第4話 ミドル戦闘 「衆寡敵せず、されど殺さず」
「ちっ、ルークの奴、腕を上げやがったな。」
眼前に展開した部隊を見渡し、ローランは小さく舌打ちを鳴らした。
迅速に脱出を進めたおかげか、数はそれほど多くはないが、それでもしっかりと陣を構築し、迎撃態勢を整えている。
かつて、自分の部下だったころのルークならば、短時間でここまで統制をとることは出来なかったはずだ。
「奴と戦うとは、皮肉なもんだな。さて、姫様はどう出るか…。」
喜び半分、戦意半分で呟くと、ローランはちらりとフレアに目を向けた。
〇戦闘開始
【行動値】リオン:16 ローラン:12 イスキューロン:11 フレア:9 ルーク隊:6 歩兵隊:6
GM :敵の配置は上の通り、さっきの判定で3ラウンドかかってたら増えてました。このエネミー達は「部隊」で、皆さんは…
ましろ :部隊を率いていないので、「部隊崩壊」状態?
GM :そうですね。
amida :いやー、いきなり部隊崩壊ぶち込んでくるとは鬼畜ですわーw
GM :ミドル戦闘の方がキツイって言っただろ!?w
GM :で、門を通り抜ければ脱出なんですが、その門は今閉まっています。耐久はルルブの「石の壁」準拠で、これを壊すのはなかなかしんどいですが、開閉器でメジャーアクションを消費すれば門を開けることができます。
amida :この壁、〈体内〉ダメは入る?
GM :〈体内〉ダメは無効ですね。で、開閉器でメジャーアクションを消費するか、この門を無理やりぶち壊すかを行ってください、と。部隊崩壊のまま戦うもよし、逃げ切るも良し、それは任せます。
ましろ :戦闘終了条件は、全員が脱出すること?
GM :全員です。あ、別に誰かを捨て石にしてもかまわんのじゃよ?(黒笑
ななむ :おいやめろ!?
***
「どうする?やってやれないことはないよ。」
敵部隊の様子を窺い、リオンがフレアに問いかける。
敵は訓練された兵士だが、戦場帰りで疲弊している。リオンの魔法の後に畳みかければ、勝機は十分にあるだろう。
――だが、フレアは首を横に振った。
「それは駄目。ルーク達も、私が守りたいこの国の民だもの。…それに彼らに手を出したら、もう和解の目はなくなるわ。」
かすかに声を震わせながらも、彼女は毅然として言い放つ。
「…だから、お願い。私はルークを傷つけたくない。皆も、彼らを傷つけないで。」
…彼女も分かっているのだ。多勢に無勢のこの状況を、相手を傷つけずに切り抜けるのが、どれだけ困難か。…自分の判断が、どれだけ仲間たちに危険を強いるのか。
それでも、彼女は譲らない。それが彼女の信念であり――それを貫こうとする姿勢こそが、君主に最も必要な資質だ。
「相変わらず、無茶を仰るねぇ…。」
だからこそ、そう溢しつつもローランの表情は満足げだった。
君主がそれを望むなら、騎士はそれに応えるだけだ。
「はぁ…。分かったよ。ここは僕たちで何とかするから、姫様は城門をお願い。」
ガシガシと髪を掻き、リオンが作戦を提案する。
「なあに。ワシの加護を受け入れれば、傷などつかんぞ?」
愉し気に笑いながら、イスキューロンが加護を売り込む。
「…ありがとう、皆。」一瞬顔を綻ばせると、フレアは表情を引き締め直した。
「それじゃあ、行くよ!誰も傷つけず、ここから脱出する!」
***
ましろ :…じゃあ、フレアが単独行動で門を開けに言って、他の皆はイス様に守られつつ移動するってことで。…おーい、方針決まったよー?
GM :はーい、じゃあ戦闘処理始めて行こうか。
〇第1ラウンド
GM :エネミーの行動値は6、そちらからどうぞ。
amida :えーと、じゃあリオンからだね。マイナーで2マス、メジャーで4マスだから…(駒を動かす)敵集団の中に入って、出る。D3まで移動して来ました。
ななむ :あ、セットアップ忘れてた…。《地を駆けるもの》宣言で変身して、どうせ2ラウンドかかるなら足止め的な感じで、E4の敵にエンゲージしておきます。
ニーグ :イスはリオンと同じ場所まで。
ましろ :で、フレアが…ちょっと待ってこれ届く?(sq数を数えて)うん、届くね。じゃあマイナーとメジャー使って、G1の開閉器まで行きます。…まぁできれば城も壊したくないからね、フレアのものになるわけだからw
GM :あ、ちなみにサイキックの《衝撃貫通》使えば、楽に門壊せたけど大丈夫?
amida :今回はそれ取ってないから…。
ましろ :やめて壊さないで!私の城!(焦り
***
――先手を取り、一斉に駆けだす一行。
フレアは開閉器へ、リオンとイスキューロンは城門へとひた走り、ローランだけが敵陣に相対す。
「さぁ、かかって来いや…!」
彼の両足の筋肉が隆起し、足先が蹄へと変形していく。
獣化により脚力を強化して跳び回り、門が開けば一気に追いつく算段だ。
…だが、足止めをするということは同時に、敵の攻撃にその身をさらすということでもある。
***
GM :では、こちらの攻撃ですね。どうすっかな…。この距離だとフレアは殴りに行けないし、近場の3人をそれぞれ殴ります。
ニーグ :あ、しまった。ローランにカバーリング届かないぞ。
ななむ :あ、ローランは耐えるんで大丈夫です。〈回避〉もあるし。
GM :一斉に判定します。3d6+6の…(コロコロ)15。〈回避〉ダイスは-1で振って下さい、部隊崩壊なんでね。
amida :はーい。《イルード》使って〈知覚〉で判定。(コロコロ…)17、避けた。
ニーグ :(コロコロ…)あ、14。いちたりない…。
amida :《アシスト》飛ばして行きましょう、コスト1なんでね!(ドヤァ
ニーグ :助かる!
