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立ち上がって進もうとした時、闇を切り裂くような悲鳴が聞こえた。

な、何?

手に持っていた鞄を思わず抱きしめてしまった。

悲鳴の聞こえたのは私からすれば、後方で、鬱蒼とした森が見えてたはず。

でもって、あそこに入るのはよそうと思っていたところだった。

思わず振り向いてしまった。

(げっ!)

大きな音を立てて、森の木が宙を舞うように弾き飛ばされて、一歩後ろに下がる。

足の裏に感じていた痛みも忘れてしまうほどの恐怖が私に忍び寄っていた。

絶大な力によって弾き飛ばされた木が私の直ぐ近くに落ちて、またそれが恐怖を引き寄せる。

何が起こっているのかと目を凝らした私が見たのは、大きな翼を広げ、苦しげな咆哮を上げるドラゴンだった。


うん、あれは、ドラゴンでいいんだよね?

ファンタジーモノの映画や、漫画、ゲームでしか見たことのないドラゴン。

闇に溶ける様な真っ黒な鱗が、月の光でキラキラと光ってはいるけど、その声や動作は彼の苦しみを表しているようだった。

ドラゴンの周りを人が囲んでいる。

う、浮かんでいる。

彼らは、ドラゴンを攻撃しているように見えた。

この世界でのドラゴンは、狩られる立場にあるらしい。

巻き込まれては大変だ。

私は、何処か隠れる場所はないかと視線をめぐらした。

『やめて!』

えっ?

『どうして、攻撃するの!!』

何処からか聞こえてきた子供の声。

頭に響くような声だった。

何処?

私は、先程とは違う目的で周囲に目をやる。

『やめて!痛いよっ!ママっ!』

ど、何処っ!!

焦った私に届いたもう一つの声。

「もう一息だっ!」

「ドラゴンを使役できるぞっ!」

それは、ドラゴンを攻撃している人達からの声に違いなかった。

もしかして、この子供の声は・・・あのでっかいドラゴン?

そんなことを思っていたら、その闇の中にいるドラゴンの金色の目と合った気がした。

「えっ!」

ドラゴンが私の方へ森を木を蹴散らし飛んできた。

ちょ、ちょ、ちょっと!!

こっち来ないでよー!

そう思って思わず目を閉じた私の身体に飛び込んできた塊。

私は、押させるように後ろへと倒れた。



つづく

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