~御殿山~ 5
「おはようございます。」
経清らが、頭を下げる。
「昨晩はゆっくり休まれましたかな?」
挨拶を返す頼良と、貞任、宗任の三人が並んで座している。
「今朝早く、都の良照から使いの者が到着した。」
すっかり疲れが取れたと応える二人に、頼良が言った。
「次の陸奥守は、源頼義様に決まったそうだ。」
貞任が、父の言を引き継いだ。
「相模の・・・。」
「源氏の御曹司・・・。」
それを聞いた経清と永衡は、顔を見合わせて呟いた。
「知っての通り、河内源氏は国香流平氏の常陸平氏と親しい間柄だ。まあ、お二人とも元々常陸大掾国香の次男、繁盛の末であるゆえ、ようお分かりかと思うが。」
頼良が話し出す。
「それに対して、我ら安倍の者は、良文流や良将流の房総平氏と繋がりがあるのだ。」
貞任が言い添える。
「我ら海道平氏は、常陸に近い磐城が地盤とはいえ、陸奥国に代々居りますし、本家の連中や、伊勢の連中(貞盛流伊勢平氏)の事は、正直好いてはおらんのです。」
永衡が口をへの字にした。
「わたくしの母方は、越後平氏の流れであるとも云われておりますが、定かではございません。元々出羽国の辺りに居りました氏族ゆえ、常陸や伊勢と言われても、親しい気持ちは致しません。」
経清も何とも言えない表情をしていた。
「何ゆえ房総平氏と繋がりがあるのかは、いずれ時が来ればお話するつもりであるが、承平、天慶および長元の時のいくさの事を思えば、河内源氏の棟梁を素直な心持ちで迎えるのは、いささか辛いものがあるのだ。」
それまで黙っていた宗任が、そんな鼻白む二人に言い訳するように言った。
「まあここで、あえて事を荒立てても仕方がないゆえ、新しい陸奥守様が下向された折には、なるべく逆らわず、平穏に任期を終えられて帰京されるように、お二人にも助力していただきたい。」
全ての話を引き取って、頼良は頭を下げた。




