答え

「なぁ、くら、お前の気持ちを分かるとは言わない、だが、少し考えなおしてくれないか?この世界だって悪くない」

『この世界の事を何も知らないお前がか?』

「俺は何も知らない、だからこそ、世界が好きなんだ」


『なぁ、親父からどこまで俺の記憶を継承した?』


 暗は俺に聞いてくる。


「俺が受け継いだのは、お前の名前とあの事件の記憶、それだけだ」


「............、くくくく、なるほど《《それだけか》》なら、俺の計画に支障はないな」


 彼は不気味な笑みを浮かべる。

 だが、関係ない!!

 俺が彼を止める。


くら、決着をつけよう、俺はお前を止める」

『なら、その世界が好きということ自体を否定してみせよう』


『こい!! 空!!』


 俺は彼の胴体を殴る。

 だが、彼には届かない。


(打撃が吸収されている!!)


『今のはハンデだ、だが、今の一撃で殺せないのはダメだな』


『では、今度はこちらから行くぞ』


 その瞬間、彼の刀が目の前にあった。


(くっ!!よけ切れない)


(ならっ!!)


 刀を掴み、衝撃を殺す。

 だが、甘かった。

 俺の右手が切り落とされた。


「だが、まだだ!! 【虚無霧】!!」


 全身から彼を覆うように灰色の霧を出す。

 しかし、突如、その霧も消えた。


『正直......、がっかりだよ。空』

『もう少しやれると思っていたのに』


「まだだ、まだやれる」


 俺は灰色の霧を出そうとするが出なかった。

 気づいた、【灰色の霧】の状態が解除されているのだ。


 そして、俺は、今までの反動が体中を襲う。


(いたい、いたい、いたい)


『タイムリミットだ、その精霊武装は未完成、故に変身が解けた。』

『世界が好きだから......、俺を止めるか。だがな、それだけでいいなら、俺はとうにあいつを復活させてる。空、お前じゃ、世界を救えない』


 アイツが俺に刀を振り下ろした。


【・・・・・、・・・・・、・・・・・!!】


 その瞬間、目の前に黒い魔物が現れ、両手を広げる。

 魔物はばさりと倒れる。


(な、なにか、きこえる?)


 魔物に触れる。

 その時、脳裏に魔物、いや、彼女の思いが流れ込んできた。

 俺は彼女を抱きしめ。見つめる、表情は黒くて、見えない。


「どうして、どうしてこんなことを」


 そこにくらが声をかけてくる。


『気づかなければ幸せというものを、そいつはな、俺を殺して、お前を助けようとしていたのだ。ずっと』

「だって、あの魔物は俺の精霊で殺しに来てるって、彼が言ってたんだ。」

『それは、こんな顔だったか?』

『【強奪】』


 そこには俺の顔をした青年がいた。


「!!? だ、騙したのか!!」

『途中までは本当に記憶の空だったんだよ、奪わせてもらったけど』


 暗は元の顔に戻した。


(悔しい、こんな奴に)


「この外道がっ!!」


(負けたくない、だけど)


『だが、俺の罪具によってそいつは吸収される』

『次はお前の番だ。こいつと同じ運命を辿らせてやるよ』


(彼女と一緒に行けるなら)


 そして、俺は暗の罪具で切られた。


「ねぇ、どうして、そこまでして」

【・・・・、・・・、・・】

「ごめん......、やっぱ聞こえないや」

【・・・・・】


『じゃ、これで、死ね』


 そして、俺の意識は消える。

 その場には亀裂の入ったステッキが残った。


『これで、1件落着、だというのに何故、お前ら、まだ生きてるんだ』


「いやさ、お前に切られる瞬間、助けられたのさ、アイツらに」


 金色の魂と緑色の魂が身代わりになってくれた。


「なぁ、暗、俺はさ、お前みたいに愛する人を失ったわけでもない。自分を殺そうとしたことなんてない。俺はお前みたいに真剣に向き合ってこなかった。」


『なら、そんなや「だけどさ、最近、逃げずに向き合おうと思ったよ」』


 俺は近くに落ちていた亀裂の入ったステッキを拾う。


「あぁ、やっぱり、」


 俺の手には1枚のカードが握られていた。


『!!? 寄越せ、そのカード!!』


 暗が俺からカードを取ろうとしてくる。


「返すよ、君に」


 今にも消えそうな黒い魔物、いや、彼女にカードが触れた瞬間、

 彼女が灰色に輝く。


「帰ってこい!! 俺の虚無の精霊、いやヴァニタス!!」


 そこには銀色の王冠に長い銀髪に灰色の瞳をした1体の精霊がいた。


【ぷはぁ。よかった、無事、帰ってこれた!! ありがとね、空】

「いや、こちらこそ、ごめん、お前を傷つけて」


 暗は俺たちをただ見つめていた。


『精霊ヴァニタスが復活したところで俺に勝てるとでも?』


【って相手言ってるけど、どうする?空、一つ、成敗する?】


 ヴァニタスは片手に虚無魔法を展開する。


「あぁ、その前に」


『なっ!!?』


 俺はすかさず、暗の懐に潜り込み、刀に触る。


「返してもらうぞ、彼女たちを」

 『............』


 黄金の魂と緑色の魂をもぎ取る。

 俺はその魂を手放す。

 すると、金色の魂は金髪のショートのお姫様に。

 緑色の魂は緑色の短髪の冒険者に。

 形を変えていく。


「久しぶりだね、空」


 金髪の彼女は俺に微笑みかけ、緑色の男は俺を見つめる。


「やぁ、初めまして、空。僕の事分かるかな?」


 緑髪の男が声をかけてくる。


「ごめん分からないよ」

「あぁ、僕の名前は」


 がきん。


 突然刀が投的された。


「危ないなぁ、本当に」


 緑の男はいつの間にか持っていたマイクで、彼の攻撃を跳ね返した。


(えっ、なんで、マイク?)


