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プロローグ 入学式だったよ!

第0話 プロローグ 入学式だったよ!


朝の光が差し込む。


鏡の前で、小春は制服のリボンを整えていた。


まだ少しだけ着慣れないブレザー。

でも、鏡の中の自分は思ったよりちゃんと「高校生」に見える。


背後では、朝陽が櫛を手に準備万端といった様子で立っていた。


背が高く、少しだけ不良っぽく見えるのに、表情はとても優しい。


「小春、髪型いつものでいいか?」


「うん!ポニーテールがいい!」


「了解!お兄ちゃんに任せとけ」


「任せまーす」


櫛が黒髪を通る。


さらりと揺れる髪を整えながら、朝陽がしみじみと呟いた。


「小春も高校生かー」


「何それ!お父さんみたい」


「お父さんはないだろ!!」


「冗談冗談!」


「まあ、いいけど」


少しだけ嬉しそうなのが、鏡越しでも分かる。


「小春は可愛いからな、変な男に気をつけろよ」


「そんな人いないよー。心配しすぎ!」


「いや、何があるかわからないだろ?」


「入学式だぞ?小春を一目見ただけで男子どもがバタバタ倒れていくの、容易に想像つくね」


「そんな事なるの、お兄ちゃんだけだよ」


「むしろ、俺以外許さないけど?」


「あはは、お兄ちゃん重たーい」


「何かあったら連絡しろよ?同じ高校だから駆けつけられるからな!」


「もう、大丈夫だよー!」


最後に形を整えて、朝陽が満足そうにうなずく。


「よし、できたぞ!どう?」


小春は鏡の前でくるっと一回転する。


黒髪のポニーテールがふわりと揺れる。

お日様みたいな笑顔が、鏡の中でぱっと広がった。


「わあ!お兄ちゃんありがとう!大好き!」


「俺も」


机の上に置いてあった星の髪飾りを手に取る。


「えへ、あとはこれ!」


ポニーテールの結び目に、星がひとつ。


きらりと揺れた。


「それ、まだ大事にしてたんだな」


「もっちろん!お兄ちゃんからのプレゼント!」


もう一度くるっと回る。


「どうかな?似合ってる?可愛い?」


朝陽の動きがぴたりと止まる。


「……」


「世界一可愛い」


「えへへ、ありがとお兄ちゃん!」


朝陽は少しだけ照れたように視線をそらした。


「入学式、一緒に行こうか?」


「あっ、玲奈ちゃんと行くからいいよ」


「え!?俺とは!?」


「お兄ちゃんは悠真君といけばいいんじゃない?」


「そんなー」


玄関の方から元気な声が聞こえてくる。


「こはちゃーん!おはよう!!」


「あっ、玲奈ちゃん!」


ぱっと表情が明るくなる。


おさげの髪を揺らした女の子が、にこっと笑った。

少し大人っぽい雰囲気なのに、とても話しやすそうな子だった。


「じゃあ、お兄ちゃん!行ってきます!」


「朝陽兄、またねー」


「はいはい、いってらっしゃーい」


扉が閉まる。


静かになった部屋で、朝陽は小さく息をついた。


「……ほんと、仲良いよな」


「玲奈ちゃんがいてくれてよかった」


しみじみと呟く姿は、もはや完全に保護者だった。



入学式は、思っていたよりも長かった。


校長先生の話は途中からほとんど頭に入ってこなかったけど、


「高校生になったんだな」


という実感だけは、じんわり残っている。


教室に入り、それぞれが席に着く。


担任の先生が来るまでの、少しだけ落ち着かない時間。


小春は後ろを振り向き、小さく息をついた。


「うひー、校長先生の話長かったねー」


「ほんとほんと!なんであんなに長いのかなー?」


「あれだよあれ!体裁を保つ!!」


「うわー、ヤダヤダ。聞かされてる身にもなってほしいわ」


「あはは、そうだねー」


その時、後ろから元気な声が飛んできた。


「なーなー!」


「なーに?」


「俺の名前は成瀬陽向!」


「名前なんて言うのー?」


「水瀬小春だよ!よろしくね」


「高梨玲奈、よろしく」


「二人とも可愛い名前ー!」


「んじゃ、こはたんとれいれいだな!」


ふわっとした明るい茶色の髪を揺らしながら、

人懐っこい笑顔を向けてくる男の子だった。


「よろしくー」


「こはたん?」


「うん、こはたん!」


「じゃあ!陽向だからひーくん!」


「へ?」


「めっちゃいいじゃん!!」


「やったー!よろしくね、ひーくん」


「おっし!よろしく、こはたん」


玲奈が小さく目を細める。


(この二人の距離感、何?)

(絶対面白いじゃん!!)


「ひーくん面白い人だねー」


「そうね、でも悪い奴じゃなさそう」


「だよねだよね!!仲良くなれるといいなー」


「いや、だいぶ仲良さげに見えたけど?」


「そうかな?」


「よーし!目指せ友達100人!!」


「ふふ、こはちゃんならできちゃいそう」


「えへへ」


すると陽向はすぐに別の人へロックオンした。


「おっすー!なーなー名前なんて言うのー?」


「え、いきなり何?」


「名前だよ名前!俺は成瀬陽向!」


「……石田恒一」


きっちり整えられた黒髪に、落ち着いた雰囲気。

真面目そうで、いかにも常識人といった印象の男子だった。


「んじゃ、こうな!」


「いや、恒一なんだけど」


「いいじゃん!硬いこと言うなよ!」


「こう!よろしく!」


「いや待て!許可した覚えないぞ」


「あっ!ねーねー、君の名前はー?」


「人の話聞かない系ね、はいはい」


教室の空気が、少しだけ柔らかくなる。


そして。


教室の扉が勢いよく開いた。


「はーい!みんな席に着いた着いた!」


教壇の前に立った女性が、にこっと笑う。


「みんなのクラスの担任になった、藤沢真琴よ!」


「絶賛彼氏募集中!よろしくねー」


一瞬、教室が静まり返る。


そして次の瞬間、ざわっと空気が揺れた。


くすっと笑う声。

驚いた顔。


さっきまでの緊張が、少しだけほどけていく。


どうやら、なかなか賑やかな一年になりそうだ。


窓の外では、春の光がやわらかく揺れている。


まだ始まったばかりだけど。


きっと、楽しくなる。


そんな予感がした。


そう思った、こはちゃんだった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

初投稿なのでとても緊張しています…!

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

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