入城
「「「お帰りなさいませ!」」」
城へ戻ると兵士やメイド達が口々に挨拶をしてくれる。
「・・・・・・」
その様子を見ながらダンは口を開けながら呆然とした様子で歩いていた。
向こう側からよく知る大柄な男が歩いてきた。
「パパ!」
「クラマ様!フレデリカも帰って来たのか!試験はどうだった?」
「リカ頑張ったんだから!」
「そうか!よくやったな!・・・んっ?そこの坊主は誰なんだ?」
「あ、あ、あ、あのぼぼぼぼぼぼぼぼくは!」
ダンは緊張しているせいか上手く答えられず代わりにクラマが答えた。
「ガイル、彼はダンっていうんだ。試験で友達になったんだけど泊まるとこが無くてね。可哀想だから泊めてあげれないかと思ってね。」
「そうか、兵士の宿舎もあるしクラマ様の友達なら貴賓室も空いているから使えばいいと思うが・・・」
ガイルは少し言い濁した。
「大丈夫、お父様には俺の方から伝えるから執務室かな?」
「そうだと思うが、俺も用事があるから一緒に行こうか。」
「すまないねガイル。」
「ハッハッハ!何を畏まってるんだクラマ様!」
「クッ、クラマ・・・様こちらはまさか『英雄』のガイル様ですか?」
「ダン、止めてくれよそんな口調。さっき通りで構わないんだから。」
「で、ですが王子で・・・」
「良いんだって。俺はそんなこと全く気にしないから。」
「あぁ、分かったよ。それでこちらはガイル様なのか?」
「そうだけどなんだよ『英雄』って、そんな呼ばれかたしてるのかガイルは。」
「ガイル様は国民からは凄い憧れているんだぞ!俺だっていつかはガイル様のように国のために働きたいと思っているんだ!」
「ハッハッハ、よしてくれ恥ずかしいだろ!」
「パパにいつも勝ってるリカはもっと強いんだからね!」
そんな話をしていたら執務室に着いていた。
「じゃあ、ちょっと行ってくるから待っててくれよ。」
コンコン
「お父様。クラマです只今戻りました。お話しがあるのですが入ってもよろしいですか?」
「入れ。」
「失礼します。」
ガチャ。
「おぉ、クラマ良く戻った!試験はどうであった?」
「まぁ、ぼちぼちかな・・・」
クラマは頬をかきながなら答えた。
「そうか、それで話と言うのは何だろうか?」
「そうだった。ちょっと俺の友達を城に泊めて欲しいんだ。」
「ガイルの娘ではなくてか?」
「あぁ、試験の時に友達になったんだけど親父良いかな?」
「クラマに友達・・・・」
「だめ・・・かな?」
ルドルフは黙り唸っていた。
すると突然立ち上がり使用人を呼ぶためのベルを鳴らした。
チリンチリン!
「陛下!お呼びでしょうか!」
呼ばれたメイドはいつの間にか側に立っていた。
「宴だ!宴の準備をせい!」
「はっ!!!」
メイドは音もなく立ち去っていった。
「親父ありがとう。」
「私はまだ執務が残っているから会えないが、後で是非とも会わしてくれないか?」
「もちろんだよ。」
クラマは笑顔で答えた。
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