力試し
「坊や!美味しいわ!坊やを弟子にして正解だったわ!」
「あ、ありがとうございます。」
その為に弟子にしてもらった訳ではないが、自分が作った物を誉められるのは嬉しい。
「それにしても坊やは料理が上手ね。王子様が料理なんてやってたのかしら?リリスなんか料理はめっぽうダメだったはずだけど。」
(一人暮らしが長かったからかな・・・ある程度は出来てしまう悲しさだよな。)
クラマは親元を離れたのが早かったからなのか料理、洗濯、掃除がある程度出来てしまう。
一人暮らし特有の技がここに来てまで生かされるなんて思ってもみなかった。
「坊や、このあと修行を始めるけど一つ聞いておきたいんだけど。」
「なんですか?」
「坊やは何で強くなりたいのかしら?坊やは戦わなくてもいい存在のはずよ。それにも関わらず私のところに来たのは何でかしら?」
「それは・・・僕が王子としては働いていく自信がないからだと思います。だから王子としてではなくただのクラマとして生きていくための力」
クラマは一呼吸おき。
誘拐されたときにカレンを守れずに悔しかった事を思い出し、吐き出すように。
「そして誰かを守れる力が欲しいんです。」
「そう・・・いいわ、取り合えず鍛えてあげるわ。」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、表に出なさい。早速始めるわよ。」
「はい!」
「いいわよ、何を使ってもいいから何処からでも掛かってきなさい。」
ネリベルはノーガードで優雅に佇んでいるがその姿は凛とした様子で何処に攻撃しても効かなそうな雰囲気だ。
「じゃあ、師匠行きます!!!」
クラマは剣を携え向かっていく。
フェイントを入れながら撹乱しようとする。
だがネリベルは見向きもせず欠伸をしている。
「ふわぁ・・・どうしたの?早くいらっしゃい?」
その様子にクラマはカチンときたのか大きくジャンプしネリベルに向け飛びかかった。
「おりゃああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
「フフッ、若いわねぇ。氷障壁。」
キィン!!!
「くっ!まだまだぁ!」
クラマはネリベルに何とか一打を当てようと連続で剣を振り続ける。
しかし、優雅に交わし続けるネリベルには一振も当たる感じがない。
「坊や、その程度なの?」
「まだです!」
クラマは距離を少し離し、魔法を放った。
「火散弾!!!」
「クスクス、氷散弾。」
お互いの魔法がぶつかり合った瞬間に魔法が四散した。
その現象を見た呆然としている俺に微笑みながらネリベルが答えを言ってくれた。
「フフフ、魔法をぶつけ合って同じ威力、同じ魔力量でぶつけ合うと起こる現象よ。まさかもう手が無いわけじゃ無いわよね?」
「勿論です!」
クラマは腕を噛みちぎり、血がポタポタと垂れはじめた。
「血技!!!『剣』!!!」
「それじゃあ、さっきと変わらないんじゃないの?」
「どうですかね。いきますよぉ!」
クラマはネリベルの間合いへと飛び込んでいった。
「やっぱり一緒じゃない。氷障壁。」
「さっきとは違いますよ!『鞭』!!!」
血で出来た剣が突然曲がり、氷障壁を避けネリベルに向かっていく。
だがネリベルは紙一重で避けられたようで、服に少し切れ目が入った程度だった。
「フフッ、惜しかったわね危なかったわ。それにしても、その魔法面白いわね。」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ、折角だから私もちょっと坊やに力を見せてあげようかしら。」
ネリベルがそう言った瞬間周りの温度が急激下がっていく。
その急激な温度の変化に異常を感じたクラマは焦りだした。
「ちょ、ちょっと待って下さい!師匠!?ししょうぉぉぉ!!!」
「凍獄監獄」
みるみるうちに冷気はクラマを覆っていく。
「ししょう!し、しょう・・・し・・・・しょう・・・・しょ・・・し・・・」
「ふぅ、どう坊や?なかなかでしょ?ってあれ坊やどうしたの?」
クラマは氷の彫刻のようになり固まっていた。
「ちょっと、やり過ぎちゃったわね。」
ネリベルはクラマの彫刻を見て可愛らしく舌を出して笑っていた。
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