第7章:「感覚」としてぼんやりと理解できた、サーフィンとの出会い(4)
・・・その板は、
まっ黄色・・・というのか、
濃いレモン色がベースの、
ちょっと赤いロゴマークが入った感じの、
3m近くもある、長い長いシロモノだった。
にゅーっとした、フチの丸い長方形・・・って印象で、
ぼくらが知っていた、従来のサーフボード・・・つまり、
レモンを縦に引き伸ばしたような、あのとがった形状のソレとは、まるで似ても似つかないものだった。
だからソレが、
正式な波乗り用の板だとは、
正直、想像もつかなかったのである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「なぁ、かわじよ。」
「なんだ、くりじ。」
「この板っぱちってさぁ・・・押しても海にしずまねぇのな。」
「ほだな。浮力・・・だっけ? ソレが強いんでねえの??」
「さすがは、物知りのかわじだなや。」
「おだてだって、なんにもでねぇべさ。」
「かかかか。ちと、板に乗ってみっぺよ。」
「んだな。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・こうして、ボードに腹ばいになって乗りこんだ、
ぼくと川上君であったが、
渾身のチカラで、上から押しても、まったく水中に沈む気配のない、
そのサーフボードの「浮力の強さ」に、
感心しきりだった。
そして、
浜辺の方向に板とカラダの向きを変えて、さきほど横目で見てきた、
マヌケづらのアホどもを、
ぼんやりと眺めていたそのとき・・・!
「ゴォォォオオオーー!!」
という轟音とともに、
うしろから迫ってきた大波に襲われたぼくと彼は・・・
ボードごと、
まるで「弾丸」のごとく、
砂浜に向かって、いきおいよく、突進していった。
「きゃー!! おっかねー!!!」
「やだやだやだ、たすけてかあちゃああん!!」
「じゃあ、おれは・・・たすけて、とうちゃああん!!」
安っぽいコントをやってる場合ではない。
ものすごい感覚だった。
まるで、
あの磁石のチカラで宙に浮く「リニアモーターカー」みたいに、
海水の上に浮上して、
すーっと進んでゆく、独特の快感だった。
こうしてぼくは、
生まれて初めて味わう・・・
「波に押される感覚」を、
思いがけないカタチで会得したのであった。
この感覚・・・特有の「浮遊感」こそが実は・・・
「波乗りの気持ちよさの原点および基本」なのである。




