勇者と魔王
今私は油断していた為、魔法を使うことが出来ない。
魔法を使えぬ魔法使いの戦力は無いに等しい。目標に接近した剣士は、対象の者と離れている際の3倍以上の戦力となる。簡単に言うと絶望的だ。
「楽しかったよ。バイバイ」
「そんなすぐにやられてたまるかっての!!!!!いけっ」
私はできる限りの力を使って下にかがむ。髪の毛にブンッという音がなった。しかしそのままではすぐに斬られてしまう。
(いけるか!?ウィンドストーム!!!!!)
自分をウィンドストームで後方に飛ばす。覚えているだろうか、この魔法の使い方は、水風神との戦いで使った方法だ。
「私だって、この世界に来てから立ち止まってたんじゃない!進んできたんだ!」
「だから何?結局は私に殺される」
「違う!」
そう言って私は、自分の後ろを指差す。
「今も私の仲間は、応援をしてくれている!!!!!負けるわけには……いかない!スターダスト!!!!!」
「まだこんな力を……タイムブレイズ!!!!!」
「っつ!?」
時が、止まった。私は抵抗に成功したが、阻害効果が少し出てしまった。
自分の普段の最高速度の30%も出せるかどうかわからない。
「スラッシュ」
そして時が元に戻る。私の体は、切り裂かれていて真っ赤だ。
「う……ぐ、ふ………」
今回復魔法を使ってしまったら、魔力が足りなくなって、HPを5%にすることができなくなる。だから、自らの傷を癒すことができない。
ちなみにまだ優香のHPは46%もある。
「死んだら楽だったのにね。じゃぁ、殺してあげる」
倒れる私の真上に、剣が高く上げられる。
「刺すことは……うぅ……でき、ない……よ」
「なんだって?そんなことはかんた……ん!?」
「効いてきた……?使った魔法はアマノジャク。いや、神様だね。私がカンナギだってこと、忘れてたでしょ」
アマノジャクという神の効果は、1分間、対象から受けたダメージの分だけ自分は回復し、攻撃した側はぎゃくにそのぶんだけダメージを受けるというものだ。
「う……しかし、い……つ、いつ……使った……!?」
「……さっきも言ったでしょ?私は立ち止まってたわけじゃないって。あれから頑張って訓練したの。結果、一部を無詠唱で使えるようになったの」
「……!?」
「さて、もうHPは5%だね。早速使わせて……」
「……………………フレッシュ!」
「……!?」
ステータスを見ると、先程まで5%だったはずのHPが、全快の100%になっている。
「な、なにを!?」
私は急いで飛び退く。
「勇者の特権。一回なら、完全回復できる」
「そん……な」
「さぁ、もう一回遊ぼう!!!!!」
優香の目は、黄色く爛々と輝いていた。
完全復活とか、チートすぎますよ勇者さん!!!!!




