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煌々恋夜~雹国恋記~  作者: 月倉 柚凪
第一夜:夜露に開く花
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❖杏家と奏家

 杏貴妃様は、皇帝の後宮にたった2歳ででお入りになられた杏家のご息女であり、皇帝から最も寵愛を受けている方だ。

 その貴妃様に好かれようと、どれほどの家の者が頭を垂れたのかあの不届き者は理解しているのだろうか。


 この当代の皇帝の御代において、貴妃に逆らい、仇なすものは、例えどんな身分の家の人間であろうとも許されない。


 それを知らない筈がないのに、あの少女は貴妃に逆らった上に、意図的に言葉を撥ね退けた。

 普通ならばその場で処刑されるべき非礼であるべきにも関らず。


「泣くな、鈴霙。きっとその内、再びお前に笑いかけてくれるさ。」


「でも、ちぃ姉様いったもん。りんのコトなんて知らないって。りん、ちぃ姉様に嫌われちゃったんだ。」


 4歳になられたばかりの貴妃様は、陛下以外の方に心を開こうとはなさらない。ご実家から着いて来られた侍女にさえ心を開こうとしないとか。

 そのせいか最近、侍女の質が落ちたと街で噂されているらしい。


 あぁ、そう言えばその件で私は陛下に尋ねる事があったのだったと、陛下に対して用事を思い出した時、私は自分の耳を疑ってしまう様な言葉を聞いてしまった。


「そなたが望めば、そなたのちぃ姉様をそなたの側に呼び寄せる事が叶うぞ?奏家は杏家の命令に逆らえないからな」


 普段陛下は貴妃様を御名で呼ぶ。しかし、皇帝の貴妃として扱う時には名を呼ばずに御位で呼ぶか、それに準ずる言葉で呼びかける。


 それは当然のコトだから驚く事でもなかったのだが。

 では私が驚いた事とは何か。

 それは・・・。


「やっっっ、これいじょうはイヤっっ!!」


 ――杏家がちぃ姉様に関る事だけはイヤ!!


 杏家と奏家は比べ物にならないほど家格が異なる。更に位が上の家は、言葉は悪いが下級官吏の家と付き合う事すらしないのだ。

 それなのに、皇帝の妹があの男に嫁いでいるだけで、関り合うのだろうか。


 れい 伊夙いすく、28歳。


 この時の私は何も知らない無知な人間だった。 


  

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