表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

 学校が終わり、皆が部活に行った頃…

藤崎紫乃が学校の外に出るとそこには幼馴染の吉野仁だけがいた。見慣れすぎた光景だった。

そして二人は合図もなしに並んで歩き出した。  

「今日の数学、難しくなかった?普通にやばいんだけど。」

「別に。」 

紫乃はわりとよく話す。ただ、仁は短い会話しかしなかった。いつもだいたい十文字以下で話している気がする。それで会話が成り立つのだから逆にすごいと思っていた。 

「今度、教えてよ。」 

「嫌だ。」 

「ですよね…」  

紫乃はため息をつく。

このやりとりもいつものことだった。

その時だった。 

一人の人がこちらに寄ってくる。制服を見るにうちの学校の生徒だった。何やら緊張した顔をしている。

「あの、吉野くん…」 

そう名前を呼ばれた仁はぴたりと立ち止まった。 

紫乃もそれに倣って歩くのをやめる。  

「面倒そうなのが来た…」 

仁がそう静かに言うと空気が急に凍りついた。 

「ずっと、好きでした。」 

その言葉で空気がいっそう重くなる。 

「付き合ってください。」 

そう女の子がいい終わると、本当にこの場は静かになった。  

紫乃は横目で仁を見る。なにせ彼は告白されているのだから。ただ、仁は…

「…無理。」

と言った。かなりの回答の速さに紫乃も驚く。 

「理由は……?」 

「……」 

仁は何も言わない。 


その時だった。 

「その後ろにいる子は誰?」 

女の子が聞いてくる。そしてその子とは間違いなく紫乃のことだった。 

そして一瞬、間をおいて…

「彼女。」 

仁がそう言う。

一瞬、意味が分からなかった。

いや、分からないというより理解したくなかった。

「……は?」 

少し遅れてから声が出た。

紫乃の声が裏返る。 

今、なんと言った? 

か、彼女と言った気がするのだけど…

「ちょっと、待って。今の何?」

紫乃が慌てて仁の袖を軽く引く。

仁は振り向かない。

「その方が早い。」

「何が!?」 

告白してきた女子は、しばらく二人を見ていたが、やがて小さく頭を下げた。

「……ごめん、知らなかった。」

そして、静かに去っていく。その顔は今にも泣きそうだった。 


夕方の道に、また二人だけが残った。 

「さっきのは、本当にどういうこと?説明してよ…」 

紫乃の声はいつもより低くなっていた。 

「面倒くさかった。告白を断るのが。」 

「理由それだけ?」 

「十分だろ。」 

仁はようやく紫乃を見る。いつも通り、眠そうな目。でも今日は少しだけ、違って見えた。

「……今の私、完全に巻き込まれたよね?」

「そう。」

「そう、じゃないんだけど。大問題。」

紫乃は頭を押さえる。

この幼なじみは昔からこうだ。

考える前に終わらせる。そして、たぶん今も同じ理由。

「はやく誤解をとかないと。」

「別にいいだろ。このままで。」

「いやよくない。」

「楽だ。ああいうことが減って。」

「なら別に私じゃなくてもいいでしょう。さっきの子とか。」 

「駄目だ。」 

「なんで?」 

「知らない奴は信用できない。」 

一瞬、言葉に詰まる。 

そう言われると返しづらかった。

紫乃は空を見上げる。空はまだ明るかった。


最悪だ。仁は学校でなぜかものすごくモテているから絶対に噂になる。嫉妬によって何が起こるか分からない。平穏な学校生活はどこかにいってしまった気がした。

「……もういい。」

小さく言って、紫乃は大きなため息をつく。

「仁は本当にそれでいいの?」

「いい。もう面倒。」

仁は短くうなずいた。

「はあ、絶対に噂になるよ。」 

「別に気にしない。」 

「そうですか…というかその強いメンタルを私にも分けてほしいよ…」  

「無理。でもまあ頑張れ。」  

「めっちゃ他人事。私がいじめでも受けたらどうするの?」 

「俺がいる。」  

「……」

「そもそも紫乃はいじめられなんてしない。今のまわりからの人の評価を見ればわかる。」 

「…それでも…」 

仁はそう言っているが…もう関わるだけでまずいのだ。 


この時の紫乃はまだ知らない。

この噂が学校中に広がることを

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