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『あかちゅき!あっち!』
ポケットの中でクロが叫ぶ。
ドラゴン同士鼻がきくのだろうか。
『この香り・・・赤のヤツ、ドヂったみたい。』
私の鼻腔では嗅げない匂い。
ドラゴンだけに聞く香料と言うものがあるらしい。
主に本命主に出会えていないドラゴンの子供に有効だと言う。
「それを嗅ぐとどうなるの?」
『意識が変になって、操り人形みたいになるんだよ。』
ヤ、ヤバイっ!
『心に隙があると仮の主がいても揺らいじゃうんだ。』
ごついなりして、案外ヘタレなドラゴンの内情に呆れつつ私は急いだ。
賑やかな通りを過ぎて路地に入った私は、ぐったりと横たわる赤ドラちゃんと二人の男。
「何やってんのっ!あんた達!」
指差して叫ぶ。
男の一人が赤ドラちゃんの尾っぽに触れてたからだ。
手に持っているのは、注射器のようなもの。
男は私の声に一瞬驚いたけど、動作を止めない。
もう一人の男は前に出てくる。
「赤!目覚めなさいっ!」
私の声に赤ドラちゃんが反応。
身動ぎして尾っぽが男の手から逃れた。
舌打ちした男の手が再び尾っぽを追いかける。
「黒銀っ!」
ポケットに入っていたクロが飛び出て、瞬時に私位の大きさになった。
「うわっ!」
私に向かっていた男は急に現れたクロに驚き、尻餅を付いた。
クロは、赤を拘束しようとする男に向かって黒い炎を吐き出す。
「闇のドラゴンっ!」
驚愕の声が飛ぶ。
私は、意識がクロに向いている男達を視界に入れると、目の前の尻餅をついている男の顔面を蹴り上げた。
んー、前の世界では考えられないほどアクティブな私。
変な世界にきたこともあるんだろうけど、若返った見た目のせいもあるんだろうけど、体が軽いんだよね。
もちろん、男は後ろに倒れた。その隙に赤の元へ。
クロの炎を浴びた男も後ろにぶっ飛んでいた。
「赤っ!」
駆け寄り、赤に触れる。
赤は少し朦朧としていたけど、確かに私を見て、ウルウルとした目に一杯涙を貯めていた。
私は立ち上がり、倒れ、クロに下敷きになった男を見下ろした。
「お前っ、女の子泣かして嬉しいかぁ?」
自分でも感情が怒りに震えているのが分かる声だった。
つづく




