第5話 PC5オープニング 「竜の継承」
――幼いころから、騎士道物語が大好きだった。
高潔で勇敢な騎士が、美しい姫に愛を誓い、邪悪な竜に立ち向かう。
何度も何度も読み返し、自分もこうあれたらと憧れ続けて来た。
ただ、一つだけ疑問を挙げるとするならば……
――別に、騎士が竜の力を持っていても構わないんじゃないだろうか?
***
GM :では次、PC5のオープニング。オドネット君ですねー。
電磁炉 :はいっ!
GM :父親のバッシュと王女のシェリーに呼び出されて、部屋に入るところからで。
ななむ :何だっけ、今のオド君の仕事は、シェリーの護衛なんだったっけ?
GM :そうそう。
ましろ :10歳にして近衛騎士……ヤバいな。
GM :あと実はオド君、この段階ではまだlv3相当です。これから他のPC達と同じlv7まで上がるってことで。……それじゃ、始めて行きまーす。
ましろ :はーい。
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オドネットが呼び出された部屋に入ると、そこには椅子に腰かけたシェリーと、杖を突いてその後ろに控える父親がいた。どちらも真剣な表情で、これから重要な話があると予想される。
居住まいを正し、小さいながらに背筋を伸ばして待つオドネットへ、シェリーがゆっくりと用件を告げた。
シェリー:「あなたにお願いがあるのです、オドネット君。フレア姉さまを、助けてあげてくれませんか?」
オドネ :「『フレア姉さま』……? あの噂の、帰って来たっていう?」
怪訝な顔で問い返すオドネットへ、小さく頷きを返すシェリー。するとオドネットはパッと表情を輝かせ、感極まった様子で声を上げた。
オドネ :「あぁ、なんということだ。まさかこの歳で、お姫様を守れることになるなんて!」
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GM :「い、一応私もお姫様なんですよ……?」と震え声でw
amida :もう守ってるんだよなぁ……w
ニーグ :というか歳も近いだろうし、フレアよりオドネットの方がシェリーにお似合いなんじゃ?
GM :ふぅん?いいよ別に、寝取っちゃってもええんやで?(ゲス顔
電磁炉 :え、えっと……。(困惑
amida :実際そもそもの話、シェリーとオドがくっつく方が展開としては王道なんだよなぁw
ましろ :君ら、ちょっと廊下に来なさい(ビキビキ
ななむ :こ、この卓の王道は百合だから(震え
ましろ :むしろこの卓のルールは俺だから!(ドヤァ
amida :駄目だこりゃ(遠い目
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シェリー:「……補佐官のデイモスは、無理難題を押し付けてくるでしょう。あなたには、姉さまがそれに立ち向かう支えになってあげて欲しいのです」
こほん、と可愛らしく咳払いをし、気を取り直して話を続けるシェリー。その横で、バッシュもまた言い添える。
バッシュ:「俺も手助けをしてやりたいところだが、この様だ。それにもういい歳だからよ、そろそろ引退して、お前に引き継がせようかと思ってな」
父の跡を継ぐ――それは即ち、父に実力を認めてもらえたということ。その嬉しさにますます笑顔になり、オドネットはビシッ!と敬礼をしてみせた。
オドネ :「任せて! フレア様は僕が守るよ!」
その様子に、バッシュもまた「よくぞ言った」と微笑みを返す。
バッシュ:「お前はまだまだ幼いが、それでも俺の息子だ、筋は良い。それどころか、俺には無いものを持っているようにさえ感じる。必ずお前は、今後のルーミルの力になれるはずだ」
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ましろ :あー。バッシュは天運持ってないんか。
GM :一応、誓いで取得できる3つは持っています。PCが初期から持ってる分は無し。
ニーグ :俺にはないもの……健康な膝?w
ななむ :ちょw 間違ってはないけどw
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バッシュ:「さぁ、受け取れ……!」
バッシュが自分の胸に手を置くと、彼の体中にあった邪紋が蠢き、一斉に胸へと動き始めた。同時に邪紋の無くなった部分から活力が失われ、筋肉が衰えて皺が出来ていく。
全ての邪紋が1点に集中した後、バッシュが手を胸から離すと……そこには淡く光を放つ、黒い水晶のような結晶体があった。
――混沌核。混沌が収束して出来るものであり、投影体や邪紋使いの力の源である。
バッシュ:「今のお前なら、これを制御できるはずだ……!」
そう言って、混沌核を差し出すバッシュ。杖に体を預け、肩で息をして、10年近く年老いたように見える。
――父の力の結晶が、ここにある。オドネットは息を呑み、震える手で混沌核を受け取ると、自分の胸へ押し当てた。
オドネット:「グッ!ぐおぉああ……!」
ドクン、と混沌核が脈動したかと思うと、オドネットの中に混沌が凄まじい勢いで流れ込み、体内で暴れ出す。気を抜けば、そのまま体を突き破ってしまいそうな勢いだ。
オドネット:「おぉおお……グォオオオ!」
余りの痛みに膝を突き、叫び声を上げながらも、オドネットは混沌を制御しようとする。無秩序に暴れようとする混沌を意志の力で抑え、一定の形へ……彼が望む、「竜」の力として全身に行き渡らせていく。
やがて叫び声が収まって、オドネットが顔を上げると……その肌には、バッシュのそれと同じ模様の、しかしより色濃くなった邪紋が刻まれていた。
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GM :混沌核は本来、他者へ譲渡できるようなものでは無いはずなんですが、ここでは同じ竜模倣者であること、かつ親子であることが作用して、問題なく譲渡出来たことにします。……テレレテッテレー!lv7になりました!
ましろ :いぇーい!(パチパチ
電磁炉 :一気に4も上がった……。
GM :本来なら、シナリオ3つ4つクリアしたぐらいの強さですね。で、オドネットへの継承が終わると、バッシュが改めて話しかけて来ます。
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バッシュ:「その力で、姫様を守ってやってくれ。今のお前なら、十分にこなせる筈だ」
継承が無事終わったことを見届けて、にかっと笑うバッシュ。老け込もうとも、その笑みの豪気さは変わらない。
この父に、託されたのだ。そう思うと誇らしさのあまり、オドネットは顔がにやけるのを抑えられなかった。
オドネ :「いやぁ、そこまで父さんに褒められると照れるなぁ! 大丈夫、僕に任せておいて!」
***
ましろ :いやぁ純朴だなぁ……。昼行燈の姫様とは訳が違うわw
ニーグ :この卓にはない存在ではあるなぁ。
ななむ :一時期僕も純朴だったけど、今はもう見る影もないしな。
ましろ :……あったっけ?(真顔
GM :カスみたいな残滓くらいはあったけど、シリアルに掻き消されたな(白目
ななむ :ひでぇ!?(涙目
GM :……はい、これで全員のオープニングが終了。次からミドルですねー。