@6…幽雅に咲かせ、墨染の桜【前編】
ゆゆさま登場!
PV40000、ユニーク6000突破!
2011,7/1,一部修正しました。
‐レナ視点‐
建物に入り、奥に進むと、人の気配がした。
…しかし、姿は見えない。
「来たわね。」
何処からか声が聞こえる。やはり姿は見えない。
だが、声の主が誰かというのは十分予想出来る。
「あんたが…西行寺幽々子か!」
「そうよ〜、紫から聞いたけど、貴方、紅魔異変を解決したらしいじゃない。そういう強い子、私は好きよ〜。」
…どこか抜けている感じだが…
聞く事は聞かなくては!
「博麗霊夢は何処に居る!?俺は霊夢を探しに来た!」
「霊夢ちゃんなら此処には居ないわよ〜。」
「なら何処に!?」
「教えないわ。」
さらりと返して…!
「人の命がかかってんだぞ!あんたは人の命を何だと思ってやがる!?」
「人の命は儚いもの…すぐに亡くしてしまう。所詮そんなものよ。それを大事にするなんて、馬鹿げてるわ。」
「…あんたって奴は…!」
俺は周りを見渡すが、彼女の姿は一向に見えてこない。
「今、私を見つけようとしてるでしょ?無駄よ。貴方には私の姿は捉えられない。」
「…何処だ…!何処に居る…!」
何で…何で見えない!?
「…やはり、貴方はまだ未熟ね。」
…もしや、彼女は人間ではないのか?
だとしたら何だ?
妖精…妖怪…違う、チルノもルーミアも見えた!
魔法使い?姿を消す魔法か?…だが何で姿を消す必要がある?
強いのならさっさと魔法で俺を倒した方が速いはずだ。
…そうか!
見えないんじゃない、俺が見えていないのか!
俺が見えないもの…そして喋れるものは…考えられるのは一つしかない!
「あんた…幽霊か?」
暫く沈黙が流れる。
「そうよ。」
と、俺の身体に纏わり付く何か!
それははっきりと形を成していく。
俺の身体にくっつくその綺麗な赤紫色の髪の少女は、明らかに幽霊だった。
頭には幽霊お馴染みの、水色の帽子についた白い三角巾。
その姿は振袖の、美しい少女だった。
だが、俺の背中に走るこの不気味な冷たさは何だ?
触られている場所はちゃんと人の暖かさが感じられるのに…何で背中に寒気が感じるんだ?
「よく気付いたわね。永遠に気付かれないのかとひやひやしたわ。」
「…妖精とか妖怪とか吸血鬼の次は幽霊か…なんだこのメルヘンチックな展開は?」
この不気味な冷たさに、脂汗が垂れる。
「あら、こういうの嫌い?」
「全く…この世界は不思議だらけだ。」
不思議過ぎてもう驚く事ないんじゃないか?
「私を見つけてくれたから教えてあげる。霊夢ちゃんは八雲紫の家で拘束されてるわ、でも命までは取らないから安心して。」
「信用出来ないな。命を軽視するあんたの言葉は。」
「嫌われちゃったみたいね。でも命を軽視するなんて事、私はしないわよ?ただ貴方に見つけて貰いたくて挑発しただけだけど。」
…幽霊だけに、彼女は掴めないな。
「…でも、貴方に霊夢ちゃんの事を教えたところでどうにかなるわけでもないしね。だって貴方…」
彼女は俺の胸に手を当ててこう言った。
「もうすぐ死ぬもの。」
瞬間、身体の内側で何かが掴まれる感じがした。
「がっ!?」
何だ…!?心臓が…苦しい…!
「私の能力は『死を操る程度の能力』…貴方はもうすぐ死ぬわ。」
な、なにかが…抜かれていく…
「うーん、でも死ぬって言ったって心臓潰したりしてグロテスクに仕上げるわけじゃないのよ?
全ての生き物には魂が存在する…魂は肉体という器を持つ事で初めて生き物として生きていけるの。
私はその魂を器から抜ける…つまり、貴方という魂は肉体から抜け…」
駄目だ…!抵抗出来ない…!
「生き物として終わる。それを『死ぬ』と私は定義するわ。」
くそっ!これは『傷』ですらないから、能力も使えない…!
「さようなら。貴方の魂はこれから私のものよ…」
抜ける…な!
「なかなか強靭な魂ね。抜けかけてるのに抜けないなんて。」
「…ざけんな…!」
「!?」
どうして!?
魂が肉体に戻っていく!
「俺は…やることがあるんだよ…!!」
まさか、意志の力で魂を取り戻したって言うの!?
「まだ…こんな所で終わる訳にはいかない…!!霊掌!!」
くっ、魂を抜くのは失敗した!
「…此処から本番だ…西行寺幽々子!」
…仕方ないわね。
相手を戦闘不能にしてから魂を抜いた方が良さそうね。
扇子を広げ、戦闘体勢を取る。
「…面白いわね。貴方、名前は?」
「彩埼玲奈だ…!」
「玲奈…貴方の魂、頂くわよ!」
双方、同時に弾が放たれる。
白玉楼から離れ、二人は一瞬眼を合わせ、動く。
本気の戦いが今、始まった。




