@5…貴方はまだ、お呼びでない
ついに彼女が登場します!
2011,7/1,一部修正しました。
目指すのは白玉楼。
そこに行けば、霊夢が居るかもしれない。
俺は魔理沙と別れ、白玉楼を目指す事にした。
途中、道行く人や妖怪に冥界への道を聞き、なんとか冥界の入口に着いた。
…冥界へは関所で隔たれており、固く閉ざされた門の前には門番だろうか、2人立っている。
事情を話して、通して貰いたいところだ。
「待たれよ。此処からは許可なしでは通行出来ぬ。許可はあるか?」
目前に鉄製の槍が交差される。無理矢理には通れなさそうだ。
「冥界に…俺の友達がさらわれたんだ、頼む…通してくれ!」
「それは聞き流せないな…その友達というのは誰の事だ?」
「博麗霊夢だ!」
「「!!」」
門番の2人は「少し待っててくれ」と言ったっきり姿を消してしまった。
暫くして、先程の門番が戻ってきた。
「…君の言っている事は本当みたいだな…冥界に彼女は居るのか?」
「あくまで可能性ですが…それでも、少しでも可能性があるなら確かめたいんです。」
門番は悩んだような様子で、少し黙り…こう返した。
「…解った、通そう!…友達を大切にな!」
「ありがとうございます!」
冥界への扉が開かれた。
-???視点-
「幽々子様…」
「解ってるわ、誰か来たわね。」
この感じ…きっと例の彼だわ。
「どうなされますか?」
「…最初はごまかしなさい。それでもしつこいようだったら斬って構わないわ。」
…ただ、彼はこんな事では止まらないだろうけど。
「かしこまりました。」
…どう転んでも、彼は間違いなく私のもとにたどり着く。
その時が、山場ね。
-レナ視点-
「何処だ…!?白玉楼は…!?」
冥界に入ったのは良いが、肝心の白玉楼の場所が解らない。
そもそもどんな建物なんだ…?
「こっちよ。」
「お、そっちか!サンキュー!…ってうぉっ!!」
なんか飛んで来た!
「…教えてくれたわりには結構冷たい事やるじゃん…!」
地面のヒビのような斬り傷を一瞬見てから、俺は声の主を見た。
白いおかっぱに近いような感じのヘアスタイル。
頭には黒いカチューシャ、緑と白の洋服。
腰には2本の長さが違う刀が。
「…外しましたか。惜しいですね。」
「…どういうつもりか、話して貰おうか。」
考えられるのは一つ…!
彼女は…!!
「幽々子様の命を狙う不届き者は、この魂魄妖夢が斬る!」
刀を構える少女。
やはり西行寺幽々子の手先か!
「っ!」
何だ…!?
服が…切れた!?
「…貴方が幽々子様の敵なら、私は幽々子様をお守りする身…貴方には此処で…死んで貰います!」
少女から何かが見え…
俺の身体が…
縦に…
割れた。
「…貴方はまだ、お呼びでない。」
「へぇー。」
「!?」
初めて少女に焦りが見えた。
そりゃそうだ、身体真っ二つになっといてすぐに再生だからなぁ。
「な、何のはったりだ!」
やっぱりと言うべきか、相手…妖夢は焦っているようだ。
「何のはったりと言われてもなぁ…君が剣を高速で振れるように、俺は身体の傷がすぐに治る。それだけだ。」
「!?だけどっ!」
彼女がやることは一つ。
再生出来ないように身体を斬り刻む事だろう。
解っているから、俺はこうする!
「なっ…!?」
刀を…
わざと俺の身体に刺す!
そうすれば刀を動かす事も出来ない!
「先人はこう言った…『肉を斬らせて骨を断つ』ってな!」
右手に力を溜める!!
「霊掌っ!!」
彼女の身体にぶつける!!
「ぐぅっ!」
彼女は苦悶の表情を浮かべる…こんな事したくはないが…霊夢を助ける為だ、許せ!
「…俺はあくまで博麗霊夢を探しているだけだ…!居場所さえ解れば西行寺幽々子には手を出さない…!」
「…信じられない!私は幽々子様を守らなくてはならない…!此処で負ける訳には…!」
相手は必死に抵抗するが、刀は俺の身体から抜けない。
血が滴るが…問題はない!
「俺だって…友達を助けたい!だから、こんな所で止まる訳にはいかない!!砲符『リヴァイバル』!!」
ビームで追撃!
彼女は刀を手放し、もう一本の刀を握る。
「ま、まだよ…!獄神剣『業風神閃斬』!!」
もう一本の刀がある事は確認済みだ!
刀を掴み、剣を封じる!
「くっ…!」
止めを…加える!
「砲符『エキセントリックバルカン』!!」
勝負が、決した。
「美鈴、彼女を頼む!俺は西行寺幽々子の所に行く!」
「え!?あ、玲奈さん!?」
彼女の事を美鈴に任せ、俺は先を急ぐ。
…待ってろ霊夢、今行くからな!
-霊夢視点-
「あ…貴女は…!?」
私の目の前に立っているのは…!
「始めまして…でいいかしら?私は八雲紫…名前さえ聞けば何者かくらいは解るわね?」
八雲紫。
幻想郷を幻想郷として成立させた伝説の妖怪。
そして…幻想郷に住む者なら名を知らない者はいない、有力者。
「…幻想郷の母と言われる貴女が、何故私なんかをさらったの?」
力はあるのに…こんな事をしなくても、目的は達成出来そうなのに…何故?
すると紫は扇子を取り出し、唇を隠しながらこう答えた。
「貴女はあくまで餌よ…彼を釣り上げるための、ね。」
「彼…?まさか、レナの事!?」
「ご名答〜♪そうよ、私は彩埼玲奈に用があるの。彼がどこまで成長したか、幻想郷に誘ったこの私が直々に試そうかと思ってね。」
ふふふ…と紫は笑う。
「貴女が…レナを幻想郷に送ったのね。」
「そうよ。それで、貴女は何をするつもり?此処からは出られないわ…私の結界の前では無駄よ。」
「やってみないと解らないじゃない!霊符『夢想封印』!」
しかし、弾は見えない壁に弾かれてしまった。
「だから言ったのよ…無駄だって。貴女を殺すつもりなんて更々ないから、素直に待ちなさい。」
「…」
…レナ、ごめんなさい。
私には…何も出来ない。
…貴方に…全てを任せるしかないわ…!
次回予告
「@6…幽雅に咲かせ、墨染の桜【前編】」
幽々子登場!
彼女の能力に、レナはどう立ち向かうのか!
お楽しみに!