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「疲れた・・・。」

一人マンションのドアを開ける。

コンビニで買ったビールとツマミの入った袋を床に置いたら、思った以上に音が響いた。

疲れた身体を休めるために湯船に湯をためる。

スイッチ一つで溜まるシステムは有難いよね~。


「あれ?りう?何処行ったの?帰ったよ。」

声を出して同居人を呼ぶ。


専門学校を卒業して、独学で色々学んで、自分なりに知識を深めて、8年前に独立した個人経営のエステサロン。

有名エステサロンから、独立した私を支えてくれたお客様には、ホント頭が下がる。

彼女達が、口コミで私の技術やそれに齎された結果を広めてくれたから、2年先まで予約は詰まっている。

とても・・・幸せ。

なのに、たった一人で帰りついたマンションに一歩足を踏み入れてしまったら、充実しているはずの生活がとても悲しいものだと思えてくる。

何年、恋人がいない?

ふとそんなことを思って自嘲する。

「りゅう・・・。」

可愛い啼き声がして視線を下に降ろすと、そこにいたのは、黒猫のりう。

黒猫なのに、青と黄色のオッドアイをしている可愛い子ちゃん。

啼き声もちょっと変だけど。

その声から、りうって名前を付けたんだ。

可愛いから許す。

いや、雄だから、イケメンくんか?

数日前の雨の日に行き倒れていたんだよね、君は。

ゴロゴロと鳴る喉。

そうか、そうか。

気持ちいいか。

つくづく、ペット可の物件でよかったと思うわ。

「いまさら・・・、この年で彼氏なんてね~。」

そう呟いて、荷物をソファに、ビールとツマミをテーブルに置く。

ふと見上げた時計が指す時間を目にしてため息を吐く。

20時まで、あと30分。

この後、風呂に入って、それから一杯なんて・・・カロリー考えるとダメだな。

一応、カロリーオフのビールですが、ツマミがね・・・。

エステ経営している私が太ってたら、説得力ないよねっていうのは、この仕事をすると決めた時から思っていたこと。

明日は休みだからなんて、油断してゴールデンタイムに入った体に高カロリーを注ぎ込むわけには行かない。

けど、お腹は空いていることをさっきからアピールしてくるし。

「どうすんべ?」

太りやすい体質の私の過去を振り返る。

「止めるべ。」

変な所で頑固な私は、結局ビールとツマミを冷蔵庫に投げ入れた。

冷蔵庫の中にあるのは、その存在感を前面に押しているような巨大なゼロカロリーゼリー。

うん、喉越しいいし、今日の晩飯はこれだな。

『腹持ち最高!』

ゼリーの蓋に書かれている言葉。

よし、君を信じよう!!

聞きなれたメロディが鳴った。



つづく

6/21 誤字修正

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