ななむ :(コロコロ…)うー、11。受けます。
GM :では、ダメージ行きます。元々の4d6+29に部隊崩壊ペナで4d6+49、さらにルークが《増幅の印》を飛ばして+(1d6+6)です。
ましろ :いたそー!?
GM :(コロコロ…)12+49で61。さらにルークの支援が…(コロコロ)あ、高い。12増えて合計〈武器〉73です。
amida :《キネティックバリア》飛ばしますね。混沌レベルなんぼ?
GM :混沌レベルは3。まあ城だからね、高くはないよ。
amida :じゃあ3d6+3で…(コロコロ)14軽減。
ニーグ :こちらも《遣わされし守護者》を飛ばして、4d6+5…(コロコロ)19軽減します。
ななむ :ありがとうございます!〈武器〉防御引いて、実ダメージは34。残りHPは60です。
GM :余裕やな。
***
「あの獣を止めろ、押し包め!」
――ルークの号令一下、守備隊がまるで生き物のようになめらかに展開し、ローランを取り囲む。
部隊を率い、指示することで力を与える、ルーラーとしての聖印の力だ。
「邪紋使いとて、この数には勝てん!一斉にかかれ!」
四方八方より、隙間なく突き出される槍。動き回る空間がなくば、獣人の脚力も活かしようがない。
なすすべもなく滅多刺しにされる――かに見えた次の瞬間、横から引っ張られたように穂先の向きが乱れ、突如出現した投影体が守備隊の動きを遮る。守備兵たちの足並みが乱れ、包囲網の一角に綻びが生じた。
「…全く、世話の焼けるおじさんだね。」
「神たるもの、信徒との約束は守らねばのぅ。」
リオンの静動魔法と、イスキューロンの眷属による援護だ。
そして、その綻びに乗じて、ローランが体ごと敵陣の只中に飛び込む。
「確かに、俺一人じゃこの数は厳しい。だが――」
両腕を交差させ、急所を守りながら強引に前進し、体中血だらけになりつつも、ついに守備隊を押しのけて包囲を突破した。
「――俺だって、一人で戦ってるわけじゃないんだぜ?」
***
GM :ではこれでこちらの行動は終わり、2ラウンド目どうぞ。
〇第2ラウンド
ましろ :まぁフレアが門を開けて、皆で逃げるって手ですよね。
amida :ただこれ、リオン君が待機したら…。
GM :もう一遍攻撃食らうね、行動値0になるからね。
ニーグ :先に門に移動しておいて、開いたらすぐに逃げるってのは無理?
GM :それは不可とします。
ましろ :ローランは最悪、庇ってもらえる位置に動いた方がいいかも…?
amida :んーでも、今はまだ動くメリットはないかな、待機で。
GM :んっ?全員待機?w
ましろ :いや、フレアは動くよw
GM :チッ。
――その後、フレアは開閉器を作動させて、一足早く戦場を離脱。他の3人もそれに続いた。
守備隊は再び包囲せんと追いすがるものの、ローランとリオンはこれを回避。眷属の守りによって、イスキューロンもさしたる傷は無し。
ルークが奥の手の《瞬換の印》を使い、敵味方の位置を入れ替えるも、さしたる距離を稼ぐことは出来なかった。
GM :ま、まぁ、《瞬換の印》は悪足掻きだから(震え)。では、待機してた面々の手番です。
amida :そりゃあ全力で逃げますよw マイナーメジャーで門まで移動。
ななむ :あ、逃げるけど、その前に。
***
ローラン:「ルーク、腕を上げたじゃねぇか。だが、まだまだ詰めが甘いな。」頬の傷を拭いながら、ルークに向かって笑いかける。
ルーク :「やはり、貴方を捉えることはできませんでしたか…。」どこかほっとした表情で答えます。
ローラン:「へっ、年季が違わあ。バッシュの兄貴にも、よろしく言っといてくれ!」
リオン :「こんな所で捕まるわけにはいかないんでねっ!」
イスキュ:「ほ、次はもっとまともな飯を用意しておくんじゃぞ?」
***
GM :はい、それでは全員脱出できました。城内からは、「奴らは一旦捨て置く!城の防備を固めるのだ!」というルークの声が聞こえてきます。
ましろ :あ、最後にちょっとだけRP挟んでいい?
GM :かまわんよ。
***
フレア :「皆、ありがとう。私の為に傷ついてまで、あの人達を傷つけないでいてくれて。」門を出てすぐの所で3人を出迎え、深く頭を下げる。
ローラン:「なぁに、この程度すぐ治るさ。今の俺の主は姫さんだ、主の意向には従うよ。」軽く手を上げて答え、傷口はシュウシュウと自然治癒を始めている。
リオン :「別に、あいつらに恨みがあるわけではないからね。傷つけずに済んだならそれがいいさ。」珍しく、斜に構えていない柔らかな笑みを。
イスキュ:「ワシを信ずるものの声に応えてやったまでよ。」小さい体でふんぞり返り、カラカラと笑う。
フレア :「神様ありがとうございます!」へへー、と跪く。
***
GM :…あれ、フレアはすでに信者扱い?(汗
ましろ :そらもう、信者信者。(真顔
ニーグ :悪徳宗教に勧誘してしまったか…!
GM :ま、まぁ、実際にご利益はあるし構わないでしょう。それではこれで戦闘終了とし、次のシーンへ移ります。