修行初日
「んんっ・・・・・」
クラマはネリベルに任され家の掃除をしていた。
あまりにも凄い汚さで掃除は深夜までかかり、疲れ切ったクラマは気が付いたら床に寝ていた。
「朝か・・・・・っておい!」
辺りを見渡すと昨日散々掃除したはずなのにテーブルには酒瓶が並んでいて思わずつっこんでしまった。
ネリベルは俺が掃除をしている間酒を飲んでいた。
掃除の指示をしていただけで作業したのは全部俺なのに、気付いたらネリベルは寝ていた。
なのにまたここまで汚くなっているのはネリベルが夜中に起きて酒盛りでも開いたんだろう。
「はぁ・・・掃除終わったら起こすか・・・」
クラマはテーブルの上を片付け、昨日ネリベルが朝になったら起こしてくれと言われていたのでネリベルの部屋に向かった。
トントン
トントントントン
「師匠!師匠!おはようございます!朝です!・・・まだ寝てるのかな?」
トントントントントントン
「師匠!入りますよ!いいですか!?」
ネリベルからの返事はなくしょうがなく入るとネリベルはまだ寝ていた。
さすがに昨日掃除したばっかりで汚くはなっていなかったが、ベットの周りには昨日着ていた衣服は脱ぎ散らかしてあった。
「師匠!起きてください!師匠!」
「んんっ・・・」
ネリベルは艶めかしい声を出し、一瞬目が開いた。
「おはようございます師匠!」
「黙れ、まだ寝かせろ。」
「・・・・・・・・・」
クラマはあまりの凄みで言われ何も言えず部屋を出ていった。
今日から修行が始まると思っていたのに肩透かしを食らったので暇潰しに家の周りの草むしりをしにいった。
お昼が過ぎて家の周りの雑草が無くなってきた頃ネリベルが起きてきた。
「坊や、起こして言ったじゃない。」
「師匠がまだ寝かせろって言うから寝かしたんじゃないですか!て言うか服を着てください!」
「もう、服なんて良いじゃないの。口うるさいところリリスに似てるわね坊や。そんな事よりも私お腹空いたわ。」
「僕もお腹空いたんですけど、食材が何処にあるのか分からなくて・・・」
「あら、昨日言うの忘れたかしらね。貯蔵庫を教えるから来なさい坊や。」
「はい!それよりも師匠、先に服を来てくれませんか?」
「しょうがないわね分かったわよ。」
朝から眼福だがちょっとね・・・?
「これが、そうよ。って言うかマジックボックスって見たことないかしら?」
そこにあったのはへんてつもなく、おしゃれな装飾などもないただの箱だった。
「王宮にそう言うものは無かったです。」
「それもそうね。みんなメイドとかが持ってきてくれるし調理場とかにしかないでしょうからねマジックボックスわ。マジックボックスは生きている物以外なら明け口から入れば何でも入るわ。ちなみに無理矢理自分が入ろうとしちゃダメよ?もう出てこれなくなっちゃうわよ。」
「凄いですね!」
「マジックボックスはタイプによって容量は決まっているけど、このマジックボックスはランク5の珍しいマジックボックスで容量は凄く一杯入るの。でも今はそんな事どうでもいいから早くご飯作って頂戴、お腹減ったのよ。」
「わ、わかりました!」
クラマはマジックボックスに手を入れると頭の中にマジックボックスに入っている物の情報が入ってくる。
(現世より画期的だぞこれ!凄いなこれ!)
何回も手を出し入れし遊んでいたら、後ろから頭を小突かれた。
「は・や・く、して頂戴ね。」
「今すぐ!」
微笑んでいるがネリベルの目は全く笑っていなかった。
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