 よく見たら、金髪お姫様も持っていた。

 彼女はにっこり笑っている。


(かわいい)


「僕たちはただの応援さ」

「君たちが主役だからね」


 パチン、指を鳴らし、ステージが用意される。

 ここはドームなのか、周りは観客。

 そして、中央には俺と暗。


 そして2人は観客で歌を歌う。


『はぁ、まじでこうなるのか』

『お前たちを殺して、周りも殺すか』

「そうはさせない!!」


 二人が衝突する。

 刀と拳がぶつかり、ドーム全体に甲高い音を鳴らす。

 何回、何十回、拳と刀をまじ合わせる。


 いい勝負、だが、罪具の影響が俺の体を侵食してくる。


(くそっ、少し気を抜けば全部持っていかれる)


「だけど、俺が負けたら世界が終わる」


(この、勝負負けられない!!)


 しかし、終わりは必ず来る。

 俺の虚無魔法を浴びた拳はついに、罪具の打消しを処理できなくなった。


 俺の体が弾き飛ばされる。

 ステージにクレーターができる、もうコントロールできない。


(あと一撃食らえば、俺は、ならあれをするしか)


 暗が俺を殺しに罪具を振り下ろす。

 俺は刀を見たまま動かない。


(これで、また、【灰色の霧】になれる、俺がどうなろうとかまわない)


 しかし、その刃は俺の首元には届かなかった。

 金髪のお姫様が黄金の剣で止めたからだ。


「ねぇ、君の名前を教えて」

「えっ」

(どうして、この状況で)


 姫様はそのまま罪具を弾き返した。


『ちっ、聖具か』


「私の名前はアーサー・キングス。君の名前をおしえて」

「なぁ、どうして今なんだ」


 いつもなら嬉しいはずだが、状況が状況、笑っていられなかった。


「あのね、好きな相手の名前を知りたいのはごく普通の事だよ」


 俺はあっけにとられた。


「それに私たちは仲間でしょ?」


(あぁ、なるほど、俺は忘れてたな)


 だからこの舞台なのか。


「俺の名前は黒乃 空!!俺は負けねぇよ、仲間がいるからな」


 俺の命は一つ、皆も一つ。

 俺が世界を救うんじゃない、皆で世界を救うんだ。


 ふと、彼女を見た。金髪が揺れる姿が可愛くて思わずキスをした。

 身体が金色の光に包まれ、体中の傷が癒える。


「ふぇ?え、え、何をしてるの?」


 姫様の頬は真っ赤にはれていた。

「可愛くて、つい」

「大丈夫、もう大丈夫だ、ありがとう」


「こい!!ヴァニタス」

【やっと、呼んでくれたの、遅いよ】

「悪かったよ、俺はあれを使うよ」

【あれはまだ早いと思うけど、でも使うなら一振りだよ】

「充分だ」


「【特殊精霊武装、罪具解放、虚無の剣】」


 精霊顕現を成功し、その次のフェイズ。

 それが精霊武装。精霊が自ら武装に変換される。

 親父から聞いてた通りだ。


 身体が重い、魂が消えかける。

 意識が持っていかれる。


(やばい、暴走する)


 罪具の形を維持できない。


【空!! 武装を解除しろ!! このままでは、消えてしまう】


(やはり、だめなのか)


『消えろ。消えろ、空!!』

『我流術零型 抜刀 』


 彼は高らかに笑い、俺を殺そうとする。


「「大丈夫!! 俺たちがいる」」


 瞬間、剣が完成した。


「俺はあいつを止める、このひと振りで!!」


 暗の刀と俺の剣がぶつかる。

 そして、決着がついた。


 暗の刀は機能を失っていた。


 俺が狙っていたのは、刀にいる精霊だった。


「良かった、無事、できて」


 姫様たちは喜びながら俺に抱き着いてきた。


「うわぁ!!」

『俺を殺さないのか?』

「殺さないよ、止めるのが目的だったし」


『お前は甘いな、本当に、その甘さがいつか己自信を殺すぞ』


 ザーザー、ザーザー。

 突如、ステージのモニターに映し出される。


「ペトラ逃げろ!!」


 周りにはたくさんの人。

 そこにはピンク髪の女の子が終末の龍 カタストロフがブレスで攻撃しようとしてるところだった。


『行くのか、死ぬぞ、お前、今度からは代償による禁忌は使わないつもりだろ』

「あぁ」


 あの力は使うと代償にした人物にかかわる全てを使用者以外から記憶を消される。

 あの力は使わない。


『それにいいのか現実に戻れば、お前の存在が認知される。また、異端精霊の会に狙われるぞ』


『悪いことはいわない、俺と変われ、そうすれば、俺なら勝てる』


 俺は無言で、ステージの液晶パネルに触ろうとするが彼が問いかけてくる。


「『なんで、敵わないと知りながら、立ち向かえる』」


 映像の魔物を操っている女性もこちらを見つめ、問いかけていた。

 セリフが重なった


 俺はパネルに触る。


「「そりゃぁ、だってこの世界が好きだから」」









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