疑惑
急に秘書氏に呼び出された。
「無関係の人間を屋敷に入れたり、近所の人と噂話をしたのですか」
「それは」
「見ていた人がいます」
「いえ、最初の人は無理矢理、屋敷に入り込んできて、孔雀さんが助けてくれました。
もう一人は隣の方で、奥様が亡くなったのをご存知ないご様子で、お茶会に呼んでほしいと言っていました」
「今後は気をつけて。そういうことがあったら報告してください」
この屋敷は息が詰まる。皆が私を監視している気がする。
休みの日に白鷺さんにここ数日のことを話した。
「なまりのある弁護士さんが行方不明で、隣人は奥様が亡くなったことを知らない。右隣? 左隣?」
「右の家です」
「ふーん、他のお手伝いさんに聞いてみてあげるよ。相続か、あの旦那さんは、肥蛇家の財産を受け継いだんだろう。そういえば雀源さんは、近くの本郷病院で亡くなったことになっているけど、
あの先生はお金次第って噂があるからね。家で亡くなると警察が来たりして色々面倒だから、死んでから運んで死亡診断書を書いたのかもしれないね」
亡くなった時の葬儀屋がね、すごい顔をして死んでいたから、顔を修復するのが大変だったって、こぼしてたよ。誰かを睨みつけるようなすごい形相だったって。
白鷺さんの話は本当だろうか。
「奥様は、だんだん衰弱して亡くなったそうだけど。
二人の財産を相続できて、養子なのに大した出世だ。
でも雀源さんって、愛人の噂も多くて女好きだって聞いてたけど、他に子供はいなかったのかね。
愛人に子供の一人や二人いてもおかしくないのに。
そういうのが出てきたら、財産を分けなきゃいけないはずだろ。どうしたのかね。
だから弁護士さんがきていたのかもしれないよ。相続はそういうのでよく揉めるから」
眠くなってきた。やっぱり疲れているのかもしれない。
「そんぞくねえ、昔は、尊属殺人って言って、自分の親を殺したら重い罪に問われて、財産ももらえなかったんだよ。旦那様は養子だろ、もし父親か、もしくは相続の権利を持つ人を殺したら、やっぱり財産はもらえないはずだけどね。そんなバカな真似はしないと思うけど、思い通りにいかないのが人生だからね」




