第66話 れんれんと屋上だよ!
屋上。
風が、抜ける。
さら、さら。
紙をなぞる音。
「……」
止まらない。
「…………」
まだ、
描く。
「………………」
「あ?小春じゃねぇか」
「れんれん、ふふ。れんれん、今日も屋上にいたんだ」
「おう、ここが俺のテリトリーだからよ」
「屋上誰も来ないもんね、いいところなのになー」
「俺は来ない方が嬉しいけどな」
「それに小春と2人でいれるしよ」
「うん、そうだね。一緒にいる」
「おう、何があっても側にいるぜ」
「うん、側にいる」
並ぶ。
何も言わない。
ただ、
近い。
⸻
「小春」
「なに?」
「何があってもいるからな」
「……」
風が、通る。
「…………うん」
「わかってるならいいわ」
「……」
⸻
指先が、
髪に触れる。
やわらかい。
(何があっても)
(どんなふうに変わっても)
(そのままのお前を愛するから)
(ぶつけてこなくてもいい)
(受け止めるから)
(俺が支えになるから)
(愛してる)
(お前が俺を愛していなくても)
(お前が幸せならいいんだ)
(もっと幸せにしてやりてー)
そっと、
すくう。
軽く、
触れる。
すぐに、
戻す。
小春は、
何も言わない。
描き続ける。
⸻
「……れんれん」
「ん?」
「ありがと」
「なんだよ?なんの礼?」
「側にいてくれるから」
「そりゃ、礼には及ばないな」
「ふふ、そっか」
「小春」
「なに?」
「……なんでもねぇ」
ぽん。
頭に触れる。
離す。
何も聞かない。
何も言わない。
⸻
(何も聞かないから)
(幸せにするから)
(そのままの君を)
(守らせてくれ)
⸻
風が、
少しだけ、
やわらかい。
隣にいるだけで、
崩れたままでも、
いいと思えた。
貴重なお時間ありがとうございました!




