2.幼さを武器に
スージー・ド・オートクローク5歳。
彼女は5年間、隙さえあれば、ひたすら勉強をして、そして睡眠を取った。
ついでに、夫人にねだってピアノを買ってもらい、家庭教師に習った。
別に強制されたという訳ではない。
なんなら公爵夫妻は5歳でこんなことをやってる娘に若干引いている。
「スージーちゃん…おやつよ〜…」
公爵夫人がそう囁いてスージーの部屋に入ると、ちょうど彼女は睡眠を取っていた。
…机で。
なので夫人はお菓子を机に置き、スージーをベッドに寝かせようと彼女に触れた。
ビクッ
「……母上?」
灰色の目がだんだん青く染まる。
「…あ、ごめんね…起こしちゃったみたい」
「いえ…いえいえ!私の方こそ申し訳ないです。本当ならこの時間は勉強に…本当ダメですね。私」
5歳とは思えない物言いでスージーは苦笑した。
「そんなことは!スージーは頑張ってるわよ!」
夫人はスージーを優しく撫でた。
まぁ、どれもこれも理由があってやっているのだけど。
スージーには一つの確信があった。
5歳までに勉強と睡眠の癖を付け、脳の構造として受け入れればかなり有利になる…と。
彼女は前世でそれなりに家庭科の授業を聞いていたタチなので、その時習った『5歳までに脳の構造が80%くらい決まる』という話を信じて勉強していたのである。
…まぁ、睡眠の方に関しては完全に私見で、『天才は大体子供の頃、たくさん寝ている』という偏見によるものである。
結果的に記憶力の増進に繋がっているのだが。
スージー・ド・オートクローク6歳。
ここから彼女の生活は大きく変わった。
積極的に公爵夫妻に『周りの貴族令嬢、或いは子息と遊びたい』と言い出したのである。
まるで中身がガラッと変わったかのように積極的に外に出るようになり、家で筋トレなんかも始め、食事を管理し始めた。
彼女は同年代の子供とたくさん遊んだ。
意外なことに、年相応の遊びである。
人形遊びやボール遊び、鬼ごっこや隠れんぼ…或いはピアノのデュオ。
彼女は相手によって遊びを臨機応変に変えた。
公爵夫妻はそのことを晩酌の際、語り合った。
『もしかすると、今までのは割と幻だったのかも?』と。
ただ、決してそんなことはなかった。
察しの通り『相手に合わせている』だけである。
彼女は『安定的な生活』を得るために、幼い頃から目的意識が明確にあるというアドバンテージを自己投資と友達作りに全ベットした。
幼い相手から見れば『頭が良いのに優しく接してくれて、趣味が同じ』と見られるだろう。
彼女はまさにそれを狙っていた。
転生キャラってなんか…理由なき強さとか知識とかが多い気がします。
…今回のは…うちの子はこういう理由で頭良いんですよーという感じの回ということで。




