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第17章  親心

 第17章    親心


段田がオナニーをしてると階下から階段を上ってくる足音がして勃起している男根をパンツに押し込み用心のためにスウェットまで着てノック音を待った。久しぶりに早く帰宅した父親が段田の部屋に入ってきた。このようなことは珍しく段田も何か重大な話があるのだろうと予見して父親の話を待った。

「何故、俺が来たのか分かるだろうが、学校の成績の事だ、、、、」

「うん」素直に段田は聞く用意をした。

「だいぶん成績が落ちてる様だが国立医学部は諦めたのか?」

「そういうわけでは無いんだけど、、勉強が今ひとつ捗らなくて」

「別府高校は頭悪いのに校内で40番。どれくらいの大学に行けるレベルなんだ?」

あまり番号にはピンとこない父親の「別府高校で」 ということはより具体的な質問でもある。

「大分大学の理科系くらいではないだろうか・・・」

「俺は医学部に行けという教育方針でもあったが学生時代は浪人なんかせずに学業は全うして欲しい。浪人してブランクが出来たり一つ二つ年齢の違う同級生というのは友人には成れても親友、凡友には成りがたいと思える。学生時代は同じ年齢の人と、交わり切磋琢磨すべき時間だと、この歳で思えるようになったよ」

父親が10年の浪人時代を経て司法試験を合格したのは段田家では言うことは御法度だった。ただ親父は弁護士。それを強調することだと世俗の揚げ足取り文化日本に習っていた。「行きたい学部に行きなさい。それが医学部なら今から今以上に勉強を頑張らなければならんないし、国立が駄目なら私立でもよかろう。頑張ったすえに行き着いたところがどうであれやりたい学問をやりなさい」

じっと聞いていた段田は最近の怠慢さを恥じた。

「医者に成りたいのか?」

「いや、、、お父さんが成れと言わなかったか?覚えてる限りでは小学校の一年生から言われてると思うよ」

「当時はそれが良いと思ったからだが、おまえも少し勉強をしてみて学問の方向性も分かったのではないか?」

「まぁ」少し憮然とした感じで返事をした。

「まず高校時代には理科系、文科系に別れる。これは自分の選択で決まるが。大学受験はただの試験では無いように思える。あれは適正だ。ここで無理したり学部選択を誤ったやつは中退したりするんだよ。意外と多いんだ大学中退者」

「ほう」こんな言葉しか段田には出てこない。

「で俺は医学部と言ったが医学でいいのか?大学は、、、?」

「今のとことは医学部志望で行くよ。ただ人を叩いたりする人間が医者にふさわしいのかなと、、」

「叩いたのか?」

「いや~剣道でちょとね」

「剣道で叩くのは良いが社会人としては暴力は御法度だ。暴力が容認されるのは7才までだろう。」

「ああそうでしたね。頑張ってみるよ。目標が消えないように」

それを聞いて安心した父親は階下に降りて行った。


「大学受験は適性検査だ!」と言う親父に段田は戸惑いだした。

学校の先生もそのようなことを言ったことは聞いたことが無かった。ただ、得意科目が受験を左右することは誰しも知っていた。

国立大学か私立大学か、同じ学部でもそれぞれの大学によって受験科目も違う。国立大学が敷居が高いのは受験科目の多さにもあるだろう。しかも、学費は目を見開くほどの差がある。それ故に、学力を競う日本の受験というものが成り立っているのだろう。ここで、医学部の場合の金銭的な格差は国立の医学部は他の国立の学部と同様だ。年間100万もかからない。一方、私立となると卒業までに三億はかかると言われていた。学校は慈善事業ではない。医者を1人、育て上げるのにはそれくらいかかるということであった。いかんせん、国立大であろうが学校は1人の医者を育てるのにそれくらいの金額が掛かるらしい。その差額は国が負担するのだ。

「大学受験は適性検査だ!」という親父の言葉を反芻して理解してみようと段田は試しみた。受験の際に得意科目が学部選択に直結するということなのだろうか?無理して不得意な科目を課題としてる学部に行くと板挟みにあうということなのだろうか?素直に考えれば当然に思えた。

考え出したら眠れなくなった段田は寝付きの際の習慣でオナニーをして寝た。


 次の日、秋も冬になろうとしてる時期に、段田は進路指導に行ってみることにした。古川先生はいつものように一年生の担任達で集まってる机に座っていた。段田が近寄って

「先生、進路についての相談なんですが。よろしいですか?」と丁寧に言ってみた。

「よう、番長!真面目になったか?」といつものようだ。

「いつでも真面目ですよ」

「進路指導室に行こうか」と真剣な表情で古川先生は席を立った。段田も後に続き進路指導室に入っていった。


「段田は医学部志望だったよな?」

「はい、そのつもりでしたが医学が自分に合ってるかが疑問で、、、」と本心で段田は相談してみた。続けて

「父親と昨日、話をしてみたのですが自分の得意科目を課題とした学部、学校に行ったほうが良いような事を言い出したんです」

古川先生は、「ほう」と言いながら

「段田のお父さんは弁護士だったな。医学部を薦めていたのはお父さん?」

「ええ、子供の頃から医者になることを言われてました」うつむきながら段田は応えた。いつもはニヤけて揶揄い半分の古川先生も辛辣そうな段田に感化されてか真剣に応えた。

「たしかに受験科目は学部に直結する。段田は医者になりたいのか?」

「自分でも良く分からなくて。父親が弁護士なので法曹界のことは良く見聞きしますが医者って言う職業は今ひとつ分かりません」と恥ずかしそうに言う段田に

「段田くらいの年齢の学生はそんなものだろう。かっこいいとか憧れるとか豊かな生活が出来るからとかで職業を選ぶのも然りなんだと思う。ただ無理して自分に合わない学部選択をすると頓挫するよな」

段田は言葉を見つけて質問してみた

「学部の課題教科だとおもって得意な科目で勝負できる学科を選んだ方が将来性が豊かになるんでしょうか?」

「そうじゃなんだ。そうじゃない。なりたいものになれるように一心不乱になるのも高校時代なんだ。段田はこの別府高校でがむしゃらに集中しないといけない。3年間の間に、頑張った自分を見つけることが課題なんだ」


段田の思う問答ではなく応えてもらえなかったようで尻切れトンボのようだったと感じたのだが古川先生は抽象的な回答をいつものように残した。

「自分を見つけることが課題」

なんじゃらほい?とまだ分からなかった。

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