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学校が終わり、皆が部活に行った頃…
藤崎紫乃が学校の外に出るとそこには幼馴染の吉野仁だけがいた。見慣れすぎた光景だった。
そして二人は合図もなしに並んで歩き出した。
「今日の数学、難しくなかった?普通にやばいんだけど。」
「別に。」
紫乃はわりとよく話す。ただ、仁は短い会話しかしなかった。いつもだいたい十文字以下で話している気がする。それで会話が成り立つのだから逆にすごいと思っていた。
「今度、教えてよ。」
「嫌だ。」
「ですよね…」
紫乃はため息をつく。
このやりとりもいつものことだった。
その時だった。
一人の人がこちらに寄ってくる。制服を見るにうちの学校の生徒だった。何やら緊張した顔をしている。
「あの、吉野くん…」
そう名前を呼ばれた仁はぴたりと立ち止まった。
紫乃もそれに倣って歩くのをやめる。
「面倒そうなのが来た…」
仁がそう静かに言うと空気が急に凍りついた。
「ずっと、好きでした。」
その言葉で空気がいっそう重くなる。
「付き合ってください。」
そう女の子がいい終わると、本当にこの場は静かになった。
紫乃は横目で仁を見る。なにせ彼は告白されているのだから。ただ、仁は…
「…無理。」
と言った。かなりの回答の速さに紫乃も驚く。
「理由は……?」
「……」
仁は何も言わない。
その時だった。
「その後ろにいる子は誰?」
女の子が聞いてくる。そしてその子とは間違いなく紫乃のことだった。
そして一瞬、間をおいて…
「彼女。」
仁がそう言う。
一瞬、意味が分からなかった。
いや、分からないというより理解したくなかった。
「……は?」
少し遅れてから声が出た。
紫乃の声が裏返る。
今、なんと言った?
か、彼女と言った気がするのだけど…
「ちょっと、待って。今の何?」
紫乃が慌てて仁の袖を軽く引く。
仁は振り向かない。
「その方が早い。」
「何が!?」
告白してきた女子は、しばらく二人を見ていたが、やがて小さく頭を下げた。
「……ごめん、知らなかった。」
そして、静かに去っていく。その顔は今にも泣きそうだった。
夕方の道に、また二人だけが残った。
「さっきのは、本当にどういうこと?説明してよ…」
紫乃の声はいつもより低くなっていた。
「面倒くさかった。告白を断るのが。」
「理由それだけ?」
「十分だろ。」
仁はようやく紫乃を見る。いつも通り、眠そうな目。でも今日は少しだけ、違って見えた。
「……今の私、完全に巻き込まれたよね?」
「そう。」
「そう、じゃないんだけど。大問題。」
紫乃は頭を押さえる。
この幼なじみは昔からこうだ。
考える前に終わらせる。そして、たぶん今も同じ理由。
「はやく誤解をとかないと。」
「別にいいだろ。このままで。」
「いやよくない。」
「楽だ。ああいうことが減って。」
「なら別に私じゃなくてもいいでしょう。さっきの子とか。」
「駄目だ。」
「なんで?」
「知らない奴は信用できない。」
一瞬、言葉に詰まる。
そう言われると返しづらかった。
紫乃は空を見上げる。空はまだ明るかった。
最悪だ。仁は学校でなぜかものすごくモテているから絶対に噂になる。嫉妬によって何が起こるか分からない。平穏な学校生活はどこかにいってしまった気がした。
「……もういい。」
小さく言って、紫乃は大きなため息をつく。
「仁は本当にそれでいいの?」
「いい。もう面倒。」
仁は短くうなずいた。
「はあ、絶対に噂になるよ。」
「別に気にしない。」
「そうですか…というかその強いメンタルを私にも分けてほしいよ…」
「無理。でもまあ頑張れ。」
「めっちゃ他人事。私がいじめでも受けたらどうするの?」
「俺がいる。」
「……」
「そもそも紫乃はいじめられなんてしない。今のまわりからの人の評価を見ればわかる。」
「…それでも…」
仁はそう言っているが…もう関わるだけでまずいのだ。
この時の紫乃はまだ知らない。
この噂が学校中に広がることを




